問題
次のうち,エスピン-アンデルセン(Esping-Andersen, G.)の福祉レジーム論に関する記述として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第36回社会福祉士国家試験(令和5年度)」問題28
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 5
エスピン-アンデルセンは、国ごとの福祉のしくみを3つの型(福祉レジーム)に分けました。そのときの物差しの一つが脱商品化です。脱商品化とは、病気や失業、老齢で働けなくなっても、労働市場で自分の労働力を売らずに(=働かずに)一定の生活ができる度合いのことをいいます。
ほかの選択肢は誤りです。類型は2つではなく「自由主義・保守主義・社会民主主義」の3つで、市場や家族の役割も分析の対象に含まれます。スウェーデン(社会民主主義)とドイツ(保守主義)は別の型です。また、社会保障支出の大きさだけでなく、制度の質的な違いに注目したのがこの理論の特徴です。
なぜ正解か
正解は 5。エスピン-アンデルセン(Esping-Andersen, G.)は福祉レジーム論で、脱商品化(市場に依存せずに生活できる度合い)と階層化(社会保障が社会階層をどう形づくるか)などの指標を用いて、福祉国家を3つのレジームに分類した。
ほかの選択肢
- 1:残余的モデルと制度的モデルの2分類は、ウィレンスキーとルボー(Wilensky, H. & Lebeaux, C.)の福祉モデル。エスピン-アンデルセンは自由主義・保守主義・社会民主主義の3類型。
- 2:福祉レジームは、国家・市場・家族が福祉をどう分担するかの組み合わせとしてとらえる概念で、市場や家族の機能も分析の対象。
- 3:スウェーデンは社会民主主義レジーム、ドイツは保守主義(コーポラティズム)レジームで、別の類型。自由主義レジームの代表はアメリカ。
- 4:社会保障支出の量だけで福祉国家を比べる従来の研究を批判し、給付の権利のあり方など質的な違いに注目した点がこの理論の要。
正解の根拠と位置づけ
正解は 5。エスピン-アンデルセンは、福祉国家を「支出の大小」で並べる比較研究を批判し、社会権の性質や、国家・市場・家族の関係に着目して類型化した。中心となる指標は次の2つ。
- 脱商品化(de-commodification):人が労働力を市場で売らなくても(失業・病気・老齢などのとき)、社会的に許容される生活水準を保てる度合い。給付の水準、受給要件の厳しさ、給付期間などで測る。
- 階層化(stratification):社会保障が職業や所得による階層差を固定するのか、平等化するのか。
| レジーム | 代表国 | 脱商品化 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 自由主義 | アメリカ・イギリス・カナダ等 | 低い | 市場中心・資力調査つきの給付・民間保険 |
| 保守主義(コーポラティズム) | ドイツ・フランス等 | 中程度 | 職域ごとの社会保険・家族の役割重視 |
| 社会民主主義 | スウェーデン等北欧 | 高い | 普遍主義的給付・国家による手厚いサービス |
誤りの肢の掘り下げ
- 選択肢1:残余的(residual)モデルは、家族や市場が機能しないときにだけ国家が補う考え方、制度的(institutional)モデルは、福祉を社会の通常の機能として位置づける考え方。ウィレンスキーとルボーの2分類で、ティトマスはこれに「産業的業績達成モデル」を加えた3モデルを示した。エスピン-アンデルセンと混同させるのが定番のひっかけ。
- 選択肢2:福祉レジーム論は、国家だけでなく市場と家族を合わせた「福祉の生産のされ方」を問題にする。後年、フェミニストからの批判を受けて「脱家族化」(家族のケア負担から個人が解放される度合い)の視点も取り入れた。
- 選択肢3:ドイツは職業別の社会保険が分立し、男性稼ぎ主と家族による扶養を前提とする保守主義型の典型。スウェーデンは普遍主義の社会民主主義型の典型。
- 選択肢4:量的分析にとどまらず、質的な違い(どのような原理で給付するか)に注目したのがこの理論の新しさ。
関連して出る論点
- 日本の位置づけ:自由主義と保守主義の特徴をあわせ持つ「混合型」とされることが多く、家族の役割が大きい点から「家族主義」的とも言われる。
- 南欧諸国を別の類型(南欧型・地中海型)とする見方もある。
- 「脱商品化」と「脱家族化」の区別、そして「商品化」(労働力を市場で売ること)の意味が問われやすい。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第36回社会福祉士国家試験(令和5年度)」の問題28です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
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