精神保健福祉士

精神保健福祉士 第26回 問題46|精神保健福祉の理論と相談援助の展開

問題

精神保健福祉士 | 第26回(令和5年度) | 令和6年2月3日(土)・4日(日)実施・精神保健福祉の理論と相談援助の展開

統合失調症の娘をもつEさん(70 歳,女性)は10 年前より家族相談員として活動している。ある日の相談会に,Fさん(45 歳,女性)が初めて相談に訪れ,「息子が病気になったのは親のせいなのでしょうか」と沈鬱な表情で話した。Eさんは,「私も娘が病気になった頃は自分を責めてばかりでした」と話すと,Fさんは,「Eさんもそうだったのですか」と言い,涙を流した。その後Fさんは度々相談会に訪れ,半年経った頃には,「自分を責めてもしょうがないですね。自分の人生を楽しんでもいいですよね」と笑顔で話すようになった。EさんはFさんの変化に励まされ,相談員の活動にやりがいを感じた。 次のうち,家族相談員の活動を通して,Eさんにもたらされたことを示す概念として,適切なものを1 つ選びなさい。

【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題46(精神保健福祉の理論と相談援助の展開)

※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。

※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。

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答え合わせ

正解は 3
  • 1
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  • 3
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自信の3択

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解説

※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。

正解は 3

Eさんは、自分も同じ経験をしたことをFさんに話し、Fさんの気持ちが軽くなって前向きになる姿に励まされ、活動のやりがいを感じました。このように、同じ悩みを経験した人が人を支えることで、支える側にも良い変化が生まれることを「ヘルパー・セラピー原理」といいます。選択肢3が正解です。

ほかの選択肢は、アドボカシー、感情の解放、境界線、見方を変える技法などを指す用語で、「支える側が支えられる」という変化を表すものではありません。

なぜ正解か

正解は 3。ヘルパー・セラピー原理は、援助する人(ヘルパー)が、援助することを通じて、自分自身も回復や成長の利益を受けるという原理で、セルフヘルプ・グループやピアサポートの特徴として説明される。事例では、Eさんが自分の体験を語って、Fさんの変化を目の当たりにし、「相談員の活動にやりがいを感じた」とある。支える立場のEさんが、活動を通じて自己肯定感や意欲を得ており、この原理にあてはまる。

ほかの選択肢

  • 1:ピア・アドボケイトは、同じ立場の仲間が、当事者の権利や意見を代弁・擁護する活動。Eさんにもたらされた「やりがい」とは別の概念である。
  • 2:カタルシスは、抑えていた感情を表に出すことで気持ちが楽になること。事例では、涙を流して気持ちを話したFさんの側の変化に近い。問われているのは、Eさんにもたらされたことである。
  • 4:バウンダリーは、自分と他者との心理的な境界線。
  • 5:リフレーミングは、物事の捉え方(枠組み)を別の見方に変える技法。

ポイント

問いの主語は「Eさん」。FさんではなくEさんに起きた変化を探すと、「支える側が得るもの」=ヘルパー・セラピー原理にたどり着く。

事例の読み取り

正解は 3。事例の流れを確認する。

  • Eさんは、統合失調症の娘をもつ70歳の女性で、10年前から家族相談員として活動している。
  • 初めて相談に来たFさんに、「私も娘が病気になった頃は自分を責めてばかりでした」と、自分の体験を語った。
  • Fさんは涙を流し、通ううちに「自分を責めてもしょうがない。自分の人生を楽しんでもいい」と笑顔で話すようになった。
  • Eさんは、Fさんの変化に励まされ、活動にやりがいを感じた。

問いは、「Eさんにもたらされたこと」を示す概念である。Fさんの変化ではなく、Eさん自身に起きた変化(励まされ、やりがいを感じた)が問われている。これは、援助者が援助することで自分も回復や成長を得るという、ヘルパー・セラピー原理(helper therapy principle)に対応する。セルフヘルプ・グループ、家族会、ピアサポートの働きを説明する基本概念であり、同じ体験をもつ人どうしの支え合いでは、「助けられる人」と「助ける人」の関係が固定されず、互いに力を得る点が特徴である。

誤りの肢の論点

  • 肢1:ピア・アドボカシーは、仲間(ピア)が、当事者の権利や利益を擁護する活動を指す。事例のEさんは、Fさんの気持ちに寄り添って体験を語っており、権利擁護の働きかけは描かれていない。
  • 肢2:カタルシスは、感情を言葉や涙で表出し、心が軽くなる作用をいう。事例でカタルシスが起きたとみられるのは、涙を流して語ったFさんである。選択肢は「Eさんにもたらされたこと」を問うているので、主語が合わない。この「主語のすり替え」は事例問題の典型的な誤りの作り方である。
  • 肢4:バウンダリー(境界)は、自己と他者の線引きのことで、家族が本人の問題を背負い込みすぎないための考え方として家族支援で扱われることもある。ただし、事例でEさんに生じた変化の説明にはならない。
  • 肢5:リフレーミングは、否定的な捉え方を別の視点から捉え直す技法である。Fさんの「自分を責めてもしょうがない」という変化はリフレーミングに近いが、これもFさんの側の変化である。

関連して出る論点

  • ピアサポートの効果:当事者にとっては、モデルとなる体験者との出会い(ロールモデル、問49)、孤立感の軽減、希望の獲得。ピアサポーター自身にとっては、役割の獲得、自己効力感の向上(ヘルパー・セラピー原理)。
  • セルフヘルプ・グループの特徴:同じ体験をもつ人が、対等な関係で運営する。専門職は、運営の主体ではなく、必要に応じた支援者という位置づけになる。
  • 家族支援:家族会や家族心理教育は、家族の孤立を和らげ、自責感を軽くする効果が期待される(問45のEEと関連)。

学習のコツ

事例問題では、まず「誰について問われているか」に印をつける。次に、その人に起きた変化を本文から探し、概念に結びつける。主語が違う肢(他の登場人物の変化)は、たとえ事例に出てくる出来事でも誤りになる。

この問題の根拠出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題46(精神保健福祉の理論と相談援助の展開)。解説は合格ナビが独自に作成したものです。
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題46(精神保健福祉の理論と相談援助の展開)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。

解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。

執筆・運営:合格ナビ運営事務局(運営者情報)・編集方針。