精神保健福祉士

精神保健福祉士 第26回 問題35|精神保健福祉相談援助の基盤

問題

精神保健福祉士 | 第26回(令和5年度) | 令和6年2月3日(土)・4日(日)実施・精神保健福祉相談援助の基盤

次の事例を読んで,問題33 から問題35 までについて答えなさい。

〔事 例〕

精神科クリニックで働くB精神保健福祉士(以下「Bワーカー」という。)は,中学の養護教諭からの紹介で,嫌なことがあるとリストカットするというCさん(15 歳,女性)のインテーク面接を行った。当日母親が付き添っていたが,はじめにCさんから話を聞いた。Bワーカーがバイオサイコソーシャルモデルにのっとって話を聞く中で,Cさんはクラスの誰とも付き合いがなく,休み時間も机に伏していることや,摂食障害の傾向もあることが分かってきた。親については,「父親はいつも酔っている。母親は怒ってばかりなので何も話していない。今日も理由が何か分からずに来ている」と言う。BワーカーはCさんが話してくれたことをねぎらい,医師の診察につなげた。 (問題33)診察後,医師とBワーカーは,Cさんにことわって,母親に状況を話した。母親は驚き,「夫のことで頭が一杯で気が付かなかった。夫は毎晩深酒しては,Cの成績や反抗的態度について私を責めるんです。だからついCには厳しくしてしまって。Cが身体を傷つけたり,無理に食べて吐いたりするのをすぐにやめさせます」と言う。Bワーカーは,「急いでCさんの行動をやめさせようとせず,まずCさんの思いを聞きましょう」と伝えた。 Cさんの通院が始まり,Bワーカーは,母親に対してCさんへの対応を話し合うだけでよいのか気になったため,職能団体が実施するスーパービジョンを受けた。スーパーバイザーからは家族をシステムとして理解すること,母親もクライエントであるという視点をもつこと等の助言を得た。Bワーカーは母親のニーズと共に,親子3 人の関係性からCさんの問題を考え始めた。(問題34)BワーカーはCさんの話を聞くように努め始めた母親を称賛しつつ,母親のニーズを明確にしていった。そして母親に更なる気づきを促すために,「他の家族からも学びましょう」と保健所主催のアルコール問題を理解するための家族教室への参加を勧めた。(問題35)

次の記述のうち,母親に保健所主催の家族教室を紹介した目的として,適切なものを1 つ選びなさい。

【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題35(精神保健福祉相談援助の基盤)

※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。

※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。

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答え合わせ

正解は 5
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  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。

正解は 5

Bワーカーは、母親に「他の家族からも学びましょう」と、保健所が開くアルコール問題を理解するための家族教室を勧めました。目的は、父親の飲酒問題が母親やCさんにどのような影響を与えているかを、母親自身に理解してもらい、さらに気づきを深めてもらうことです。

避難(1)、母親の対応を直ちにやめさせること(2)、飲む理由をなくすこと(3)、父親を連れてきて解決すること(4)は、いずれも家族教室の目的ではありません。家族教室は家族が学び、支え合う場です。

なぜ正解か

正解は 5。家族教室は、病気や問題についての正しい知識、家族の対応の仕方、家族自身の健康の守り方を学び、同じ立場の家族と経験を分かち合う場である。Bワーカーは「母親に更なる気づきを促すために」家族教室を勧めた。父親の飲酒問題が家族関係にどう影響し、それがCさんの状態にどうつながっているかを、母親自身が理解することが目的である。

ほかの選択肢

  • 1:避難が必要な緊急性(暴力の危険など)は事例に示されておらず、家族教室は避難のための制度でもない。
  • 2:母親の対応を「直ちにやめてもらう」のは指示的で、母親の主体的な気づきを促すという目的と合わない。
  • 3:飲酒の理由を家族が取り除こうとすることは、かえって家族が飲酒問題に巻き込まれる結果になりやすい。
  • 4:家族教室の対象は家族であり、父親を同伴して飲酒問題を解決してもらう場ではない。

覚えるポイント

家族教室は、知識の習得と同じ立場の家族との分かち合いを通じて、家族自身の気づきと回復を支える心理教育の場。本人の問題を家族が肩代わりしない、という家族支援の原則とあわせて押さえる。

正解の位置づけ

正解は 5。アルコール依存症などの問題では、飲酒する本人だけでなく、家族も強いストレスにさらされ、その影響が子どもを含む家族全体に広がる。家族は、本人の飲酒をやめさせようと監視したり、後始末をしたり、責めたりすることにエネルギーを注ぎ、知らないうちに飲酒問題を中心に生活が回ってしまう。本事例でも、母親は父親から責められる中でCさんに厳しく当たり、Cさんの自傷や摂食の問題が生じていた。Bワーカーは、問題34で家族システムの視点を得たうえで、母親が「他の家族からも学ぶ」ことで、父親の飲酒が自分とCさんにどう影響しているかに気づけるよう、保健所の家族教室を勧めた。家族教室は心理教育の場であり、知識の習得と、同じ立場の家族との分かち合いの両方を通じて、母親自身の気づきと回復を支えるものである。

誤りの肢の論点

  • 1:暴力から逃れるための避難が必要な状況であれば、配偶者暴力相談支援センターなど別の対応が必要になる。本事例ではそのような危険は示されていない。
  • 2:「誤った対応を直ちにやめさせる」という発想は、問題33で母親が「Cの行動をすぐにやめさせます」と言ったのに対してBワーカーが「急いで…やめさせようとせず」と応じたことと同じ構図であり、Bワーカーの支援方針と矛盾する。
  • 3:飲酒の理由を家族が取り除こうとする関わりは、家族が本人の飲酒の責任を引き受けてしまうことにつながる。家族支援では、本人の問題は本人の責任とし、家族は自分自身の生活と健康を取り戻すことが重視される。
  • 4:家族教室は家族のための場。本人の治療につなげることは長期的な目標になりうるが、まず家族が知識と対処法を身につけ、家族自身が回復することが先になる。

関連論点

  • 共依存とイネイブリング:家族が本人の飲酒の後始末をし続けることで、結果的に飲酒が続く状態を支えてしまうこと(イネイブリング)や、本人の問題に過度に巻き込まれる関係(共依存)が知られている。
  • CRAFT:家族が本人への関わり方を変え、本人を治療につなげることを目指す家族向けプログラム。
  • 家族向けの社会資源:保健所や精神保健福祉センターの家族教室・家族相談、断酒会などの家族会、アラノン(アルコール依存症者の家族の自助グループ)など。子どもの立場の影響を扱う視点(アダルトチルドレンの概念など)もあわせて押さえておく。
この問題の根拠出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題35(精神保健福祉相談援助の基盤)。解説は合格ナビが独自に作成したものです。
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題35(精神保健福祉相談援助の基盤)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。

解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。

執筆・運営:合格ナビ運営事務局(運営者情報)・編集方針。