問題
Aさん(66 歳,女性)は,一人息子と二人で暮らしている。会社の趣味サークルや地域活動に熱心に参加してきた。半年前に,長年勤めた仕事を定年退職して,継続雇用で週2 日の勤務になった。その頃から不眠を訴え,疲れやすく気持ちが落ち込む日が増えてきた。しばらくすると,睡眠中に大声をあげたり,息子の部屋までふらふらと歩いてきたり,自室のカーテンの花柄が動いて怖いと話したりするようになった。 近隣の大学病院を受診した結果,手足の震え,小刻みな歩行,顔のこわばりなどがみられ,レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)の診断を受けた。 Aさんは,趣味活動や自宅で息子と過ごすことを優先し,これからの生活を楽しみたいと考えて,仕事を辞めた。そして,安全に歩く力を維持するために介護サービスを活用しようと考えた。Aさんは要支援2 の認定を受けて,介護予防通所リハビリテーションの利用を始めた。 サービス利用開始から2 か月後,担当介護支援専門員(介護福祉士)はモニタリングを行うために,Aさんの自宅を訪れた。Aさんは,「もっとほかの人と交流したいが,自宅で生活しながら利用できると安心だ。とにかく息子に心配をかけずに一緒に暮らしていきたい」と語った。 息子は,「最近仕事が忙しくなり,今後泊まりの出張もあるので,リハビリ以外のサービスもうまく使ってほしい」と語った。 次のうち,Aさんに利用を勧めるサービスとして,最も適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」問題116
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
答えは4「介護予防小規模多機能型居宅介護」です。
Aさんは「自宅で生活しながら、もっと他の人と交流したい」と話し、息子は「出張が増えるのでリハビリ以外のサービスもうまく使ってほしい」と話しています。小規模多機能型居宅介護は、「通い」を中心に、必要に応じて「訪問」や「泊まり」も組み合わせて利用できるサービスで、Aさんと息子、両方の希望に応えられます。
たとえるなら、1つの事業所が「通う」「来てもらう」「泊まる」の3つの機能を持っていて、その時々の必要に応じて柔軟に使い分けられる便利なサービスです。
👉 覚え方:通い・訪問・泊まりを柔軟に組み合わせ=小規模多機能型居宅介護。
ほかの選択肢:1介護予防認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は施設に住み替える形態でAさんの「自宅で生活しながら」という希望に合わない/2日常生活自立支援事業は判断能力が不十分な人の金銭管理等を支援する制度でサービス利用の相談内容とは異なる/3訪問介護のみでは息子の出張時の宿泊対応まではカバーしきれない/5介護予防・生活支援サービス事業の通所型サービスは通所のみで訪問や泊まりの柔軟な組み合わせには対応しない。
なぜこれが正解か
正解は4。Aさんが「自宅で生活しながら利用できると安心」「もっと他の人と交流したい」と望み、息子も「泊まりの出張もあるのでリハビリ以外のサービスもうまく使ってほしい」と話していることを踏まえると、通い(デイサービス)を中心に、利用者の状態や家族の状況に応じて訪問や宿泊も柔軟に組み合わせて利用できる小規模多機能型居宅介護(要支援者向けは介護予防小規模多機能型居宅介護)が、両者のニーズに最も応えられるサービスである。
各選択肢の解説
- 1 介護予防認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、少人数の認知症高齢者が共同生活を送る施設系のサービスであり、Aさんが望む「自宅で生活しながら」という意向とは異なる住み替えを前提とする。
- 2 日常生活自立支援事業は、判断能力が不十分な人が地域で自立した生活を送れるよう、福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理を支援する事業であり、今回のAさんの相談内容(交流の場や家族の出張時の対応)とは直接関係しない。
- 3 訪問介護(ホームヘルプサービス)は、自宅への訪問による介護が中心であり、他者との交流の機会や、息子が出張で不在となる際の宿泊対応までを柔軟にカバーすることは難しい。
- 5 介護予防・生活支援サービス事業の通所型サービスは、通所(デイサービス型)の支援が中心であり、息子の出張時に必要となりうる宿泊(泊まり)機能までは含まれない。
覚え方・ひっかけ注意
「自宅での生活を継続したい」「他者との交流」「家族の急な不在時にも対応してほしい」という複数のニーズが同時に示された場合、通い・訪問・泊まりを1つの事業所で柔軟に組み合わせられる小規模多機能型居宅介護が第一候補になりやすいという出題パターンを押さえておく。
理論的背景
小規模多機能型居宅介護(要支援者向けは介護予防小規模多機能型居宅介護)は、地域密着型サービスの一つであり、住み慣れた自宅での生活を継続しながら、利用者の心身の状況や希望、家族の事情に応じて、「通い」を中心に「訪問」「泊まり」を同一の事業所・なじみの職員が柔軟に組み合わせて提供する点に最大の特徴がある。Aさんの事例では、①自宅での生活継続への強い希望、②他者との交流機会を増やしたいという意向、③息子の就労状況の変化(出張の増加)により家族介護に頼れない時間帯が生じうるという3つの要素が同時に存在しており、こうした複合的なニーズに対し、1つのサービス・1つの事業所でまとまって対応できる小規模多機能型居宅介護は、制度的にも合理的な選択肢となる。なじみの職員による継続的な関わりは、レビー小体型認知症のように症状に変動があり、環境の変化に敏感な利用者にとって、安心感の面でも大きな利点となる。
試験での位置づけ
小規模多機能型居宅介護の特徴(通い・訪問・泊まりの柔軟な組み合わせ)は、社会の理解領域・介護の基本領域・総合問題を横断する頻出テーマ。訪問介護、通所介護、グループホーム等、他の在宅・地域密着型サービスとの機能の違いを整理し、事例の状況(複合的なニーズがあるか)に応じて使い分けられるようにしておくことが重要。
選択肢の発展補足
Aさんの事例は、担当介護支援専門員によるモニタリングの結果、本人と家族双方の状況の変化(交流ニーズの高まり、息子の就労状況の変化)を踏まえてケアプランを見直すプロセスを示しており、継続的なアセスメントの重要性を学ぶ好例である。
上位資格・発展
介護支援専門員の実務では、小規模多機能型居宅介護の利用にあたり、それまで利用していた訪問介護等の外部サービスとの併用制限(小規模多機能型を利用すると訪問介護等は原則利用できなくなる)等、制度上の細かい留意点についてもより詳細な知識が求められる。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」の問題116です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。図は同センターのPDFから切り出したものです。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。介護保険制度・障害者総合支援法などは改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

