介護福祉士

介護福祉士 第37回 問題122総合問題

問題

介護福祉士 | 第37回(令和6年度) | 令和7年1月26日(日)実施・総合問題

Dさん(男性,障害支援区分4 )は,ベッカー型筋ジストロフィー(Becker muscular dystrophy)である。自宅で家族と生活をしている。Dさんは,食事は自立しているが,排泄,入浴に介護が必要である。歩行はできず,移動は電動車いすを使用している。絵を描くことが趣味であり,日中は創作活動に取り組んでいる。 これまでDさんは自宅で家族の介護を受けながら生活してきたが,Dさんの身体機能の低下に伴い,家族の介護負担が増えたため,居宅介護を利用することになった。 Dさんが居宅介護を利用してから数年が経過し,Dさんの身体機能は徐々に低下して,着替えに時間がかかるようになった。Dさんは自分のことはできるだけ自分で行いたいという思いがあり,時間がかかっても自分で着替えをしていた。 ある日,DさんはF介護福祉職に,「着替えをすると疲れてしまい,絵を描くことができない」とつぶやいた。F介護福祉職は,「着替えは私たちや家族の介護を利用して,Dさんは好きな絵を描いたらいいのではないですか」と伝えた。その後,Dさんは介護福祉職と家族の介護を利用して,短時間で着替えを済ませ,絵を描くことに専念できるようになった。 F介護福祉職が発言した自立観を示した人物として,最も適切なものを1 つ選びなさい。

【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第37回介護福祉士国家試験(令和6年度)」問題122

※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。

※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。

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答え合わせ

正解は 3
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。

答えは3「エド・ロバーツ(Roberts, E.)」です。

F介護福祉職は、Dさんが「着替えに時間をかけて疲れてしまうより、着替えは介護を利用して、その分好きな絵を描く時間を大切にしたらいい」と伝えました。これは、「何でも自分だけでやること」が自立ではなく、「必要なところは介護を利用しながら、自分らしい生き方・やりたいことを実現すること」こそが自立である、という考え方です。この考え方を広めた人物がエド・ロバーツです。

たとえるなら、全部自分一人で頑張ることより、周りの手を借りながら自分の好きなことに時間を使う方が、その人らしい生き方だという考え方です。

👉 覚え方:介護を利用しながら自分らしく生きる自立観=エド・ロバーツ(自立生活運動の父)。

ほかの選択肢:1ヴィクトール・フランクルは実存主義の心理学者(人生の意味)/2バンク-ミケルセンはノーマライゼーションの提唱者/4フェリックス・バイステックはケースワークの7原則の提唱者/5ミルトン・メイヤロフはケアの本質(一人の人格の成長を助けること)を論じた人物で、いずれも今回の「自分でできることに介護を活用する」自立観とは異なる人物。

なぜこれが正解か

正解は3。「着替えは介護を利用し、その分好きな絵を描くことに専念できるようにする」というF介護福祉職の発言は、身の回りのことを全て自分だけで行うことを自立とみなすのではなく、必要な部分は介護サービスを活用しながら、本人が大切にしたい活動(Dさんにとっての絵を描くこと)に自分の時間とエネルギーを注ぐことこそが自立である、とする自立生活運動(IL運動)の理念を体現しており、この考え方を提唱したのがエド・ロバーツである。

各選択肢の解説

  • 1 ヴィクトール・フランクルは、強制収容所での体験をもとに、極限状況でも人生には意味があるとする実存主義的心理学(ロゴセラピー)を確立した人物であり、自立生活運動とは異なる文脈の思想家である。
  • 2 バンク-ミケルセンは、障害者が特別扱いされず、他の人々と同じ生活条件で暮らせるようにするというノーマライゼーションの理念を提唱した人物であり、本問の「介護を利用しながら自分らしく生きる」という自立観とは異なる文脈の人物である。
  • 4 フェリックス・バイステックは、ケースワークにおける援助関係の基本原則(バイステックの7原則、第38回 問93)を体系化した人物であり、自立観の提唱者としては本問の趣旨と異なる。
  • 5 ミルトン・メイヤロフは、著書『ケアの本質』において、ケアとは「一人の人格が成長すること・自己実現することを助けること」であるとするケア論を展開した人物であり、自立生活運動における自立観の直接の提唱者ではない。

覚え方・ひっかけ注意

「できることは全部自分でやる」ではなく「必要な介助を受けながら、自分の人生の主導権・自分らしい活動時間を確保する」という自立観=エド・ロバーツの自立生活運動、と結びつけて覚える。

理論的背景

エド・ロバーツは、重度の身体障害を持ちながら、1960年代にアメリカで自立生活運動(Independent Living Movement, IL運動)を主導した人物であり、「自立とは、身の回りのことを他者の手を借りずに自分だけで行うことではなく、必要な支援(介助)を活用しながら、自分の人生における選択と決定を自ら行い、主体的に生きることである」という新しい自立観を提示した。この理念は、従来の「機能的自立(できるだけ自分でできるようにする)」を重視する自立観から、「自己決定に基づく自立(必要な支援を受けながら、自分が望む生き方を実現する)」という自立観への転換を促した点で、障害福祉の思想史において重要な意義を持つ。F介護福祉職の発言は、Dさんが「絵を描くこと」という自分にとって重要な活動に時間とエネルギーを注げるよう、着替えという身辺動作については積極的に介護サービスを活用することを提案しており、まさにこの自立生活運動の理念を実践した対応といえる。

試験での位置づけ

自立観・自立生活運動の理解は、人間の尊厳と自立領域・介護の基本領域・総合問題を横断する重要テーマ。バンク-ミケルセンのノーマライゼーション(第36回 問6等)、バイステックの7原則(第38回 問93)等、関連する思想家・理論と正確に区別しながら、それぞれの提唱者と理念を対応づけて覚えておくことが重要。

選択肢の発展補足

Dさんの事例は、身体機能の低下(第37回 問120のベッカー型筋ジストロフィーによる筋力低下)が進行する中でも、介護サービスを適切に活用することで、本人の生きがいである創作活動(絵を描くこと)を継続できるようになったという、自立生活運動の理念を体現する好例として理解できる。

上位資格・発展

障害学・disability studiesの分野では、エド・ロバーツらが牽引した自立生活運動が、その後の障害者権利条約(2006年国連採択)における「自己決定」「地域社会での自立した生活」の理念にどのように結びついていったかが、より体系的に扱われる。

この問題の根拠出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第37回介護福祉士国家試験(令和6年度)」問題122。解説は合格ナビが独自に作成したものです。
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第37回介護福祉士国家試験(令和6年度)」の問題122です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。図は同センターのPDFから切り出したものです。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。

解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。介護保険制度・障害者総合支援法などは改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。

執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。