介護福祉士

介護福祉士 第38回 問題119総合問題

問題

介護福祉士 | 第38回(令和7年度) | 令和8年1月25日(日)実施・総合問題

Aさん(85 歳,女性,要介護1 )は,B住居型有料老人ホームで暮らしている。子どもはなく,親族もいない。Aさんは現在,外部の事業所から訪問介護サービスを週2 回利用している。Aさんは駐車場を経営していて,毎月その収入がある。 最近,C訪問介護員(ホームヘルパー)は,Aさんの居室内の冷蔵庫の中に同じ食材がたくさん入っていることが多く,気になっていた。ある日,C訪問介護員(ホームヘルパー)がAさんに尋ねると,「近所のスーパーに買い物に行くのが楽しみだが,冷蔵庫の中に何があるのか忘れてしまい,同じものばかり買ってしまう」と答えた。また,「今は,毎月振り込まれる駐車場収入の管理ができているが,今後管理できなくなることが不安だ」と話した。その後,Aさんは,初期のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)の診断を受けた。 D介護付き有料老人ホームに転居してから3 年が経過した。Aさんの認知症(dementia)の症状は,さらに進行してきた。D介護付き有料老人ホームでは,施設の方針として,新たにパーソン・センタード・ケアを取り入れることになった。 次の記述のうち,E介護福祉職が介護計画を見直すときの方向性として,最も適切なものを1 つ選びなさい。

【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」問題119

※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。

※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。

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答え合わせ

正解は 3
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。

答えは3「認知症の人のその人らしさを支える」です。

パーソン・センタード・ケアは「その人を中心にしたケア」という意味で、認知症の人を「病気を持った人」としてひとくくりにするのではなく、一人ひとりの個性・価値観・これまでの人生(生活史)を大切にして、その人らしさを支えることを目指す考え方です。

たとえるなら、「認知症」というラベルではなく、Aさんという「その人自身」を見つめてケアをするイメージです。

👉 覚え方:パーソン・センタード・ケア=認知症の人「その人」を中心に、その人らしさを支える。

ほかの選択肢:1共通点に着目したケアマニュアルは、一人ひとりの個別性を大切にするパーソン・センタード・ケアの考え方とは逆の発想/2認知症を治療することは医学的な治療の話でケアの方向性を示す選択肢としてはずれている/4特別な存在として保護することは、その人らしい主体的な生活を支えるというパーソン・センタード・ケアの理念とは異なる/5BPSDをなくすことを直接の目的とするのではなく、その人らしさを支える結果としてBPSDが和らぐことを目指すのがパーソン・センタード・ケアの考え方。

なぜこれが正解か

正解は3。D介護付き有料老人ホームが新たに取り入れることになったパーソン・センタード・ケアは、認知症の人を病気や症状でひとくくりにせず、一人ひとりの個性、価値観、これまでの生活史、人間関係を尊重し、その人らしさを支えることを中心理念とするケアの考え方であり、E介護福祉職が介護計画を見直す方向性として最も適切である。

各選択肢の解説

  • 1 認知症の人の共通点に着目したケアマニュアルを作ることは、個々人の違いよりも症状の共通性を重視する画一的なアプローチであり、一人ひとりの個別性・その人らしさを重視するパーソン・センタード・ケアの理念とは逆の方向性である。
  • 2 認知症を治療することは、医学的な治療・投薬に関する目標であり、日々の介護計画・ケアの方向性を示すものとしては適切でない(そもそも現時点でアルツハイマー型認知症の根本的治療法は確立されていない)。
  • 4 認知症の人を特別な存在として保護することは、本人を主体的な存在として尊重するのではなく、一方的に保護の対象とみなす発想であり、パーソン・センタード・ケアが目指す「その人らしい生活の主体者」としての支援とは異なる。
  • 5 行動・心理症状(BPSD)をなくすことを直接の目標に掲げることは、症状の抑制に焦点が当たりすぎており、パーソン・センタード・ケアの本来の理念(その人らしさを支えることを通じてBPSDの軽減や生活の質の向上につながる)とは順序が逆である。

覚え方・ひっかけ注意

パーソン・センタード・ケアは、イギリスの心理学者トム・キットウッドが提唱した理念であり、「その人らしさ(personhood)を尊重する」という核心的なキーワードと結びつけて理解しておく。

理論的背景

パーソン・センタード・ケアは、イギリスの心理学者トム・キットウッドが1980年代後半から提唱した認知症ケアの理念であり、それまでの「認知症=失われていく能力・症状の集合」として捉える医学モデル中心の視点から、「認知症があっても、その人らしさ(パーソンフッド)は保たれている」という人間中心の視点への転換を促した。キットウッドは、認知症の人の心理的ニーズとして、①くつろぎ(Comfort)、②アイデンティティ(Identity)、③愛着・結びつき(Attachment)、④たずさわること(Occupation)、⑤共にあること(Inclusion)の5つを挙げ、これらが満たされることで、認知症の行動・心理症状(BPSD)が軽減し、その人らしい穏やかな生活が実現できるとした。E介護福祉職が、Aさんの日常生活自立度(第38回 問118)を踏まえた介護計画に、パーソン・センタード・ケアの視点を組み込むことは、単なる症状の管理にとどまらず、Aさんの生活史や価値観、人間関係を踏まえた個別的なケアへと発展させる重要な転換点となる。

試験での位置づけ

パーソン・センタード・ケアの理念は、認知症の理解領域・人間の尊厳と自立領域・総合問題を横断する頻出テーマ。認知症高齢者の日常生活自立度(第38回 問118)という客観的な評価尺度と、パーソン・センタード・ケアという主観的・個別的な視点を組み合わせて介護計画を立てるという、両者の統合的な理解が総合問題として問われている点に注目する。

選択肢の発展補足

パーソン・センタード・ケアを実践する具体的な手法として、認知症ケアマッピング(DCM:Dementia Care Mapping)という観察評価手法があり、認知症の人の心理的ニーズが満たされているかを客観的に評価し、ケアの質の向上に活用される。

上位資格・発展

認知症ケア専門士等の上位資格では、パーソン・センタード・ケアの理念を実践するための具体的な技法(バリデーション、ユマニチュード等のコミュニケーション技法)や、生活史(ライフヒストリー)を活用したケアの立案方法がより体系的に扱われる。

この問題の根拠出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」問題119。解説は合格ナビが独自に作成したものです。
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」の問題119です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。図は同センターのPDFから切り出したものです。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。

解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。介護保険制度・障害者総合支援法などは改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。

執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。