問題
Aさん(50 歳,男性,障害支援区分4 )は,1 年前の交通事故の後遺症で,右片麻痺,高次脳機能障害(higher brain dysfunction),失語症(aphasia)となった。現在は障害者支援施設で生活している。日中は,車いすに座って過ごしているが,すぐに右肩が下がり上半身は右へ傾いた姿勢になる。ある日,B介護福祉職がAさんに姿勢の傾きを直す方法を伝えようとすると,Aさんは大声でどなり,物を投げた。B介護福祉職は,以前からAさんとのコミュニケーションに悩んでいたため,C介護主任に相談することにした。C介護主任の問いかけに答えるなかで,B介護福祉職は自分自身の言動を振り返ることができ,Aさんに伝わらない焦りと,子どもに言い聞かせるような口調が,Aさんの感情を害していたことに気づいた。その後,コミュニケーション方法を工夫し,Aさんに姿勢の傾きを直す方法を説明し,同意を得ることができた。 毎週,Aさんは妻との面会を楽しみにしている。しかし,妻はAさんの将来に不安を感じて,B介護福祉職に,「夫の障害について,情報交換や勉強がしたい。そのようなところがあれば紹介してほしい」と相談した。 次のうち,C介護主任がB介護福祉職への対応に用いた手法として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」問題123
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
答えは2「コーチング(coaching)」です。
C介護主任は、B介護福祉職に答えを直接教えるのではなく、問いかけることでB介護福祉職自身が自分の言動を振り返り、気づきを得られるように関わりました。このように、相手に問いかけながら本人の気づきや成長を引き出す関わり方が「コーチング」です。
たとえるなら、答えをそのまま教えるのではなく、質問を投げかけながら、本人が自分で答えにたどり着けるように寄り添うイメージです。
👉 覚え方:問いかけを通じて本人の気づき・成長を引き出す=コーチング。
ほかの選択肢:1コンサルテーションは異なる専門職種間で専門的な助言を行う関係/3フォロワーシップはリーダーを支える立場の人が主体的に行動すること/4ティーチングは知識・技術を直接教える関わり方でC介護主任の「問いかけ」とは異なる/5メンバーシップは組織の一員として果たす役割や姿勢のことで、今回の1対1の指導場面を表す言葉としては適切でない。
なぜこれが正解か
正解は2。C介護主任は、B介護福祉職に対して答えを直接教える(ティーチング)のではなく、問いかけを通じてB介護福祉職自身に自分の言動(焦り、子どもに言い聞かせるような口調)を振り返らせ、自らの気づきを引き出しており、このような対話を通じて相手の主体的な気づき・成長・行動変容を促す人材育成の手法はコーチングと呼ばれる。
各選択肢の解説
- 1 コンサルテーションは、異なる専門職種間で、対等な立場から専門的な助言や情報提供を行う相互関係を指し、上司・部下という関係性の中での気づきを促す今回の場面とは性質が異なる。
- 3 フォロワーシップは、組織においてリーダーを支える立場のメンバーが、主体的・自律的に組織に貢献する姿勢や行動を指す概念であり、C介護主任がB介護福祉職に対して行った指導的な関わりを説明する言葉としては適切でない。
- 4 ティーチングは、知識や技術、正しいやり方を相手に直接教え伝える指導方法であり、C介護主任が「問いかけ」を通じてB介護福祉職自身の気づきを促した今回のアプローチとは異なる。
- 5 メンバーシップは、組織の一員として自覚を持ち、その役割を果たすことを指す概念であり、今回の1対1の指導場面における具体的な手法を表す言葉としては適切でない。
覚え方・ひっかけ注意
「答えを教える=ティーチング」「問いかけて本人に気づかせる=コーチング」という対比の構図を、本事例(C介護主任の問いかけによってB介護福祉職が自分自身の言動に気づいた場面)と結びつけて覚えておく。
理論的背景
コーチングは、対話を通じて相手(コーチイー)が本来持っている力や可能性を引き出し、自ら気づき、考え、行動を変えていけるよう支援する人材育成の手法である。一方向的に知識・技術・正解を伝えるティーチングとは異なり、コーチングでは「問いかけ」「傾聴」「フィードバック」といった対話の技法を用いて、相手自身の内省を促す点に特徴がある。本事例では、C介護主任が、B介護福祉職に対して一方的に「こうすればよい」と教えるのではなく、対話(問いかけ)を通じてB介護福祉職自身に「Aさんに伝わらない焦り」「子どもに言い聞かせるような口調」という自分自身の課題を振り返らせており、この結果、B介護福祉職は自らコミュニケーション方法を工夫し、Aさんの同意を得ることができるようになった。これは、コーチングが単なる知識の伝達を超えて、職員自身の実践力・自己省察力を高める効果を持つことを示す好例である。
試験での位置づけ
コーチング・ティーチング・コンサルテーション等の人材育成・スーパービジョンに関する用語の理解は、介護の基本領域・介護過程領域・総合問題を横断する重要テーマ。それぞれの手法の定義と適用場面を正確に区別し、事例の中でどの手法が用いられているかを読み取る力が求められる。
選択肢の発展補足
コーチングを通じてB介護福祉職が得た気づき(自分自身の焦りや口調がAさんの感情を害していたこと)は、高次脳機能障害・失語症のある利用者とのコミュニケーションにおいて、話し手の態度や話し方そのものが、伝わり方に大きく影響することを示す重要な学びである。
上位資格・発展
組織マネジメントの専門領域では、コーチングに加え、1on1ミーティング、360度フィードバック等、職員の主体的な成長を支援するための多様な人材育成手法がより体系的に扱われる。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」の問題123です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。図は同センターのPDFから切り出したものです。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。介護保険制度・障害者総合支援法などは改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

