問題
Aさん(75 歳,男性)は,1 年前に前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia)と診断され,現在は,認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)に入居している。若い頃から食べることが好きである。現在,咀嚼や嚥下機能の低下はなく,スプーンを使い,自分で食べている。最近,飲み込む前に次々と食べ物を口に入れることが増えた。 次の記述のうち,Aさんの現在の状態に合わせた食事の介護として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第37回介護福祉士国家試験(令和6年度)」問題90
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
答えは2「食器に少量ずつ盛りつけて提供する」です。
Aさんは、飲み込む前に次々と食べ物を口に入れてしまうようになりました。これは前頭側頭型認知症でよくみられる「目の前にあるものをどんどん口に入れてしまう」衝動的な行動です。一度に見える食べ物の量を少なくすることで、詰め込みすぎを防ぐことができます。
たとえるなら、目の前にたくさんあると次々手が出てしまうので、少しずつ小分けにして出してあげるイメージです。
👉 覚え方:次々口に詰め込む症状=食器に少量ずつ盛りつけて提供する。
ほかの選択肢:1取っ手つきコップは握力や巧緻性への配慮で、今回の課題(次々口に入れる行動)への対応とは異なる/3すべての料理をテーブルに並べると、目に入る食べ物が増えてかえって詰め込みが悪化しやすい/4大きなスプーンに変更すると一口量が増え、むしろ症状を悪化させる可能性がある/5手で持って食べられる物の準備は、咀嚼・嚥下に問題のない現在のAさんの課題(衝動的な詰め込み)とは直接関係が薄い。
なぜこれが正解か
正解は2。前頭側頭型認知症では、前頭葉の機能低下により衝動性の抑制が困難になり、目の前にある食べ物を次々と口に入れてしまう行動(食行動異常)がみられることがある。食器に少量ずつ盛りつけて提供することで、一度に目に入り、手に取れる食べ物の量を制限し、詰め込みすぎによる窒息・誤嚥のリスクを軽減することができる。
各選択肢の解説
- 1 取っ手つきのコップは、握力や手指の巧緻性が低下している場合に有効な自助具だが、Aさんの現在の課題(咀嚼・嚥下機能は保たれているが、次々に食べ物を詰め込んでしまう行動)への直接的な対応にはならない。
- 3 すべての料理をテーブルの上に並べることは、視界に入る食べ物の量が増え、かえって次々と手を伸ばして詰め込む行動を助長する可能性がある。
- 4 大きなスプーンへの変更は、一口で口に入れる量を増やすことになり、既に詰め込みすぎの傾向があるAさんの状態を悪化させかねない。
- 5 手で持って食べられる食品(フィンガーフード)の準備は、スプーンでの自力摂取自体には問題がない現在のAさんの状況とは、直接的に対応する課題ではない。
覚え方・ひっかけ注意
前頭側頭型認知症の食行動異常(衝動的な詰め込み食い)への対応は、「目に入る量・手に取れる量を制限する」という視点が核心。少量ずつの提供、料理を一度に全部出さない配膳の工夫がこの原則に合致する。
理論的背景
前頭側頭型認知症は、前頭葉・側頭葉を中心に脳の萎縮が進行する認知症の一類型で、記憶障害よりも先に、人格変化・社会的行動の障害(脱抑制、常同行動、食行動異常等)が前景に現れることが特徴とされる(第38回 問85のレビー小体型認知症とは異なる病型)。食行動異常としては、特定の食べ物への強いこだわり(同じ物ばかり食べる常同的食行動)、大量に食べ続ける過食、次々と口に詰め込む詰め込み食い等がみられることがあり、これらは前頭葉の抑制機能の低下による衝動性の高まりが背景にあると考えられている。対応としては、無理に行動を止めようとするのではなく、環境調整(少量ずつの提供、食事のペースを整える工夫)により、安全に食事ができる状況を作ることが重視される。
試験での位置づけ
前頭側頭型認知症の食行動異常への対応は、認知症の理解領域・生活支援技術領域を横断する近年の重要テーマ。アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症とは異なる前頭側頭型認知症特有の症状(第38回 問85の意味性失語等とも関連)を理解し、それに応じた個別の対応を検討する力が求められる。
選択肢の発展補足
前頭側頭型認知症の食行動異常への対応では、少量ずつの提供に加え、食事のペースを見守りながら、次の一口を促すタイミングを介護者が調整する(お皿を段階的に出す等)関わりも有効とされる。窒息リスクが高い場合は、食形態の調整(一口大に切る等)も併用される。
上位資格・発展
神経心理学・認知症ケアの専門領域では、前頭側頭型認知症の行動障害に対する非薬物的介入(環境調整、ルーティン化した生活パターンの活用)や、症状の進行に応じたケアの見直しがより専門的に扱われる。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第37回介護福祉士国家試験(令和6年度)」の問題90です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。図は同センターのPDFから切り出したものです。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。介護保険制度・障害者総合支援法などは改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

