問題
次の事例を読んで,問題55 から問題57 までについて答えなさい。
〔事 例〕
Eさん(19 歳,男性)は,高校2 年時に自閉スペクトラム症と診断された。3 年時に就職活動を行ったが,面接で質問に適切に答えられないことや,ゲームに熱中して寝坊し面接に間に合わないことが何度もあり,不採用が続いた。度重なる不採用の連絡と就職活動の指導によるストレスでうつ状態となり,就職活動を中止したまま卒業した。 1 年後,Eさんは主治医から就職活動再開を提案され,通院先のF精神保健福祉士と面談した。F精神保健福祉士は,Eさんには一度見たものを正確に覚える,集中力があるという強みがある一方,高校時代からの課題に加え,自分から相談することは苦手なことが分かった。Eさんは配慮してくれる会社で働くことを希望したため,F精神保健福祉士は精神障害者保健福祉手帳の取得を支援した。そして,V就労移行支援事業所をEさんに紹介し,利用できるよう支援した。(問題55)V就労移行支援事業所のG精神保健福祉士は,Eさんの訓練の様子を見て,地域のイベントで顔見知りになったW社の社長が頭に浮かんだ。そこで,W社に雇用の可能性について問い合わせたところ,「Eさんに合った仕事があるか分からない」とのことであった。(問題56)その後,EさんはW社において事務の仕事で職場実習を開始した。実習5 日目に,W社の担当者からG精神保健福祉士に,「話があるので来て欲しい」と電話があった。 G精神保健福祉士が訪問したところ,担当者は,「Eさんに何度も手順の間違いを指摘したが,同じ失敗を繰り返す」「何かあれば相談するよう伝えていたのに,今日は無断で遅刻した」「このままだと実習継続は厳しい」と話した。一方,Eさんは,「社員から何を注意されたか分からず,とても疲れた。今朝起きたら始業時間を過ぎていたので急いで来たが,実習を始めさせてもらえない」と話した。G精神保健福祉士は,担当者にEさんの対応について助言した。(問題57)G精神保健福祉士のサポートによりEさんの職場実習は順調に進み,W社はEさんの雇用について前向きに検討し始めた。
次のうち,この時のF精神保健福祉士の対応として,正しいものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題55(精神保健福祉の理論と相談援助の展開)
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
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- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 5
Eさんは、配慮してくれる会社で働くことを希望し、Fさんは手帳の取得を支援したうえで、V就労移行支援事業所を紹介して、利用できるように支援しました。このように、本人に必要な支援を、他の機関や専門職につなぐことを「リファーラル」(紹介)といいます。選択肢5が正解です。
ネゴシエーション、インフォームドチョイス、オリエンテーション、アカウンタビリティは、それぞれ交渉、十分な説明を受けた上での選択、初めの説明、説明責任を表す言葉で、この場面の中心とは異なります。
なぜ正解か
正解は 5。リファーラルは、利用者のニーズに応じて、他の機関や専門職へ紹介し、つなぐ(送致する)ことをいう。事例では、通院先のFさんが、Eさんの希望(配慮してくれる会社で働く)を受けて、精神障害者保健福祉手帳の取得を支援し、V就労移行支援事業所をEさんに紹介して、利用できるように支援した。Fさんは、自分の所属機関だけでは提供できない就労訓練へ、Eさんをつないでいる。これはリファーラルである。
ほかの選択肢
- 1:ネゴシエーションは、利害や意見が異なる相手と、交渉して合意を目指すこと。
- 2:インフォームドチョイスは、十分な情報提供を受けたうえで、本人が選択すること。事例では、紹介という行為が中心で、選択の場面を問うものではない。
- 3:オリエンテーションは、利用開始時などに、サービスの内容や利用方法を説明すること。
- 4:アカウンタビリティは、説明責任のこと。
ポイント
他の機関に紹介してつなぐ=リファーラル。
事例の読み取り
正解は 5。連続事例3の第1場面である。Eさんは19歳の男性で、高校2年時に自閉スペクトラム症と診断された。3年時の就職活動では、面接で質問に適切に答えられないことや、ゲームに熱中して寝坊し面接に間に合わないことが重なって不採用が続き、ストレスでうつ状態となり、就職活動を中止して卒業した。1年後、主治医の提案で就職活動を再開するにあたり、通院先のFさんと面談した。Fさんは、①Eさんの強み(一度見たものを正確に覚える、集中力)と課題(高校時代からの課題に加え、自分から相談することが苦手)を把握し、②配慮してくれる会社で働きたいというEさんの希望を受けて、精神障害者保健福祉手帳の取得を支援し、③V就労移行支援事業所を紹介して、利用できるように支援した。
Fさんの最後の行為は、自分の機関(医療機関)では提供できない就労のための訓練や支援を、専門の機関(就労移行支援事業所)へ紹介し、つなぐことである。ソーシャルワークでは、これをリファーラルと呼ぶ。リファーラルでは、①本人の希望と同意、②紹介先の情報の提供、③利用に至るまでの調整、④紹介後の連携が重要である。
誤りの肢の論点
- 肢1(ネゴシエーション):対立する相手と交渉して、合意を図る技術。事例のFさんの行為は、交渉ではなく、支援の紹介と調整である。ただし、後の場面(問56)で、Gさんが会社に雇用の可能性を問い合わせる場面では、交渉的な要素が含まれうる。
- 肢2(インフォームドチョイス):十分な説明を受けた上での選択。Eさんが、手帳の取得や事業所の利用を自分で選ぶことは大切だが、Fさんの対応を説明する語としては、他機関につなぐ行為を指すリファーラルのほうが適切である。
- 肢3(オリエンテーション):利用を始める人に、制度や施設の概要を説明し、理解を促す。事業所に紹介する行為そのものを表す語ではない。
- 肢4(アカウンタビリティ):支援の内容や結果について、利用者や社会に対して説明する責任。事例の対応を示す語ではない。
関連して出る論点
- 精神障害者保健福祉手帳:精神保健及び精神障害者福祉に関する法律にもとづく制度。事例のEさんは、配慮のある職場を希望して、取得の支援を受けている。
- 就労移行支援:障害者総合支援法の障害福祉サービスの一つで、就職を目指す障害者に、一定期間、就労に必要な知識や能力の向上のための訓練などを行う。
- 連携の義務:精神保健福祉士は、保健医療サービス、障害福祉サービスなどが密接な連携の下で提供されるよう、関係者との連携を保たなければならない(精神保健福祉士法第41条第1項)。リファーラル後の連携も、この趣旨に沿う。
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律e-Govで原文を読む
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律e-Govで原文を読む
- 精神保健福祉士法第41条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題55(精神保健福祉の理論と相談援助の展開)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:合格ナビ運営事務局(運営者情報)・編集方針。

