社会福祉士

社会福祉士 第36回 問題22現代社会と福祉

問題

社会福祉士 | 第36回(令和5年度) | 令和6年2月4日(日)実施・現代社会と福祉

福祉における政府と民間の役割に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。

【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第36回社会福祉士国家試験(令和5年度)」問題22

※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。

※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。

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答え合わせ

正解は 4
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。

正解は 4

準市場とは、福祉サービスの提供に「事業者どうしの競争」や「利用者が選ぶしくみ」を取り入れつつ、お金のある人だけが良いサービスを受けることにならないよう、公費や保険で費用を支える考え方です。介護保険で利用者が事業所を選べ、費用の大部分は保険から出るのが典型例です。

ほかの選択肢は、用語の意味を取り違えています。平行棒理論は「公と民が同じ対象を別々に扱う」、繰り出し梯子理論は「公が最低限を保障し、民間がその上に上乗せする」という考え方です。社会市場は価格ではなく必要(ニード)で配分する領域、NPMは行政の側に民間の経営手法を取り入れる改革を指します。

なぜ正解か

正解は 4。準市場(quasi-market)は、サービスの供給に競争や利用者の選択を取り入れながら、費用を公費・社会保険でまかなうことで、利用者の購買力の差がそのままサービスの差にならないよう工夫するしくみである。日本の介護保険や障害福祉サービスの利用契約制度がその例。

ほかの選択肢

  • 1:平行棒理論は、公的救済と民間慈善が「並行する2本の棒」のように対象を分けてそれぞれ活動するという考え方。救済に値する貧民を民間が、値しない貧民を救貧法が扱うという整理で、記述は役割が逆になっている。
  • 2:繰り出し梯子理論は、公的部門がナショナルミニマムという土台を保障し、民間はその上に梯子を伸ばすように上乗せするという考え方。民間が不要になるという意味ではない。
  • 3:社会市場は、価格メカニズムではなく、ニードに基づいて資源を配分する領域を指す概念。政府の関与がないという説明は誤り。
  • 5:NPMは、行政(公共部門)の運営に民間企業の経営手法(成果重視・競争・顧客志向など)を取り入れる改革。民間企業に行政職員を送り込む取組ではない。

正解の根拠と位置づけ

正解は 4。準市場はイギリスの保健・福祉改革を説明する概念として広まり、ルグラン(Le Grand, J.)らが理論化した。「市場」と呼ばれるのは、①複数の供給主体(営利・非営利・公営)が競争し、②利用者(または代理人)が選択する点が市場に似ているから。一方「準」が付くのは、③購買力が利用者個人の所得ではなく公費・保険で与えられ、④価格が公的に決められ、⑤参入が規制される点で通常の市場と違うからである。

日本では2000年の介護保険制度と社会福祉基礎構造改革によって、措置制度から利用契約制度への移行が進み、まさに準市場が形成された。介護報酬という公定価格、原則1割の定率負担と所得に応じた負担上限(高額介護サービス費)などは、選択肢4のいう「購買力の違いによる不平等を緩和するための施策」に当たる。

誤りの肢の掘り下げ

  • 平行棒理論と繰り出し梯子理論:どちらも公私関係論の古典。平行棒理論は19世紀イギリスの慈善組織協会(COS)期の考え方で、「救済に値する貧民(deserving poor)」は民間慈善が、「値しない貧民」は救貧法が扱うと分担した。記述1はこの対応が逆。繰り出し梯子理論はウェッブ夫妻(Webb, S. & B.)の主張で、国家がナショナルミニマムを保障し、民間はその上で先駆的・個別的な活動を伸ばすとした。民間の役割を残す理論なので記述2は逆の意味になる。
  • 社会市場:ティトマス(Titmuss, R.)が献血の研究などで示した、経済市場とは異なる「贈与」や「ニード」に基づく配分の領域。政府はむしろ中心的な担い手になりうる。
  • NPM:イギリス・ニュージーランドなどで行われた行政改革の考え方。業績測定、民間委託、市場化テスト、エージェンシー化などが手段。日本では指定管理者制度や独立行政法人化に影響した。

関連して出る論点

  • 「福祉多元主義(welfare pluralism)」:国家・市場・ボランタリー・インフォーマルの4部門で福祉を供給するという考え方。準市場と並んで出題される。
  • 「福祉ミックス」「福祉の混合経済」も同じ文脈の用語。
  • 準市場の課題としては、情報の非対称性による選択の難しさ、事業者の「クリームスキミング」(手のかからない利用者だけを選ぶこと)がよく問われる。
この問題の根拠出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第36回社会福祉士国家試験(令和5年度)」問題22。解説は合格ナビが独自に作成したものです。
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第36回社会福祉士国家試験(令和5年度)」の問題22です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。

解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。

執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。