問題
Aさん(50 歳,男性,障害支援区分4 )は,1 年前の交通事故の後遺症で,右片麻痺,高次脳機能障害(higher brain dysfunction),失語症(aphasia)となった。現在は障害者支援施設で生活している。日中は,車いすに座って過ごしているが,すぐに右肩が下がり上半身は右へ傾いた姿勢になる。ある日,B介護福祉職がAさんに姿勢の傾きを直す方法を伝えようとすると,Aさんは大声でどなり,物を投げた。B介護福祉職は,以前からAさんとのコミュニケーションに悩んでいたため,C介護主任に相談することにした。C介護主任の問いかけに答えるなかで,B介護福祉職は自分自身の言動を振り返ることができ,Aさんに伝わらない焦りと,子どもに言い聞かせるような口調が,Aさんの感情を害していたことに気づいた。その後,コミュニケーション方法を工夫し,Aさんに姿勢の傾きを直す方法を説明し,同意を得ることができた。 毎週,Aさんは妻との面会を楽しみにしている。しかし,妻はAさんの将来に不安を感じて,B介護福祉職に,「夫の障害について,情報交換や勉強がしたい。そのようなところがあれば紹介してほしい」と相談した。 B介護福祉職は,Aさんが車いすで良肢位を保つことができるように,クッションを使用することにした。まず,B介護福祉職はAさんの上半身を起こし深く座り直してもらった。 次のうち,B介護福祉職がクッションを挿入する位置として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」問題124
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
答えは5「右上肢と右アームサポートの間」です。
Aさんは右片麻痺があり、車いすに座るとすぐに右肩が下がり上半身が右へ傾いた姿勢になってしまいます。この傾きを支えるためには、力の入りにくい右側の腕(右上肢)と車いすの右側のひじ掛け(右アームサポート)の間にクッションを入れることで、右側への傾きを防ぎ、良い姿勢(良肢位)を保つことができます。
たとえるなら、体が傾いてしまう側にクッションで「ストッパー」を作って、姿勢を支えてあげるイメージです。
👉 覚え方:右へ傾く=傾く側(右上肢とアームサポートの間)にクッションを入れて支える。
ほかの選択肢:1背中とバックサポートの間のクッションは全身の姿勢保持に関わるが今回の「右への傾き」を直接支えるものではない/2左大腿部と座面の間は傾いていない左側への対応で今回の課題とはずれている/3両下腿とレッグサポートの間は足の位置の調整に関わるもので上半身の傾きの対応ではない/4右大腿部と左大腿部の間は脚の開きの調整に関わるもので上半身の傾きの対応ではない。
なぜこれが正解か
正解は5。Aさんは右片麻痺により、車いす座位ですぐに右肩が下がり上半身が右へ傾く姿勢になるため、B介護福祉職が良肢位(身体に負担が少なく安定した姿勢)を保つためにクッションを挿入する位置としては、傾く側である右上肢と右アームサポートの間に挿入し、右側への傾きを物理的に支えることが最も適切である。
各選択肢の解説
- 1 背中とバックサポートの間にクッションを入れることは、体幹全体の姿勢保持や褥瘡予防等には関連しうるが、今回の「右肩が下がり右へ傾く」という左右方向の傾きを直接支える対応としては適切でない。
- 2 左大腿部と座面の間へのクッション挿入は、麻痺のない左側の脚の位置調整であり、右への傾きという今回の課題への直接的な対応にはならない。
- 3 両下腿とレッグサポートの間は、足部の位置や角度の調整に関わる箇所であり、上半身(体幹・肩)の左右の傾きを支える対応としては適切でない。
- 4 右大腿部と左大腿部の間へのクッション挿入は、脚の開き(外転・内転)の調整に用いられることがあるが、上半身の右への傾きを支える対応としては直接的でない。
覚え方・ひっかけ注意
車いす座位での良肢位保持クッションは、「傾く方向・支えたい部位に応じて、その隙間を埋めるように挿入する」という原則を理解しておく。Aさんの場合、右肩が下がり上半身が右へ傾くという症状に対応する箇所(右上肢と右アームサポートの間)を選ぶことがポイントとなる。
理論的背景
片麻痺のある利用者の車いす座位では、麻痺側の筋緊張の低下や感覚障害により、体幹が麻痺側に傾きやすく、これを放置すると、姿勢の崩れによる二次的な問題(褥瘡の発生、関節拘縮の助長、呼吸や嚥下機能への悪影響、さらなる転倒リスクの増大等)を招くおそれがある。良肢位保持のためのポジショニングでは、まず「B介護福祉職はAさんの上半身を起こし深く座り直してもらった」という記述にあるように、骨盤を座面の奥までしっかりと座らせ体幹の土台を安定させた上で、傾きが生じる方向・部位に応じてクッション等を挿入し、隙間を埋めて姿勢を支持することが基本となる。Aさんの場合、右上肢の筋緊張の低下により右肩が下がり、上半身全体が右側に傾く傾向があるため、右上肢と右アームサポートの間にクッションを挿入することで、右上肢を適切な高さで支持し、結果として体幹の右への傾きを軽減する効果が期待できる。
試験での位置づけ
片麻痺のある利用者へのポジショニング(クッションの挿入位置)は、生活支援技術領域・こころとからだのしくみ領域・総合問題を横断する頻出テーマ。脱健着患の原則(第37回 問92等)とあわせて、麻痺側への配慮を伴う具体的な介護技術の理解が問われる。
選択肢の発展補足
ポジショニングの効果は、クッションを挿入して終わりではなく、定期的な姿勢の確認と、必要に応じた調整(除圧、姿勢の変換)を継続的に行うことで維持される。Aさんのように高次脳機能障害・失語症があり、自ら姿勢の不快感を十分に言葉で伝えられない利用者に対しては、介護職が能動的に姿勢を観察し、適切なタイミングで対応することがより重要となる。
上位資格・発展
理学療法士・作業療法士の専門領域では、車いすのシーティング(座位保持装置の調整)について、骨盤・体幹・頭部の位置関係を総合的に評価し、個々の身体状況に応じたより専門的なクッション・装具の選定と調整が行われる。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」の問題124です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。図は同センターのPDFから切り出したものです。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。介護保険制度・障害者総合支援法などは改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

