問題
次の記述のうち,諸外国における精神保健医療福祉の歴史に関する内容として,正しいものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題36(精神保健福祉の理論と相談援助の展開)
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 5
各国の精神保健医療福祉の歴史は、「国の名前」と「文書や法律の名前」の組み合わせで問われます。イギリスの「国民保健サービス及びコミュニティケア法」は、地域で暮らす人のニーズを自治体が評価し、サービスを組み立てる仕組み、つまりケアマネジメントを制度に取り入れた法律です。選択肢5はこの組み合わせが正しいので正解です。
ほかの選択肢は、文書や法律の名前が別の国のものです。たとえば「精神疾患および知的障害者に関する大統領教書」はアメリカの文書で、イタリアのものではありません。国と文書をセットで覚えておくと迷いません。
なぜ正解か
正解は 5。イギリスの「国民保健サービス及びコミュニティケア法」(National Health Service and Community Care Act)は、地域社会でのケア(コミュニティケア)を進めるため、地方自治体にニーズのアセスメントとサービス計画の役割を担わせた法律で、ケアマネジメント導入の根拠として知られている。英国の公式法令データベースでも、同法は1990年の法律(1990 c.19)で、コミュニティケアのアセスメント(第47条)と計画(第46条)を定めている。
ほかの選択肢
各選択肢は、文書や法律の「国」が入れ替えられている。
- 1:「法律第431号」はイタリアの1968年の法律で、本人の求めによる自発的入院を認めた。
- 2:「ルッキング・フォワード」はアメリカではなく、ニュージーランドの精神保健サービスの方向性を示した文書として整理される。
- 3:「精神疾患および知的障害者に関する大統領教書」は、アメリカのケネディ大統領が1963年に示した文書。イタリアでは1978年の法律第180号が精神科病院の新設を禁じた。
- 4:「ついに闇からの脱出」はフランスではなく、カナダの上院委員会が2006年に公表した報告書。
覚え方
「国+文書名」を1組ずつ確実に対応させる。入れ替えの出題が定番なので、正しい国を言える状態にしておく。
根拠と位置づけ
正解は 5。イギリスの国民保健サービス及びコミュニティケア法(1990年、1990 c.19)は、同国の公式法令データベース(legislation.gov.uk)で確認できる。第3部がイングランド・ウェールズのコミュニティケアにあたり、第46条は自治体のコミュニティケア・サービス計画、第47条はコミュニティケア・サービスが必要と思われる人へのニーズのアセスメントを定める。入所施設中心から地域ケアへ移すとき、一人ひとりのニーズを評価して必要なサービスを調整する枠組み(ケアマネジメント)を、自治体の責務として制度に組み込んだ点が重要である。日本の介護保険制度のケアマネジメントや、障害福祉の相談支援専門員によるサービス等利用計画を考える際の、海外の先行例として学ぶ。
誤りの肢の論点
本問は「国と文書の組み合わせ」を入れ替える形式で、4つの誤りはいずれも別の国に属する。
- 肢1:「法律第431号」はイタリアの1968年の法律で、第4条により本人の求めによる自発的入院が認められた。強制入院が中心だった枠組みに、本人の意思による入院を位置づけた点が論点になる。
- 肢2:「ルッキング・フォワード」はニュージーランドの精神保健サービスの方向性を示した文書として扱う。アメリカは別の流れ(大統領教書と地域精神保健センター構想)で整理する。
- 肢3:アメリカでは、ケネディ大統領が1963年2月に議会へ送った教書を契機に、大規模な精神科病院中心から地域の精神保健センターへ向かう脱施設化が進んだ。一方イタリアは、1978年の法律第180号で精神科病院の新設を禁じた国で、精神科医バザーリアの実践が背景にある。「脱施設化」という同じ方向でも、国と手段が異なる。
- 肢4:「ついに闇からの脱出」は、カナダ上院の社会問題・科学技術常任委員会が2006年に公表した精神保健に関する報告書。フランスは、地域を区画(セクター)に分けて同じチームが入院から地域まで担当する「セクター政策」の国として覚える。
関連して出る論点
- 脱施設化とコミュニティケア:アメリカ(大統領教書)、イギリス(コミュニティケア法)、イタリア(精神科病院の新設を禁じた法)の3つは出題されやすい。
- 精神障害者の人権:国連の「精神疾患を有する者の保護及びメンタルヘルスケアの改善のための諸原則」(問39)や、日本の精神保健法・精神保健福祉法への流れとあわせて、時系列で整理しておく。
学習のコツ
国ごとの特徴を「脱施設化の手段」で一言にしておく。アメリカ=地域のセンター、イギリス=ケアマネジメント、イタリア=精神科病院の新設禁止、フランス=セクター制。年代順では、アメリカ(1963年)、イタリア(1968年・1978年)、イギリス(1990年)、カナダ(2006年)となる。
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題36(精神保健福祉の理論と相談援助の展開)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:合格ナビ運営事務局(運営者情報)・編集方針。

