精神保健福祉士

精神保健福祉士 第26回 問題54|精神保健福祉の理論と相談援助の展開

問題

精神保健福祉士 | 第26回(令和5年度) | 令和6年2月3日(土)・4日(日)実施・精神保健福祉の理論と相談援助の展開

次の事例を読んで,問題52 から問題54 までについて答えなさい。

〔事 例〕

Cさん(45 歳,女性)は,20 歳の時に母親を亡くし,その後は父親と二人で暮らしてきた。35 歳で統合失調症を発症し,入退院を繰り返したが,最近はデイケアに通いながら父親と家事を分担し,安定した生活を送っていた。ところが,父親が脳梗塞で倒れ,しばらく入院することになった。Cさんはショックで体調を崩し,デイケアを休む日が続いた。心配したデイケアのD精神保健福祉士が自宅を訪問すると,部屋に衣類が散乱していた。D精神保健福祉士が声を掛けると,Cさんは心細さから,「私はどうしたらいいのか分からない」と泣き始めた。D精神保健福祉士は,Cさんに同伴して父親の見舞いに行き,病院で説明された病状を解説したり,自宅に訪問してCさんの不安解消に努めた。また,Cさんが,「一人でいるのが怖い」と訴えたので,以前も利用したことのあるショートステイを勧めた。(問題52)ショートステイ後,Cさんは落ち着きを取り戻し自宅に戻った。しばらくして父親も退院することとなったが,父親には片麻痺(かたまひ)が残り,今までのように家事を行うことは難しかった。ケアマネジャーはCさんのことも考え,父親に対してしばらく施設に入所してはどうかと勧めた。それを聞いたCさんは,「でもお父さんと一緒に暮らしたい」と困惑した表情で言った。D精神保健福祉士は,Cさんが介護に疲れて生活が成り立たなくなるのではないかと考えたケアマネジャーの意見に賛同したい一方で,Cさんの気持ちを考えて葛藤を抱えた。(問題53)その後,父親は自宅に戻った。Cさんは父親への訪問介護を活用しながら,食事作りと父親の介護を続けた。ある日,D精神保健福祉士がCさん宅を訪ねて様子を聞くと,数日前から一日一食しか摂っていないとのことであった。理由を聞くと,父親に健康飲料を飲ませたら元気になったように見えたので,追加で購入したら予想外に出費がかさんだと話した。Cさんは,「お父さんに元気になってもらいたいので,これからも健康飲料を買うつもり」と言った。そこで,D精神保健福祉士は,現段階での対応としてある提案をした。(問題54)

次のうち,この時のD精神保健福祉士が行ったCさんへの提案として,最も適切なものを1 つ選びなさい。

【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題54(精神保健福祉の理論と相談援助の展開)

※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。

※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。

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答え合わせ

正解は 5
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  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。

正解は 5

Cさんは、父親が健康飲料で元気になったように見えたことから、出費がかさんでも、「これからも買うつもり」と話し、自分は一日一食になっています。Dさんは、Cさんの「父親に元気になってもらいたい」という気持ちは尊重しつつ、生活が破綻しないように、健康飲料を購入する上限額を決める提案をするのが、現段階では最も適切です。選択肢5が正解です。

購入の中止を求めたり、後見制度の利用をいきなり勧めたりするのは、本人の意思の尊重から外れます。

なぜ正解か

正解は 5。事例のCさんは、父親の介護を続けるなかで、健康飲料を購入して出費がかさみ、自分は一日一食しか摂っていない。それでも「お父さんに元気になってもらいたいので、これからも買うつもり」と話している。Dさんは、現段階での対応を提案する。大切なのは、①Cさんの気持ち(父親を思う気持ち)を否定しない、②本人の健康と生活が保たれる範囲に収める、③本人が自分で決められる形にする、の3点である。購入する上限額を決めることは、Cさんの意思を尊重しながら、家計と健康を守る折衷案である。

