問題
Dさん(男性,障害支援区分4 )は,ベッカー型筋ジストロフィー(Becker muscular dystrophy)である。自宅で家族と生活をしている。Dさんは,食事は自立しているが,排泄,入浴に介護が必要である。歩行はできず,移動は電動車いすを使用している。絵を描くことが趣味であり,日中は創作活動に取り組んでいる。 これまでDさんは自宅で家族の介護を受けながら生活してきたが,Dさんの身体機能の低下に伴い,家族の介護負担が増えたため,居宅介護を利用することになった。 Dさんの疾患で生じる病態として,適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第37回介護福祉士国家試験(令和6年度)」問題120
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
答えは1「筋線維の変性」です。
Dさんの病気「ベッカー型筋ジストロフィー」は、筋肉そのものの細胞(筋線維)が壊れて弱っていく病気です。筋線維が変性(性質が変わって壊れていくこと)することで、筋力が徐々に低下していきます。
たとえるなら、体を動かす「ロープ」そのものが少しずつすり減って弱くなっていくイメージです。
👉 覚え方:筋ジストロフィー=筋線維(筋肉そのもの)の変性。
ほかの選択肢:2運動神経の変性はALS(筋萎縮性側索硬化症)等でみられる病態で今回の疾患とは異なる/3網膜の変性は眼の疾患でみられる病態で筋肉の病気とは異なる/4自己免疫の低下は免疫機能に関する病態で今回の疾患の直接的な原因ではない/5脳細胞の変性は認知症等でみられる病態で筋肉そのものの病気とは異なる。
なぜこれが正解か
正解は1。Dさんの疾患であるベッカー型筋ジストロフィーは、筋肉を構成する筋線維そのものが徐々に変性(壊れて性質が変化すること)し、筋力の低下が進行していく遺伝性の筋疾患であり、選択肢の中では「筋線維の変性」が最も適切な病態である。
各選択肢の解説
- 2 運動神経の変性は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)等、運動神経系そのものが障害される疾患でみられる病態であり、筋線維自体に原因があるベッカー型筋ジストロフィーとは異なる。
- 3 網膜の変性は、網膜色素変性症等、眼の疾患でみられる病態であり、筋肉の疾患であるベッカー型筋ジストロフィーとは異なる。
- 4 自己免疫の低下は、免疫機能に関わる病態であり、ベッカー型筋ジストロフィーの直接的な原因(遺伝子異常によるジストロフィンというたんぱく質の機能低下)とは異なる。
- 5 脳細胞の変性は、アルツハイマー型認知症等、脳の神経細胞に関わる病態であり、筋肉そのものの疾患であるベッカー型筋ジストロフィーとは異なる。
覚え方・ひっかけ注意
「筋ジストロフィー」という病名から、筋肉(筋線維)そのものに原因があることを連想できるようにしておく。神経の病気(ALS、パーキンソン病等)と筋肉そのものの病気(筋ジストロフィー)を混同しないよう、原因となる部位を正確に区別する。
理論的背景
筋ジストロフィーは、遺伝子の異常により、筋線維の維持に必要なたんぱく質(ジストロフィン等)が正常に作られなくなることで、筋線維が徐々に壊れ(変性し)、筋力低下が進行していく遺伝性の疾患群の総称である。ベッカー型筋ジストロフィーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィーと同じ遺伝子(ジストロフィン遺伝子)の異常によって生じるが、ジストロフィンが一部機能を保っているため、デュシェンヌ型と比較して症状の進行が緩やかで、発症年齢も遅いという特徴がある。Dさんの事例では、食事は自立しているが、排泄・入浴には介護が必要で、移動は電動車いすを使用しているという状態から、疾患がある程度進行した段階にあることがうかがえる。
試験での位置づけ
神経・筋疾患の病態理解は、こころとからだのしくみ領域・障害の理解領域・総合問題を横断する頻出テーマ。筋線維の変性(筋ジストロフィー)、運動神経の変性(ALS)、脳細胞の変性(認知症)等、疾患ごとに障害される部位が異なる点を体系的に整理しておくことが、本問のような総合問題での的確な判断につながる。
選択肢の発展補足
Dさんのように、身体機能の低下が進行性である疾患を持つ利用者への支援では、現在の機能だけでなく、将来的な機能低下を見据えた福祉用具の選定や住環境の整備、本人の「自分のことは自分で行いたい」という思い(第37回 問122)を尊重した支援の在り方が重要な論点となる。
上位資格・発展
リハビリテーション医学の分野では、筋ジストロフィーの進行段階に応じた呼吸機能・心機能の管理や、症状の進行を遅らせるための運動療法・薬物療法(近年ではエクソンスキッピング療法等の遺伝子治療的アプローチ)がより専門的に扱われる。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第37回介護福祉士国家試験(令和6年度)」の問題120です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。図は同センターのPDFから切り出したものです。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。介護保険制度・障害者総合支援法などは改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

