問題
Aさん(80 歳,女性)は,脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で左片麻痺があり,介護老人保健施設に入所して在宅復帰に向けた訓練をしている。嚥下障害もあるため,経鼻経管栄養による栄養摂取をしているが,経口摂取できないことでイライラしてチューブを抜去したことがある。医師からは一時的な治療であると説明を受けて同意していた。 経管栄養中に介護福祉士が訪室すると,チューブを触りながら,「自分の口から食べたいから,このチューブを抜いてほしい。見た目も良くない」と訴えがあった。 看護師に連絡し,チューブが抜けていないことを確認してもらった。 このときのAさんへの介護福祉士の対応として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第37回介護福祉士国家試験(令和6年度)」問題63
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
答えは3「医師や看護師にAさんの思いを伝える」です。
Aさんが「口から食べたい」「チューブを抜いてほしい」と話してくれたら、まずその気持ちをきちんと医師や看護師に伝えて、チームで一緒に考えることが介護福祉士の大切な役割です。
たとえるなら、本人の希望を勝手に決めずに、みんなで話し合う「伝言役・つなぎ役」になるイメージです。
👉 覚え方:本人の思いは「まず伝える」が介護職の基本姿勢。
ほかの選択肢:1 手を縛って固定するのは体を拘束する行為でNG/2 栄養剤を流す速さを自分で変えるのは介護福祉士の判断を超える/4・5 治療方法(胃ろうにするか口から食べるか)を決めるのは医師の役割で、介護福祉士が提案することではない。
なぜこれが正解か
正解は3。利用者本人から経管栄養の継続に対する不満や、経口摂取への希望といった意思表明があった場合、介護福祉士はその思いをそのまま医師・看護師に伝え、多職種でケア方針を検討する橋渡し役を担うことが適切な対応である。
各選択肢の解説
- 1 チューブ抜去を防ぐための身体の固定は、原則として禁止される身体拘束にあたり、緊急やむを得ない場合の要件(切迫性・非代替性・一時性)を満たさない限り行ってはならない。
- 2 滴下速度の調整は医師の指示・計画の範囲内で行うべき事項であり、介護福祉士が自己判断で変更することは適切でない。
- 4・5 胃ろう造設や経口摂取開始の可否は医学的判断を要する事項であり、介護福祉士が本人に提案する立場にはない。
覚え方・ひっかけ注意
「本人の訴え=介護職がすぐ解決しようとする」選択肢(拘束・速度調整・治療方法の提案)はひっかけの典型。介護福祉士の役割は「観察・傾聴・多職種への橋渡し」であるという原則を軸に判断する。
事例の整理
Aさんは経鼻経管栄養を受けており、医師から「一時的な治療」と説明を受け同意している。しかし、口から食べたい気持ちと、チューブが見た目に気になる気持ちから、チューブを触って抜いてほしいと訴えている。介護福祉士の役割は、この思いを受け止め、チームに伝えることである。
3が正しい理由
経口摂取や経管栄養の方法を変えるかどうかは、嚥下機能の評価を踏まえた医師の判断が必要である。介護福祉士は本人の気持ちを傾聴し、医師や看護師に伝えて、多職種で方針を検討する橋渡しの役を担う。本人の思いはケアの出発点であり、代弁することも専門職の大切な役割である。
誤りの選択肢の論点
- 1 チューブを抜かないように手を固定するのは身体拘束にあたる。介護老人保健施設の運営基準では、生命や身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除いて、身体的拘束等を行ってはならないとされ、行う場合は態様・時間・心身の状況・理由を記録する(介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準第13条)。同条は、適正化のための委員会を3月に1回以上開くことなども求めている。
- 2 滴下速度は指示と計画に基づいて守る。早く終わらせるための調整は、嘔吐や下痢を招きうる。
- 4 胃ろうを造設するかどうかは医療上の判断であり、介護福祉士が本人に提案する立場にはない。
- 5 嚥下障害がある利用者への経口摂取の開始は、医師などによる嚥下の評価が前提になる。介護福祉士が判断して提案すれば、誤嚥の危険がある。
身体拘束の要件
緊急やむを得ず拘束を検討するときは、切迫性・非代替性・一時性の3つの要件をすべて満たすかを、個人でなく組織として確認する、と厚生労働省の手引きで示されている。チューブ抜去防止は、拘束の理由として挙げられやすい場面である。
関連する論点
意思決定支援、利用者の権利擁護、チーム内での情報共有、といった介護の基本の領域と横断的に問われる。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第37回介護福祉士国家試験(令和6年度)」の問題63です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。図は同センターのPDFから切り出したものです。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。介護保険制度・障害者総合支援法などは改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

