問題
次の記述のうち,囚人のジレンマに関する説明として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第36回社会福祉士国家試験(令和5年度)」問題21
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 1 です。
「囚人のジレンマ」は、お互いに協力すれば二人とも得をするのに、自分だけ裏切るほうが得に思えて、結局どちらも協力せず、二人とも損をしてしまう状況をいいます。つまり、「協力し合うことが互いの利益になるにもかかわらず、非協力への個人的誘因が存在する状況」です。
たとえるなら、みんなで掃除すればきれいになるのに、「誰かがやるだろう」と各自がサボって、結局全員が困るような場面です。
覚え方:個人にとって合理的な選択が、全体にとっては望ましくない結果になる。
正解は 1 です。
囚人のジレンマは、ゲーム理論で示される社会的ジレンマの典型で、個人が合理的に自分の利益を追求すると、集団全体では望ましくない結果になる状況をいいます。2人の容疑者が互いに連絡を取れない状態で、黙秘(協力)すればともに軽い刑になるものの、相手を裏切って自白すれば自分はより軽くなる、という設定から、この名があります。
- 1 正しい。協力が互いの利益になるのに、非協力の誘因がある状況は、囚人のジレンマの説明です。
- 2 誤り。矛盾した二つの命令を受けて動けなくなる状況は、ベイトソンのダブルバインド(二重拘束)です。
- 3 誤り。相手をよく知らない人同士が、お互いの行為をすれ違いなく了解している状況は、囚人のジレンマとは別の説明です。むしろ、囚人のジレンマは、互いの行動が読めないことで生じます。
- 4 誤り。罰や報酬で協力を促すのは、ジレンマを解決する方法(選択的誘因・制裁)の説明です。ジレンマ自体の説明ではありません。
- 5 誤り。公共財の供給に貢献せず、利用だけする成員を生む状況は、フリーライダー(ただ乗り)問題です。囚人のジレンマと関連しますが、問われているのは構造の説明です。
囚人のジレンマの構造
二人のプレイヤーが「協力」か「非協力(裏切り)」かを選びます。相手が協力する場合でも、相手が非協力の場合でも、自分は非協力を選ぶほうが利益が大きいため、合理的な個人は非協力を選びます。その結果、双方が非協力となり、双方が協力した場合より悪い結果(パレート非効率)に陥ります。個人の合理性が集合的な不合理を生む点が核心です。
社会的ジレンマとの関連
囚人のジレンマは、環境問題、資源の乱獲(共有地の悲劇)、公共財の供給(フリーライダー問題)など、社会的ジレンマの基本モデルとして利用されます。ハーディンの「共有地の悲劇」は、共有資源を各人が自己利益のために使い過ぎて、全体が資源を失う例です。公共財の供給では、費用を負担せずに便益だけ受ける人(フリーライダー)が出ることで、供給が不足します。
解決の方向
- 繰り返しゲームにすることで、将来の報復や協力の見返りが生まれ、協力が成立しやすくなる。
- 制裁(罰)と報酬の導入(選択的誘因)。選択肢4はこれにあたります。
- 信頼やソーシャルキャピタルの形成、規範の共有、コミュニケーション。
誤りの肢の論点
2のダブルバインドは、コミュニケーション理論の概念で、統合失調症の家族研究などで論じられました。矛盾したメッセージによる板挟みの状況です。3は、相互了解の成立に関する記述で、ゲーム理論のジレンマとは別の論点です。4は、ジレンマの解決策で、状況そのものの説明ではありません。5は、社会的ジレンマの一つの帰結です。「状況の説明」か「解決策」か「帰結」かを見分けるのが、本問のポイントです。
福祉との関連
地域活動、自治会、ボランティア、環境保全などの集合的な取組みでは、「誰かがやるだろう」というただ乗りが起こりやすく、参加の動機づけや役割分担、成果の可視化といった仕組みの工夫が求められます。
補足:ゲーム理論の基本用語
ゲーム理論で、相手がどの選択をしても自分にとって最も有利な選択を、支配戦略といいます。囚人のジレンマでは、非協力が両者の支配戦略になり、その組み合わせ(ナッシュ均衡)が、双方協力より悪い結果をもたらします。個人の合理性と集団の合理性のずれが、問題の本質です。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第36回社会福祉士国家試験(令和5年度)」の問題21です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

