問題
Aさん(78 歳,男性,要介護1 )は,一人暮らしで,脳梗塞(cerebral infarction)を発症し入院した。その後,リハビリテーションを経て,自宅に戻った。利き手の右手に麻痺が残ったため,左手を使った調理の自立を目的に,訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用することになった。サービス利用時は,訪問介護員(ホームヘルパー)の協力を得ながら,孫からプレゼントされた包丁を使って,調理に取り組んでいた。 ある日,好物の牛肉をうまく押さえることができず,切ることができなかった。すると,Aさんは包丁を置き,部屋で横になってしまった。心配した訪問介護員(ホームヘルパー)が声をかけ,バイタルサインを確認したところ変化はなかった。Aさんは,「右手が思うように動いてくれない。悔しい。でも,もう一度ひとりで作れるようになりたい」と話した。 次の日,Aさんは,「今日も手伝って」と訪問介護員(ホームヘルパー)に話した。 訪問介護計画の修正を目的としたカンファレンスで,訪問介護員(ホームヘルパー)が提案する内容として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第37回介護福祉士国家試験(令和6年度)」問題111
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
答えは4「調理に関する福祉用具の活用」です。
Aさんは「もう一度ひとりで作れるようになりたい」という強い気持ちを持っています。この気持ちを大切にしながら、左手だけでも食材を安定して切れるようになる自助具(滑り止め付きまな板や押さえる部分が固定できる調理器具など)を取り入れることで、自立に向けた調理を続けやすくなります。
たとえるなら、片手でも安定して作業できる「道具の工夫」で、本人の「自分でやりたい」という気持ちを支えるイメージです。
👉 覚え方:自立への意欲を活かす=代行ではなく道具(福祉用具)で工夫する。
ほかの選択肢:1調理の代行は「左手を使った調理の自立」という目的やAさんの意欲に反する/2担当の訪問介護員の交代は、今回の課題(調理技術上の困難)への対応にはならない/3配食サービスの利用も自立支援の目的に反する対応/5訪問回数の削減は、今回の課題への直接的な対応にはならない。
なぜこれが正解か
正解は4。「右手が思うように動いてくれない」という制約を抱えながらも「もう一度ひとりで作れるようになりたい」という強い意欲を示すAさんに対しては、調理を代行するのではなく、左手だけでも食材を安定して扱えるようにする福祉用具(滑り止め付きまな板、固定式のカッティングボード、片手用調理器具等)を活用することで、自立に向けた調理の継続を支援することが最も適切な提案である。
各選択肢の解説
- 1 訪問介護員が調理を代行することは、「左手を使った調理の自立」という当初の目的や、Aさんの「ひとりで作れるようになりたい」という強い意欲に反する対応である。
- 2 担当する訪問介護員を交代することは、今回の課題(右手の麻痺による調理動作の技術的な困難)の解決には直接つながらない。
- 3 配食サービスの利用に切り替えることも、調理という活動そのものの自立を目指すAさんの意向とは相反する対応である。
- 5 訪問回数を削減することは、むしろ調理の練習・支援の機会を減らすことになり、Aさんの目標達成の妨げになりかねない。
覚え方・ひっかけ注意
利用者が明確な自立への意欲を示している事例では、「代行する」「サービスを他のものに置き換える」「関わりを減らす」といった選択肢は、本人の意欲を尊重しない方向として誤答になりやすい。「本人の力を活かす工夫(福祉用具の活用)」を選ぶことが正解の軸となる。
理論的背景
本事例は、身体機能の制約(右手の麻痺)と、本人の強い自立への意欲(「もう一度ひとりで作れるようになりたい」)という2つの要素を踏まえ、単に困難を回避する(代行・サービス変更)のではなく、道具の工夫によって残存機能(左手)を最大限に活かす「代償的アプローチ」(第38回 問100の自助具の活用、37-91のパーキンソン病の食事介護とも共通する考え方)を選択する典型例である。調理用の自助具としては、食材を押さえる部分が固定された「まな板」(押さえ具付き、滑り止め付き)、片手で操作できる調理器具等があり、作業療法士等の専門職と連携して選定されることも多い。訪問介護計画の見直しにあたり、本人の意欲・強みを活かしつつ、具体的な環境(道具)の調整によって課題を解決するという視点は、介護過程における支援内容の検討における重要な引き出しの一つである。
試験での位置づけ
利用者の意欲を活かした支援内容の見直しは、介護過程領域・生活支援技術領域を横断する重要テーマ。第37回 問110(行動の解釈)とセットで、①本人の言動から意欲・思いを正確に読み取る、②その意欲を活かす具体的な支援策(福祉用具の活用)を導き出す、という一連の思考プロセスを身につけておくことが重要。
選択肢の発展補足
福祉用具の選定にあたっては、作業療法士等のリハビリテーション専門職と連携し、Aさんの左手の機能や、調理の具体的な動作(切る、混ぜる、盛り付ける等)を評価した上で、最適な自助具を提案することが望ましい。
上位資格・発展
作業療法学の専門領域では、片手動作での家事遂行を支援する自助具の詳細な選定基準や、利き手交換訓練(非利き手を利き手として機能させる訓練)との組み合わせによる自立支援の手法がより専門的に扱われる。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第37回介護福祉士国家試験(令和6年度)」の問題111です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。図は同センターのPDFから切り出したものです。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。介護保険制度・障害者総合支援法などは改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

