問題
医療観察制度に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。 (注) 「医療観察法」とは,「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題68(精神保健福祉に関する制度とサービス)
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 1
医療観察法は、心の病気のために責任能力がない(心神喪失)か著しく低い(心神耗弱)状態で、殺人や放火などの重大な他害行為をした人に、継続的で適切な医療と、そのために必要な観察・指導を行う法律です。最終的な目的は、病状を改善し、同じような行為の再発を防いで、その人の社会復帰を促進することです(第1条、肢1)。
恐喝は対象行為に含まれません。審判は裁判官と精神科医(精神保健審判員)が行い、精神保健福祉士は精神保健参与員として関わります。入院処遇は3つの段階に分けて進められます。
正解は 1
- 肢1(正しい): 医療観察法第1条は、継続的かつ適切な医療等によって「病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、もってその社会復帰を促進することを目的とする」と定めています。
- 肢2(誤り): 対象行為は、放火、不同意わいせつ・不同意性交等、殺人、傷害、強盗などに限られます(第2条第1項)。恐喝は含まれません。
- 肢3(誤り): 審判では、裁判所が精神保健判定医またはこれと同等以上の学識経験を有すると認める医師に鑑定を命じ(第37条第1項)、その鑑定を基礎とし、鑑定医の意見と生活環境を考慮して決定します(第42条第1項)。「指定医2名以上の診断」は措置入院の要件です。
- 肢4(誤り): 精神保健審判員は、厚生労働大臣が名簿を送付する精神保健判定医(医師)から任命されます(第6条)。精神保健福祉士は精神保健参与員の名簿に記載される専門職です(第15条)。
- 肢5(誤り): 指定入院医療機関での入院処遇は、急性期・回復期・社会復帰期の3段階で進められます。
正解は 1
根拠条文と目的規定
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)第1条第1項は、「心神喪失等の状態で重大な他害行為…を行った者に対し、その適切な処遇を決定するための手続等を定めることにより、継続的かつ適切な医療並びにその確保のために必要な観察及び指導を行うことによって、その病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、もってその社会復帰を促進することを目的とする」と定めます。第2項は、処遇に携わる者に対象者の円滑な社会復帰への努力を求めています。再発防止は「社会復帰の促進」という目的の手段として位置づけられている点が重要です。
誤りの肢の掘り下げ
- 肢2(対象行為): 第2条第1項は、刑法の放火(第108条〜第110条・第112条)、不同意わいせつ・不同意性交等(第176条・第177条・第179条・第180条)、殺人(第199条・第202条・第203条)、傷害(第204条)、強盗(第236条・第238条等)を対象行為とします。いずれも未遂を含む条文が並び、傷害以外は未遂も対象です。恐喝・窃盗・暴行は入りません。
- 肢3(鑑定と決定): 第37条により、裁判所は精神保健判定医またはこれと同等以上の学識経験を有すると認める医師に鑑定を命じます。第42条第1項の決定(入院・通院・医療を行わない)は、この鑑定を基礎とし、かつ、鑑定を命じられた医師が鑑定結果に付す入院医療の必要性に関する意見(第37条第3項)と対象者の生活環境を考慮して行います。精神保健参与員の意見は、これとは別に、処遇の要否と内容について参与員を審判に関与させて聴くものです(第36条)。措置入院の「2人以上の指定医の診察」(精神保健福祉法第29条第2項)と混同させるのが典型的なひっかけです。
- 肢4(審判の構成): 処遇事件は、裁判官1人と精神保健審判員1人の合議体で扱い(医療観察法第11条第1項)、裁判は両者の意見の一致したところによります(同法第14条第1項)。精神保健参与員は、精神保健福祉士その他の精神障害者の保健及び福祉に関する専門的知識・技術を有する者の名簿から、事件ごとに指定され(同法第15条)、審判に関与して意見を述べます(同法第36条)。
- 肢5(入院処遇の段階): 指定入院医療機関での入院処遇は、急性期・回復期・社会復帰期の3段階に分けて行われます。厚生労働省も、指定入院医療機関の入院対象者数をこの3区分で公表しています。
関連して出る論点
- 申立ては検察官が地方裁判所に行います(医療観察法第33条第1項)。対象者は、心神喪失等を認められて不起訴処分を受けた者や、無罪等の確定裁判を受けた者です(同法第2条第2項)。
- 入院によらない医療(通院処遇)の期間中は精神保健観察に付され(同法第106条)、保護観察所に置かれる社会復帰調整官がその事務に従事します(同法第19条第3号・第20条)。また、処遇の実施計画に基づいて医療・精神保健観察・援助が行われます。
- 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第1条・第11条・第33条e-Govで原文を読む
- 刑法e-Govで原文を読む
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第29条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題68(精神保健福祉に関する制度とサービス)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:合格ナビ運営事務局(運営者情報)・編集方針。

