問題
Cさん(90 歳,女性)は,動物好きで長年ペットのオウムを飼っている。5 年前に夫が亡くなったときも,ペットが大きな心の支えになった。2 年前,身体の衰えから買物や調理などの家事が難しくなり,一人暮らしが困難になったので,ペットと入所できる健康型有料老人ホームに入所した。 最近Cさんは,毎週楽しみにしていたレクリエーションがある曜日や時間を忘れてしまう,トイレの場所がわからず失禁するなどの症状が繰り返し生じるようになってきた。心配した娘がCさんと病院を受診したところ,アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断を受けた。 健康型有料老人ホームでは対応が困難になってきたため,心配した娘はCさんが入所できる施設に移ることを検討し始めた。 娘はCさんの病状を心配して,「お父さんが残してくれた貯金があるから,もっとお母さんのお世話をしてくれる施設に移ろう」と提案した。Cさんは,「ペットと一緒に暮らせなくなるのは嫌だ」とつぶやき,うつむいた。困った娘は健康型有料老人ホームの介護福祉士に相談した。 次のうち,娘への介護福祉士の応答として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第37回介護福祉士国家試験(令和6年度)」問題118
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
答えは1「『Cさんがペットを大事にしている意思を尊重してはいかがですか』」です。
Cさんにとって、亡き夫を亡くしたときも支えとなったペットのオウムは、かけがえのない存在です。「ペットと一緒に暮らせなくなるのは嫌だ」というCさんの気持ちをそのまま受け止め、その意思を尊重するように娘に伝えることが、Cさんの尊厳を守る適切な対応です。
たとえるなら、Cさんにとって何より大切なものを、周りの都合で簡単に手放させないように、本人の気持ちを一番に考えてあげるイメージです。
👉 覚え方:本人にとって大切な存在への思いは、まず尊重する姿勢を伝える。
ほかの選択肢:2施設移行を最優先とすることは、Cさんの気持ちを置き去りにした対応の勧め方/3娘の意向を優先するよう勧めることも本人の意思を軽視することになる/4ペットを飼うことを「優先度の高いニーズとは言えない」と決めつけることは、Cさんにとっての大切さを理解していない発言/5Cさんに施設移行を受け入れるよう説得することを娘に勧めるのは、本人の意思を尊重しない一方的な対応。
なぜこれが正解か
正解は1。夫を亡くしたときも心の支えとなったペットのオウムと一緒に暮らせなくなることを「嫌だ」とうつむいて話すCさんの様子を踏まえ、介護福祉士は娘に対し、Cさんがペットを大切にしている意思を尊重するよう提案することが、Cさんの尊厳と生活の質を守る適切な応答である。
各選択肢の解説
- 2 「Cさんが新しい施設に行くことが最優先です」という発言は、認知症への対応という一つの側面のみを重視し、Cさんが大切にしてきたペットとの暮らしという重要な価値を軽視することになる。
- 3 「あなたの意向を優先してはいかがですか」という発言は、娘の判断を後押しするものであり、Cさん本人の意思を置き去りにする対応である。
- 4 「ペットを飼うことは優先度の高いニーズとは言えません」という発言は、Cさんにとってのペットの存在の重み(亡き夫を亡くしたときの心の支え)を理解していない、専門職として不適切な決めつけである。
- 5 Cさんに施設移行を受け入れるよう説得することを娘に勧めることは、本人の意思確認や十分な話し合いのプロセスを飛ばした一方的な対応である。
覚え方・ひっかけ注意
本人にとって特別な意味を持つ存在(今回はペット)への強い思いが示された場面では、家族の意向や効率性を優先する選択肢は誤答になりやすい。「本人の意思をまず尊重する」という一貫した姿勢が正解の軸となる。
理論的背景
高齢者にとってペットは、単なる愛玩動物ではなく、喪失体験(配偶者との死別等)を乗り越える心の支えや、生きがい、自己のアイデンティティの一部として、極めて重要な意味を持つことがある。Cさんの事例では、認知症の進行という医学的な課題への対応(より手厚い介護を受けられる施設への住み替え)と、ペットとの暮らしという本人にとってのQOL(生活の質)の核心的な要素が、一見対立するように見える構造になっている。こうした場面での支援の基本は、どちらか一方を切り捨てるのではなく、まず本人の意思・価値観を尊重した上で、両立可能な選択肢(例えば、ペット可の介護付有料老人ホーム、第37回 問119)を探るという、本人主体の意思決定支援(第37回 問45)の理念に基づく対応である。
試験での位置づけ
本人にとって大切な存在・価値観を尊重する対応は、人間の尊厳と自立領域・総合問題を横断する重要テーマ。第36回 問51(障害受容)、38-8(生活史の尊重)と一貫した「本人の意思・価値観を最優先に受け止める」姿勢を、様々な事例に応用する力が問われる。
選択肢の発展補足
本事例の展開(第37回 問119)では、Cさんの意向を尊重した結果、ペットと一緒に暮らせる介護付有料老人ホームが見つかっており、本人の意思を尊重した支援が、両立可能な解決策の発見につながった好例として理解できる。
上位資格・発展
高齢者福祉の実践現場では、アニマルセラピー・ペット同伴可能な施設の増加等、高齢者とペットの関係性を尊重した支援の在り方が、QOL向上の観点からより注目されるようになっている。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第37回介護福祉士国家試験(令和6年度)」の問題118です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。図は同センターのPDFから切り出したものです。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。介護保険制度・障害者総合支援法などは改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