ほかの選択肢

  • 1:成年後見制度の利用は、判断能力が不十分な場合に検討する。事例には、判断能力を欠くという記述はなく、現段階で提案する内容として重すぎる。
  • 2:購入の中止を求めるのは、Cさんの気持ちを否定し、本人の意向に反する。
  • 3:訪問介護員に二人分の食事の提供を頼むことは、訪問介護員の役割を超えた依頼である。訪問介護は、原則として利用者本人のための援助である。
  • 4:地域定着支援は、単身などで生活する障害者の緊急時の相談などを行う制度で、金銭の使いすぎや食事を抜く問題への対応とは合わない。

ポイント

本人の気持ちを尊重しつつ、無理のない形にする折衷案を、本人と一緒に決める。

事例の読み取り

正解は 5。連続事例2の第3場面である。父親は自宅に戻り、Cさんは訪問介護を活用しながら、食事作りと父親の介護を続けている。ある日、DさんがCさん宅を訪ねると、数日前から一日一食しか摂っていないという。理由は、父親に健康飲料を飲ませたところ元気になったように見えたので、追加で購入したら出費が予想外にかさんだこと。Cさんは「これからも健康飲料を買うつもり」と言う。Dさんが、現段階での対応としてある提案をした。

整理すると、①Cさんの意図は、父親を思う気持ちであり、悪意や不合理な浪費ではない、②しかし、出費のために自分の食事が減っており、健康と家計に影響が出ている、③Cさんの判断能力に問題があるとは書かれていない、という点である。支援の方針は、Cさんの意思を尊重(自己決定)しながら、リスクを減らす(最善の利益)ことである。

正答の肢

肢5「健康飲料を購入する上限額の設定」は、Cさんの「買いたい」という気持ちを認め、支出を無理のない範囲に収める提案である。本人が納得して決められる形で、家計の悪化と自分の食事を減らす問題を同時に抑えられる。「現段階での対応」としても、最も負担が小さく、実行しやすい。

誤りの肢の論点

  • 肢1(成年後見制度の利用):制度は、判断能力が不十分な人の権利を守るために、法律的に支援する。事例では、判断能力を欠くことを示す記述はなく、日常的な買い物の使いすぎを理由に、制度利用をまず提案するのは、本人の権利を過度に制限する方向であり、現段階の対応としては重い。金銭管理の不安が続く場合に、日常生活自立支援事業など、より軽い支援を検討する段階的な考え方もある。
  • 肢2(購入の中止):禁止は、Cさんの気持ちと自己決定を否定する。納得しないまま中止を求めても、信頼関係を損ない、かえって隠れて購入するなどの問題を招きかねない。
  • 肢3(訪問介護員に二人分の食事提供を依頼):訪問介護の生活援助は、原則として、利用者本人の生活を支えるための援助である。同居の家族(この場合はCさん)の分まで食事を頼むのは、制度上の役割に合わない。依頼は、事業所との契約や、ケアマネジャーの計画に沿った範囲で行う。
  • 肢4(地域定着支援事業の利用):障害者総合支援法第5条に定める地域定着支援は、居宅において単身その他の主務省令で定める状況で生活する障害者について、常時の連絡体制を確保し、緊急の事態などに相談などの便宜を供与するものである。食事を抜く、出費がかさむという問題への直接の対応ではない。

関連して出る論点

  • 自己決定の尊重と最善の利益:本人の選択に危険が伴う場合でも、まず本人の意思を確認し、リスクを下げる方法を共に考える。制度による介入は、最後の手段として段階的に検討する。
  • 日常生活自立支援事業:福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理の援助を行う。成年後見制度との違い(契約能力の有無など)が問われる。
  • 家族介護者の支援:ケアラーの健康や生活を守る視点も、精神保健福祉士にとって大切である。

学習のコツ

「最も適切」を選ぶ問題は、①本人の意思を尊重しているか、②リスクを下げているか、③いま取れる最も軽い手段か、の順に選択肢を並べる。極端な制限(中止、制度利用)は後回し。

この問題の根拠
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題54(精神保健福祉の理論と相談援助の展開)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。

解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。

執筆・運営:合格ナビ運営事務局(運営者情報)・編集方針。