問題
次のうち,国連総会で採択された「精神疾患を有する者の保護及びメンタルヘルスケアの改善のための諸原則(」1991 年)の内容として,正しいものを2 つ選びなさい。 (注) 「精神疾患を有する者の保護及びメンタルヘルスケアの改善のための諸原則」の日本語訳は,厚生科学研究班の仮訳によるものである。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題39(精神保健福祉の理論と相談援助の展開)
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
※この問題は2つ選ぶ形式です。2つとも選ぶと答え合わせになり、正答の全部を選んだときだけ正解として扱います。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 4 と 5
この問題は、1991年に国連総会で採択された、精神疾患のある人の人権を守るための諸原則からの出題です。この原則は、精神疾患のある人の人権を守る立場から、不妊手術を精神疾患の治療として行うことを認めません。また、すべての人が、可能な最善のメンタルヘルスケアを受ける権利をもつとしています。選択肢4と5がそれにあたります。
ほかの選択肢は、精神疾患のある人を他の疾患と異なって扱ったり、権利を手放すように求めたりする内容で、原則の趣旨に反します。
なぜ正解か
正解は 4 と 5。「精神疾患を有する者の保護及びメンタルヘルスケアの改善のための諸原則」は、1991年に国連総会で採択された。精神疾患のある人の人権を保障し、ケアの質を高めるための国際的な指針である。
- 4:原則11第12項が、不妊手術は精神疾患の治療として決して行わないと定めている。
- 5:原則1第1項が、すべての人は可能な最善のメンタルヘルスケアを受ける権利を有し、そのケアは保健・社会ケア制度の一部をなすと定めている。
ほかの選択肢
- 1:原則15第2項は、精神保健施設へのアクセスは他の疾患の施設と同じ方法で行うとしている。「異なる方法」は誤り。
- 2:原則11第5項は、患者にインフォームド・コンセントの権利を放棄するよう求めたり勧めたりしてはならないとしている。
- 3:原則4第1項は、精神疾患の判定は国際的に受け入れられた医学的基準に即して行うとしている。
補足
この原則は、精神障害者の人権擁護を考えるときに参照される国際文書として出題される。設問の注のとおり、日本語訳は厚生科学研究班の仮訳である。
位置づけ
正解は 4 と 5。「精神疾患を有する者の保護及びメンタルヘルスケアの改善のための諸原則」(国連総会決議46/119、1991年12月17日採択)は、精神疾患のある人の権利保障に関する国際文書である(以下「国連原則」)。条約ほどの法的拘束力はないが、各国の精神保健法制が人権の面で適切かを測る基準として参照される。この問題の注に「日本語訳は厚生科学研究班の仮訳によるもの」とあるとおり、公的な正式訳ではないため、設問の文言は訳によって表現が異なる。解くときは、個々の語句よりも各原則の趣旨をつかむとよい。
正答の肢
- 肢4:原則11第12項。不妊手術は、精神疾患の治療として決して行わない。不妊手術は精神疾患の治療になるものではなく、本人の人権にかかわる重大な問題として扱われる。
- 肢5:原則1第1項。すべての人は可能な最善のメンタルヘルスケアを受ける権利をもち、そのケアは保健・社会ケア制度の一部をなすとされる。精神保健ケアを一般の医療・福祉から切り離さない考え方である。
誤りの肢の論点
- 肢1:原則15第2項は、精神保健施設へのアクセスを他の疾患の施設と同じ方法で行うとしており、本肢はその逆である。国連原則は、精神疾患のある人を他の疾患の人と区別して扱うこと自体を避ける方向に立っている。「精神疾患だから特別な扱いでよい」とする選択肢は、まずこの点で疑う。
- 肢2:インフォームド・コンセント(十分な情報にもとづく同意)は、治療の基本原則である。原則11第5項は、患者に権利の放棄を求めたり勧めたりしてはならないとする。この点は、「精神障害者は判断能力が低い」という思い込みを退け、できる限り本人の意思決定を支える考え方(意思決定支援)につながる。
- 肢3:原則4第1項により、精神疾患の判定は国際的に受け入れられた医学的基準に即して行うので、各国が独自に認めた基準で行うとする本肢は誤り。国ごとにばらばらの基準では、人権を守る国際的な指針にならないからである。
関連して出る論点
- 国連の障害者権利条約:精神障害のある人の権利を含む、法的拘束力のある条約。国連原則と条約の違い(原則は総会の決議、条約は批准した国を拘束する)を押さえる。
- 日本の精神保健福祉法:精神障害者の人権擁護と、本人の意思を尊重した入院のあり方は、法改正のたびに論点になる。出題当時(第26回)の内容と、2024年4月に施行された改正後の内容は区別して整理する。
学習のコツ
国連原則の肢は、「精神疾患だから別扱い・権利を制限」という方向なら誤り、「他の人と同じ権利・最善のケア・人権を守る」という方向なら正しい、と見分けると取りこぼしにくい。
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題39(精神保健福祉の理論と相談援助の展開)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:合格ナビ運営事務局(運営者情報)・編集方針。

