問題
Aさん(83 歳,男性,要介護1 )は,一人暮らしで,少額の年金で生活している。Aさんは軽度の認知症(dementia)と診断を受けている。近所には親しくしている人が複数人いる。ある日,訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問すると,近所のスーパーで購入した未開封の健康食品が山積みになっていた。Aさんが財布を持ってきて,「買いたいものがたくさんあるが,お金が足りない。どうしたらよいか」と訪問介護員(ホームヘルパー)に相談した。 このときの訪問介護員(ホームヘルパー)の対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」問題53
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
答えは4「『お金の使い方について,一緒に考えてみませんか』と提案する」です。
Aさんは健康食品を必要以上に買ってしまい、お金が足りなくなって困っています。この状況を一緒に振り返り、これからのお金の使い方について本人と一緒に考えていくことが、本人の生活を支える適切な関わり方です。
たとえるなら、困っていることを頭ごなしに否定せず、「一緒に考えよう」と寄り添って提案するイメージです。
👉 覚え方:金銭管理の困りごと=本人と一緒に考える姿勢で提案する。
ほかの選択肢:1「お金は足りているから安心して」と伝えるのは、実際の状況(お金が足りない、健康食品を買いすぎている)を無視した不誠実な対応/2近所の人に財布を預かってもらうことは、信頼関係やトラブルのリスクの観点から慎重を要し、訪問介護員が安易に持ちかけるべき対応ではない/3訪問介護員が財布の鍵を管理することは、金銭管理の代行にあたり訪問介護員の業務範囲を超える/5健康食品はスーパーでの店頭購入であり、クーリング・オフの対象となる取引形態(訪問販売等)とは異なる可能性が高く、安易に勧めるべきではない。
なぜこれが正解か
正解は4。少額の年金で生活し、軽度の認知症があるAさんが、健康食品を必要以上に購入してしまい、お金が足りずに困っている状況に対しては、訪問介護員がAさんと一緒にお金の使い方を振り返り、今後の対応を共に考えていく姿勢で提案することが、本人の意思を尊重しながら生活を支える適切な対応である。
各選択肢の解説
- 1 「お金は足りているから安心して」という発言は、実際に生じている問題(過剰購入による金銭的な困窮)を直視せず、その場しのぎの不誠実な対応であり、根本的な解決にはつながらない。
- 2 近所の親しい人に財布を預けることを提案することは、金銭を預ける相手の信頼性や、後々のトラブル(使い込み、責任の所在等)のリスクを伴うため、訪問介護員が軽々しく持ちかけるべき対応ではない。
- 3 訪問介護員が鍵付きの引き出しの鍵を管理することは、実質的にAさんの金銭管理を代行する行為であり、訪問介護の業務範囲(第37回 問68)を超える不適切な対応である。
- 5 クーリング・オフは、訪問販売や電話勧誘販売等、特定の取引形態に適用される制度であり、近所のスーパーでの店頭購入にはクーリング・オフ制度が適用されない可能性が高いため、安易に勧めることは適切でない。
覚え方・ひっかけ注意
高齢者の金銭トラブル・浪費への対応では、「訪問介護員が金銭を預かる・管理する」対応は業務範囲を超え不適切、「安易に安心させる」「他人に丸投げする」対応も不誠実である点を押さえ、「本人と一緒に考える」という協働的な姿勢が正解の軸となる。
理論的背景
軽度認知症のある高齢者の金銭管理・消費行動の課題は、判断力の低下により、必要以上の物品購入や、悪質な勧誘への対応の困難といった形で表面化することがある。訪問介護員は、金銭そのものを管理する立場にはないが、日常的な関わりの中でこうした変化に気づき、本人の意思を尊重しながら、必要に応じて日常生活自立支援事業(第36回 問55)や成年後見制度、地域包括支援センター、消費生活センター(第36回 問15、36-99)等の専門的な支援につなげる橋渡し役を担う。まず本人と一緒に状況を振り返り、困りごとを言語化して共有するプロセスは、本人の自己決定を尊重しながら、専門的な支援へとつなげていく第一歩として重要である。
試験での位置づけ
高齢者の金銭管理・消費者被害への対応は、生活支援技術領域・社会の理解領域を横断する重要テーマ。第36回 問55(日常生活自立支援事業)、36-99(テレビショッピングでの契約トラブル)とあわせて、訪問介護員が金銭管理そのものを代行するのではなく、専門機関へつなぐ橋渡し役として関わるという一貫した原則を理解しておくことが重要。
選択肢の発展補足
本事例のように、判断能力の低下が疑われる場合は、地域包括支援センターとの連携により、日常生活自立支援事業や成年後見制度の利用検討につなげることが、根本的な解決に向けた次のステップとなる。
上位資格・発展
権利擁護実践の専門領域では、消費者被害の兆候の早期発見(未開封の商品の山積み等)から、多機関連携による支援体制の構築(地域包括支援センター、消費生活センター、警察等)までのプロセスがより体系的に扱われる。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」の問題53です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。図は同センターのPDFから切り出したものです。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。介護保険制度・障害者総合支援法などは改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

