問題
Aさん(85 歳,男性,要介護3 )は,アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断され,認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)で生活をしている。入所時,Aさんは,尿意や便意はあり,自分でトイレに行って排泄できていた。最近,認知機能の低下によって,トイレ以外の場所で排泄するようになった。 次の記述のうち,Aさんの状態に合わせた介護福祉職の対応として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」問題51
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
答えは5「トイレの出入口に『トイレ』と書いた紙を貼る」です。
Aさんは、以前は自分でトイレに行けていましたが、認知機能が低下してトイレの場所がわからなくなってきたと考えられます。出入口に「トイレ」と書いた紙を貼っておけば、その表示を見てトイレの場所を思い出しやすくなります。
たとえるなら、迷いやすい場所に大きな案内板を出してあげて、迷わず行けるようにするイメージです。
👉 覚え方:トイレの場所がわからなくなった=わかりやすい表示で見当識を補う。
ほかの選択肢:1骨盤底筋訓練は尿失禁(腹圧性等)の訓練法で、今回のトイレの場所がわからないという課題とは異なる/2紙おむつの使用は安易な対応で、まず環境面の工夫を試みることが優先される/3一日の水分摂取量を減らすことは脱水のリスクがあり不適切/4ほかの利用者と同じ時間にトイレへ誘導することは、Aさんの個別の排泄パターンや、今回の課題(場所がわからない)への直接的な対応にはならない。
なぜこれが正解か
正解は5。以前は自分でトイレに行って排泄できていたAさんが、認知機能の低下によりトイレ以外の場所で排泄するようになった背景には、見当識障害(トイレの場所がわからなくなること)が考えられるため、トイレの出入口に「トイレ」と書いた紙を貼るという視覚的な手がかりを提供することで、見当識の低下を補い、本人が自らトイレの場所を認識できるよう支援することが適切な対応である。
各選択肢の解説
- 1 骨盤底筋訓練は、腹圧性尿失禁(咳やくしゃみで尿が漏れる等)の改善を目的とした訓練であり、Aさんの課題(トイレの場所がわからない)とは性質が異なる。
- 2 紙おむつの使用は、環境的な工夫を試みる前に安易に選択すべき対応ではなく、まずAさんが自らトイレで排泄できる可能性を残す工夫(環境調整)を優先すべきである。
- 3 水分摂取量を減らすことは、脱水や便秘、尿路感染症(第36回 問94)のリスクを高めるため、排泄の失敗への対応として不適切である。
- 4 ほかの利用者と同じ時間にトイレへ一律に誘導することは、Aさんの本来の排泄パターンや、今回の根本的な課題(トイレの場所を認識できないこと)への直接的な対応にはならない。
覚え方・ひっかけ注意
見当識障害によるトイレの場所の混乱には、まずシンプルでわかりやすい視覚的な手がかり(表示、色分け等)を用いた環境調整を試みるという対応が正解の軸となる。おむつの使用や水分制限は、根本的な解決を図らない対症的・消極的な対応として避けるべきである。
理論的背景
認知症の進行に伴い、これまで自立して行えていたトイレでの排泄が困難になる背景には、①見当識障害(トイレの場所がわからない)、②遂行機能障害(トイレに行くまでの一連の動作を組み立てられない)、③失行(衣服の着脱動作がうまくできない)等、様々な要因が考えられる。本事例のように、「最近、認知機能の低下によってトイレ以外の場所で排泄するようになった」という経過からは、見当識障害が主たる要因である可能性が高く、この場合、環境的な手がかり(トイレのドアへの表示、目立つ色使い、第38回 問87の認知症の人への環境配慮)を提供することで、機能低下を補いながら自立した排泄行動を維持できる可能性がある。安易におむつを使用することは、第36回 問94・37-95で学んだように、本人の尊厳・活動性・感染リスクの観点から避けるべき対応であり、まず環境調整による自立支援を試みることが、介護の基本原則として重視される。
試験での位置づけ
認知症の人の排泄支援における環境調整は、生活支援技術領域・認知症の理解領域を横断する重要テーマ。第36回 問94(尿路感染症予防のためのトイレ誘導)、38-87(環境配慮)とあわせて、「安易なおむつ化を避け、環境調整で自立を支える」という一貫した視点を理解しておくことが重要。
選択肢の発展補足
トイレの表示以外にも、トイレのドアを目立つ色にする、居室からトイレまでの動線に目印を設置する、排泄パターンを把握して定期的に声かけを行う等、複数の工夫を組み合わせることで、より効果的な支援が可能になる。
上位資格・発展
認知症ケアの専門領域では、排泄の自立支援に向けたアセスメント手法(排泄日誌の活用、認知機能検査との関連づけ)や、環境調整の効果検証がより体系的に扱われる。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」の問題51です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。図は同センターのPDFから切り出したものです。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。介護保険制度・障害者総合支援法などは改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

