問題
Aさん(72 歳,男性)は記憶障害があり,介護施設に入居している。ある日,介護福祉職にAさんが,「あの,ちょっとお願いがあるんです。ええとね,実は,お昼ご飯をほとんど残しちゃいました…。それでね…,あ,あれかな,調理師さんはがっかりしたかな,私はずっと食堂をやっていたんですよ。店はけっこう繁盛していたけど閉めることになってね。あ,ええと何の話だったかな…」と話しかけてきた。 次のうち,このときのAさんの発言を促すための介護福祉職の応答として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」問題33
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
答えは5「『何かお願いがあるのではありませんか』」です。
Aさんは最初に「ちょっとお願いがあるんです」と話し始めましたが、話が脱線してしまい、本来伝えたかった「お願い」にたどり着けずにいます。記憶障害があるAさんが、最初に伝えたかった本題に戻れるよう、その部分をもう一度確認する声かけをすることが、発言を促す適切な対応です。
たとえるなら、話が脇道にそれてしまった人に、「あれ、最初は何のお話でしたっけ?」とそっと本題に戻る手助けをするイメージです。
👉 覚え方:話が脱線したら、最初の話題(本題)に戻る声かけをする。
ほかの選択肢:1「お店を閉めたくなかったのですね」は途中で出た過去の話題を深掘りする方向で本題から離れる/2「どんな料理が得意だったのですか」も脱線した話題をさらに広げる方向/3「調理師さんのことは気にしなくていいですよ」は本人の心配を軽視するような対応/4「どこかからだの具合が悪いのではないですか」は的外れな心配で本題とは無関係。
なぜこれが正解か
正解は5。Aさんは会話の冒頭で「お願いがある」と切り出したが、記憶障害の影響で話が次々と脱線し、最終的に「何の話だったかな」と本来の用件を見失ってしまっている。この状況で介護福祉職が「何かお願いがあるのではありませんか」と最初の話題に立ち返る声かけをすることは、Aさんが本来伝えたかった内容を思い出し、発言を続けられるよう促す適切な対応である。
各選択肢の解説
- 1 「お店を閉めたくなかったのですね」という応答は、会話の途中で出てきた過去の話題(飲食店を経営していたこと)をさらに深掘りする方向であり、Aさんが最初に伝えたかった「お願い」からますます遠ざかってしまう。
- 2 「どんな料理が得意だったのですか」という質問も、同様に脱線した話題をさらに広げる方向の対応であり、本題への回帰を助けない。
- 3 「調理師さんのことは気にしなくていいですよ」という発言は、Aさんが気にかけている気持ちを軽視するような対応であり、また本題(お願いの内容)への言及にもなっていない。
- 4 「どこかからだの具合が悪いのではないですか」という問いかけは、会話の内容とは無関係な心配であり、Aさんの発言の流れとは無関係な的外れな対応である。
覚え方・ひっかけ注意
記憶障害等により話が脱線しやすい利用者との会話では、途中で出てきた話題を深掘りするのではなく、本来の出発点(最初に伝えたかった用件)にそっと立ち返らせる声かけが、発言を促す適切な対応になるというパターンを押さえる。
理論的背景
記憶障害(特に短期記憶・作動記憶の障害)のある人は、会話の途中で本来の話題を見失い、次々と関連する記憶が想起されるままに話が展開してしまうことがある。こうした場面での支援的な傾聴技法としては、話を遮らずに一通り聞いた上で、「最初は何のお話でしたか」といった形で本題への回帰を促す関わりが有効とされる。これは、単に情報を得るための質問ではなく、Aさんが「お願いがある」と切り出した最初の意図・ニーズを尊重し、それを実現できるよう支援するという、利用者主体のコミュニケーション姿勢の表れでもある。Aさんの発言内容(昼食を残したこと、元調理師であったこと)から推測すると、お願いの内容は食事に関する何らかの要望であった可能性が考えられるが、断定せずに本人自身に思い出してもらう関わりが重要である。
試験での位置づけ
記憶障害・話の脱線がある利用者とのコミュニケーション技法は、コミュニケーション技術領域・認知症の理解領域を横断するテーマ。第38回 問30(要約による話の整理)とは異なり、本問は「本題への回帰を促す」という別のアプローチが問われている点に注意し、両者の違いを理解しておくことが重要。
選択肢の発展補足
記憶障害のある人との会話では、脱線した話題を無理に打ち切らず、いったん受け止めた上で、適切なタイミングで本題に戻す声かけを行うバランス感覚が求められる。急に話を遮ると、本人が「否定された」と感じ、心を閉ざしてしまう可能性もあるため、丁寧な対応が重要である。
上位資格・発展
認知症ケアの専門領域では、記憶障害のある人とのコミュニケーション技法として、視覚的な手がかり(メモ、写真等)を用いて話題を可視化し、本題を見失わないよう支援する工夫もより発展的に扱われる。介護福祉士としては、本人のペースを尊重しながら、必要な情報(今回であれば「お願いの内容」)を丁寧に引き出す関わりが実践的に重要である。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」の問題33です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。図は同センターのPDFから切り出したものです。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。介護保険制度・障害者総合支援法などは改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

