問題
Aさん(50 歳,男性,障害支援区分3 )は,中度の知的障害がある。身体機能に問題はないが,遂行機能に障害がある。短い言葉での意思表示はできる。両親は亡くなっている。姉が近くに住んでいるが,同居は難しく,共同生活援助(グループホーム)へ入居した。入居時に短期目標を「生活のリズムを整える」と設定し,順調に進んでいた。日中は就労継続支援B型事業所に通っている。 共同生活援助(グループホーム)の生活に慣れてきた頃,Aさんは日中活動を休むようになった。心配した生活支援員が居室を訪ねると,Aさんが,「昨日も,遊びに来た隣室の友人が,散らかっている部屋を見て笑った。前はきれいにできていたのに」と自信をなくしている様子であった。 生活支援員がAさんの居室を確認すると,趣味で集めているアニメグッズや衣服が増えていて,きれいにしていた自室内に散乱していた。 後日,カンファレンスが開かれ,短期目標についての見直しが検討された。 次の記述のうち,見直された短期目標として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」問題113
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
答えは5「自室を整理整頓する」です。
Aさんが自信をなくしたきっかけは、部屋が散らかっていたことを友人に笑われたことでした。ですから、自室をきれいに整理整頓できるようになることを新しい短期目標にすることで、Aさんが自信を取り戻し、また前向きに日中活動に参加できるようになることが期待されます。
たとえるなら、自信を失うきっかけになった「できなくなったこと」に、あらためて取り組めるように目標を立て直すイメージです。
👉 覚え方:自信喪失の原因(散らかった部屋)に対応する目標=自室の整理整頓。
ほかの選択肢:1趣味を変更することは根本的な解決にならず、Aさんが大切にしている趣味そのものを奪う不適切な対応/2現在の散らかった状態を維持することは、問題を放置することになり不適切/3衣服を部屋の隅に寄せるだけでは表面的な対応にとどまり根本的な整理整頓にはならない/4日中活動の事業所を変更することは、今回の課題(自室の整理整頓)とは無関係な過剰な対応。
なぜこれが正解か
正解は5。Aさんが自信をなくしたきっかけが「散らかっている部屋を隣室の友人に笑われた」ことであり、以前はきれいにできていたという経緯を踏まえると、短期目標を「自室を整理整頓する」ことに見直し、その達成を通じて自信の回復と日中活動への意欲の回復を図ることが最も適切である。
各選択肢の解説
- 1 趣味(アニメグッズの収集)を変更することを目標にすることは、Aさんが大切にしている趣味そのものを否定することになり、根本的な問題(片付けの困難)の解決にもつながらない。
- 2 現在の散らかった自室の状態を維持することを目標にすることは、Aさんの自信喪失の原因となっている状況をそのまま放置することになり、問題解決に逆行する。
- 3 衣服を部屋の隅に寄せるだけの対応は、表面的な取り繕いにとどまり、根本的な整理整頓の習慣やスキルの獲得にはつながらない。
- 4 日中活動の事業所を変更することは、今回の課題の本質(自室の整理整頓)とは無関係な、過剰かつ的外れな対応である。
覚え方・ひっかけ注意
短期目標の見直しを問う設問では、事例文で明らかになった問題の直接の原因(今回は「部屋の散らかり」)に対応する、具体的で本質的な目標(自室の整理整頓)を選ぶことが重要。問題を回避する(趣味変更、事業所変更)選択肢や、表面的にごまかす(衣服を寄せる)選択肢、問題を放置する(現状維持)選択肢は、いずれも根本的な解決にならない誤答パターンとして排除する。
理論的背景
Aさんは遂行機能障害があり、複数の物品を分類・整理するという複雑な手順を要する自室の片付けに困難を抱えるようになったと考えられる。趣味のアニメグッズや衣服が増えたことで、以前できていた整理整頓が次第に難しくなり、その結果を友人に指摘されたことで、自尊心が大きく傷つき、日中活動への意欲喪失(休むようになる)という二次的な影響が生じた。カンファレンスでの短期目標の見直しにおいては、この一連の因果関係(遂行機能障害による片付けの困難→自信喪失→意欲低下)を踏まえ、根本原因である「自室の整理整頓」そのものに焦点を当てた具体的な目標を設定することで、本人の自信回復と日中活動への復帰を目指すという、アセスメントに基づいた論理的な目標設定の実践例である。整理整頓のスキル支援には、物の分類方法の視覚化、収納場所の明確化等、遂行機能障害の特性に配慮した具体的な支援方法(第36回 問112の手順の視覚化とも共通する視点)が組み合わされる。
試験での位置づけ
事例のアセスメント結果を踏まえた短期目標の見直しは、介護過程領域の総仕上げ的な出題パターン。第38回 問112(自信をなくした理由の理解)とセットで、①行動の背景(自信喪失の理由)を正確に理解し、②その根本原因に対応する具体的な目標(自室の整理整頓)を導き出す、という一連の思考プロセスを完結させる力が問われる。
選択肢の発展補足
目標達成に向けた具体的な支援としては、生活支援員と一緒に物を分類する時間を定期的に設ける、収納しやすい家具の配置を工夫する等、遂行機能障害の特性に配慮した段階的な支援が組み合わされることになる。
上位資格・発展
知的障害者支援の専門領域では、こうした生活スキルの再構築支援において、本人の趣味・興味を否定せず活かしながら(本人の「好き」を尊重しつつ整理整頓のスキルを身につける)、自己肯定感を保ちながら支援を進める視点が、より実践的に重視される。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」の問題113です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。図は同センターのPDFから切り出したものです。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。介護保険制度・障害者総合支援法などは改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

