問題
次の記述のうち,歩行が不安定になり,移動の意欲が低下している利用者に対する介護として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」問題38
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
答えは3「成功体験を積み重ねることができるように,達成可能な歩行の目標距離を設定する」です。
歩行への意欲が下がっている人には、まず「これならできそう」という現実的な目標を設定し、それを達成する経験を重ねてもらうことで、少しずつ自信と意欲を取り戻してもらうことができます。
たとえるなら、いきなり高い目標を掲げず、「まずここまで歩いてみよう」という小さな達成を積み重ねていくイメージです。
👉 覚え方:移動意欲の低下=達成可能な目標で成功体験を積み重ねる。
ほかの選択肢:1福祉用具の使用を避けることは安全性を欠き、かえって歩行への不安・意欲低下を強める可能性がある/2移動の目的(どこに何のために行くか)を伝えることは、歩行機能の改善以前に本人の意欲を引き出すために重要/4歩行の不安定さを理由に移動範囲を縮小することは、意欲低下や活動性の低下をさらに悪化させかねない/5本人の希望を確認せず介護福祉職の判断だけで歩行目標を課すことは、本人主体の原則に反する。
なぜこれが正解か
正解は3。歩行が不安定で移動への意欲が低下している利用者に対しては、無理のない、達成可能な歩行の目標距離を設定し、それを実際に達成できたという成功体験を積み重ねてもらうことで、自己効力感を回復させ、意欲の向上につなげることが適切な介護方針である。
各選択肢の解説
- 1 福祉用具(杖、歩行器等)の使用を避けて自力歩行のみを目指すよう促すことは、転倒リスクを高め、かえって歩行への不安や意欲低下を強める可能性があり適切でない。
- 2 移動の目的(例:食堂で好きな番組を見る、友人に会いに行く等)を伝えることは、歩行そのものへの意欲を引き出す重要な要素であり、機能改善を目的説明より優先するという発想は本人の主体性を軽視している。
- 4 歩行の不安定さを理由に移動範囲を一方的に縮小することは、活動性のさらなる低下(廃用症候群のリスク)や、意欲の低下を助長する悪循環を招きかねない。
- 5 本人が希望していないにもかかわらず、介護福祉職の判断だけで毎日の歩行を目標として課すことは、本人の意思を尊重しない一方的な対応である。
覚え方・ひっかけ注意
移動の意欲低下への対応を問う設問では、「制限する(用具を避ける、範囲を縮小する)」「本人の意思を無視する(一方的に目標を課す)」選択肢は誤答になりやすい。「小さな成功体験の積み重ね」という自己効力感を高める視点が正解の軸となる。
理論的背景
移動・歩行への意欲低下は、身体機能の低下(筋力低下、バランス能力の低下)に加え、転倒への恐怖心(転倒後症候群)、失敗体験の積み重ねによる自己効力感の低下等、心理的な要因も複合的に関わっていることが多い。心理学における自己効力感(セルフエフィカシー)の理論(バンデューラ)では、達成可能な小さな目標を段階的にクリアしていく「遂行行動の達成」が、自己効力感を高める最も効果的な方法とされる。この考え方を歩行リハビリテーション・介護の現場に応用すると、いきなり長い距離や困難な課題を設定するのではなく、本人が「できた」と実感できる現実的な目標(例:まず居室からトイレまで、次は食堂まで)を段階的に設定し、達成の都度、肯定的なフィードバックを行うことで、意欲の維持・向上を図ることができる。
試験での位置づけ
移動の意欲低下への対応は、生活支援技術領域の頻出テーマ。第38回 問78(予備力の低下)、37-90(前頭側頭型認知症の食行動)とも関連し、身体機能の低下だけでなく心理面(意欲・自己効力感)にも配慮した支援の視点が重要。
選択肢の発展補足
成功体験を積み重ねる支援は、単に歩行距離の設定だけでなく、目的のある活動(買い物、レクリエーションへの参加等)と組み合わせることで、より効果的に意欲を引き出すことができる。第38回 問6の知的障害のあるAさんへの行動援護のように、本人にとって意味のある目的地への移動を支援することも、意欲向上の重要な視点である。
上位資格・発展
リハビリテーション心理学の分野では、自己効力感の理論に基づく目標設定技法(SMART目標:具体的・測定可能・達成可能・関連性・期限を明確にする目標設定)や、動機づけ面接法(本人の変化への意欲を引き出す対話技法)がより専門的に扱われる。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」の問題38です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。図は同センターのPDFから切り出したものです。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。介護保険制度・障害者総合支援法などは改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

