精神保健福祉士

精神保健福祉士 第26回 問題56|精神保健福祉の理論と相談援助の展開

問題

精神保健福祉士 | 第26回(令和5年度) | 令和6年2月3日(土)・4日(日)実施・精神保健福祉の理論と相談援助の展開

次の事例を読んで,問題55 から問題57 までについて答えなさい。

〔事 例〕

Eさん(19 歳,男性)は,高校2 年時に自閉スペクトラム症と診断された。3 年時に就職活動を行ったが,面接で質問に適切に答えられないことや,ゲームに熱中して寝坊し面接に間に合わないことが何度もあり,不採用が続いた。度重なる不採用の連絡と就職活動の指導によるストレスでうつ状態となり,就職活動を中止したまま卒業した。 1 年後,Eさんは主治医から就職活動再開を提案され,通院先のF精神保健福祉士と面談した。F精神保健福祉士は,Eさんには一度見たものを正確に覚える,集中力があるという強みがある一方,高校時代からの課題に加え,自分から相談することは苦手なことが分かった。Eさんは配慮してくれる会社で働くことを希望したため,F精神保健福祉士は精神障害者保健福祉手帳の取得を支援した。そして,V就労移行支援事業所をEさんに紹介し,利用できるよう支援した。(問題55)V就労移行支援事業所のG精神保健福祉士は,Eさんの訓練の様子を見て,地域のイベントで顔見知りになったW社の社長が頭に浮かんだ。そこで,W社に雇用の可能性について問い合わせたところ,「Eさんに合った仕事があるか分からない」とのことであった。(問題56)その後,EさんはW社において事務の仕事で職場実習を開始した。実習5 日目に,W社の担当者からG精神保健福祉士に,「話があるので来て欲しい」と電話があった。 G精神保健福祉士が訪問したところ,担当者は,「Eさんに何度も手順の間違いを指摘したが,同じ失敗を繰り返す」「何かあれば相談するよう伝えていたのに,今日は無断で遅刻した」「このままだと実習継続は厳しい」と話した。一方,Eさんは,「社員から何を注意されたか分からず,とても疲れた。今朝起きたら始業時間を過ぎていたので急いで来たが,実習を始めさせてもらえない」と話した。G精神保健福祉士は,担当者にEさんの対応について助言した。(問題57)G精神保健福祉士のサポートによりEさんの職場実習は順調に進み,W社はEさんの雇用について前向きに検討し始めた。

次の記述のうち,この時点でG精神保健福祉士がW社に対して行うこととして,最も適切なものを1 つ選びなさい。

【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題56(精神保健福祉の理論と相談援助の展開)

※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。

※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。

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答え合わせ

正解は 1
  • 1
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  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。

正解は 1

W社の社長は「Eさんに合った仕事があるか分からない」と答えています。つまり会社は、まだ仕事の中身とEさんの特性がどう結び付くのか思い描けていない段階です。

そこでG精神保健福祉士が、自分でW社の仕事を見学し、体験させてもらえば、どんな作業があり、どこに配慮や工夫が要るのかを具体的に理解できます。その理解をもとに、Eさんに合いそうな仕事を会社と一緒に考えることができます。

制度の説明や助成金の話、面接での判断を先に持ち出すよりも、まず仕事を知り、会社の不安を具体的な話に変えていくことが、この時点で最も適切な動きです。

なぜ正解か

正解は 1。W社は「Eさんに合った仕事があるか分からない」と述べており、雇用の可能性を検討する材料が足りない状態である。支援者が自らW社の仕事を見学・体験すれば、作業内容、手順、職場の環境や人間関係などを具体的に把握でき、Eさんの強み(一度見たものを正確に覚える、集中力がある)と結び付けて、合いそうな仕事を会社に提案できる。

ほかの選択肢

  • 2:就労移行支援の制度説明は、会社の「合う仕事があるか分からない」という不安に答えていない。制度の話は、仕事のイメージができた後でもよい。
  • 3:Eさんの特性を詳細に伝えることは、本人の同意なしに行うことはできないうえ、仕事探しを会社任せにしてしまう。
  • 4:助成金の説明は、会社の関心を雇用の経済面に向けるだけで、仕事とEさんの適合という論点が置き去りになる。
  • 5:Eさんは面接で質問に適切に答えられず不採用が続いた経緯がある。面接で可能性を判断させるのは、Eさんの課題が最も出やすい場面に戻すことになる。

正解の根拠と位置づけ

正解は 1。就労支援では、本人のアセスメント(強み・課題・希望)と並んで、受け入れ側の職場のアセスメントが欠かせない。業務の種類、作業手順の明確さ、指示の出し方、職場の音や人の動きなどを支援者が実際に見て、体験すると、「この業務のここが本人に合う」「ここには手順書や視覚的な指示が要る」という具体的な提案ができる。会社側も、抽象的な「障害特性」の説明よりも、自社の仕事に置き換えた話の方が受け止めやすい。

事例では、Eさんは自閉スペクトラム症で、一度見たものを正確に覚える強みと、自分から相談することが苦手という課題を併せ持つ。仕事の切り出しや手順の可視化といった「環境側の調整」を会社と一緒に考える土台として、職場を知ることが先に来る。

誤りの肢の掘り下げ

  • 2(制度説明):就労移行支援は障害者総合支援法に定義されるサービス(第5条)で、利用者への訓練の枠組みである。会社が知りたいのは自社でどう働けるかなので、制度説明は優先順位が低い。
  • 3(特性を詳細に伝える):本人の情報は、本人の同意のもとで必要な範囲に限って伝える。精神保健福祉士には業務上知り得た人の秘密を漏らさない義務があり(精神保健福祉士法第40条)、「詳細に」伝えることは目的に照らして過剰でもある。
  • 4(助成金):雇用に関する助成制度は検討材料にはなるが、会社の不安は「仕事があるか」であり、金銭的な誘因で動かす場面ではない。
  • 5(面接での判断):面接は本人にとって負担の大きい場面であり、実際の作業の様子を見て判断する職場実習の方が、本人の強みが出やすい。

関連して出る論点

職場開拓、職務の切り出し(業務分解)、職場実習、職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援、合理的配慮の提供など、「環境側を変える」支援が問われる。

職場実習の前後の流れも押さえておきたい。実習5日目に起きた「手順の間違いの繰り返し」「無断の遅刻」は、本人の努力不足ではなく、情報の伝わり方や生活リズムの課題として整理し、支援者が職場側と本人の双方の橋渡しをすることで解決を図る(問題57)。企業との最初の関係づくりの段階で、支援者が職場を理解していると、その後の調整が円滑に進みやすい。

この問題の根拠
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題56(精神保健福祉の理論と相談援助の展開)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。

解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。

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