問題
事例を読んで,生活困窮者自立相談支援事業のB相談支援員(社会福祉士)の支援方針として,最も適切なものを1 つ選びなさい。 〔事 例〕 Cさん(60 歳)は,一人暮らしで猫を多頭飼育している。以前は近所付き合いがあったが今はなく,家はいわゆるごみ屋敷の状態である。B相談支援員は,近隣住民から苦情が出ていると民生委員から相談を受けた。そこでBがCさん宅を複数回訪問すると,Cさんは猫を可愛がっており,餌代がかかるため,自身の食事代を切り詰めて生活していることが分かった。Cさんは,今の生活で困っていることは特になく,近隣の苦情にどのように対応すればよいか分からない,と言っている。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第36回社会福祉士国家試験(令和5年度)」問題37
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 3
Cさんは「困っていることは特にない」と言っていますが、食事を切り詰めていることやごみ屋敷の状態から、生活の課題を抱えています。一方で、近所とのつながりは途切れ、苦情への対応にも困っています。こうした場面で大切なのは、Cさんの気持ち(猫を大切にしていること)を尊重しながら、地域とのつながりを取り戻すことです。苦情を言う住民も含めて今後の関わり方を一緒に考えるのは、Cさんと地域の関係を結び直す支援になります。
ほかの選択肢は、本人の意思を無視した強制的な対応(1・2・5)や、支援をやめてしまう対応(4)で、適切ではありません。
なぜ正解か
正解は 3。Cさんは孤立し、自分の食費を削って猫を飼うなど、本人が自覚していない生活上の課題(セルフ・ネグレクトに近い状態)を抱えている。また、近隣の苦情に「どう対応すればよいか分からない」と言っており、地域との関係の調整を必要としている。苦情を言う住民も含めて今後の関わり方を検討することは、Cさんを地域から排除するのではなく、住民とCさんの関係を再構築し、地域の中での見守りや支援につなげる方針である。
ほかの選択肢
- 1:本人の同意なくごみを強制的に回収することは、本人の意思と財産を無視した対応で、信頼関係も損なう。片付けは本人の納得を得ながら進めるのが原則。
- 2:Cさんは猫を可愛がっており、保健所に引き取らせることは本人の大切にしているものを奪う対応。健康への配慮は、食事の確保など別の方法で考えるべきである。
- 4:「困っていない」という言葉だけで関わりを控えると、課題が深刻化する。主体性の尊重は、関わらないことではなく、本人の意思を確かめながら支援することである。
- 5:引っ越しのあっせんは、地域との対立(コンフリクト)を解決せず、本人を地域から排除することになる。
正解の根拠と位置づけ
正解は 3。生活困窮者自立支援法第3条第1項は、生活困窮者を「就労の状況、心身の状況、地域社会との関係性その他の事情により」経済的に困窮し、最低限度の生活を維持できなくなるおそれのある者と定めている。経済的困窮だけでなく、社会的孤立も支援の対象とする考え方であり、Cさんの事例はまさにこれに当たる。自立相談支援事業の相談支援員には、アウトリーチによって本人の生活の全体像を把握し、地域とのつながりの回復も含めて支援することが求められる。
事例の読み取り
1. 本人の状態:一人暮らし、多頭飼育、ごみ屋敷、食費を削っている → 健康や生活の維持に課題。本人は「困っていない」と言う=表明されないニード(規範的ニードはある)。
2. 地域との関係:以前は近所付き合いがあったが今はない、苦情が出ている → 社会的孤立と地域とのコンフリクト。
3. 本人の言葉の手がかり:「近隣の苦情にどう対応すればよいか分からない」→ 本人が自ら語った困りごとで、ここが支援の入り口になる。
支援の方向は、本人の思い(猫を大切にしている)を受け止めて信頼関係を築き、本人が困っている「近隣との関係」から一緒に取り組むこと。住民を対立相手ではなく、Cさんを見守る地域の一員として巻き込むことで、問題の再発を防ぐ体制づくりにもつながる。
誤りの肢の掘り下げ
- 選択肢1・2(強制的な介入):ごみ屋敷や多頭飼育の問題では、強制的な片付けや動物の引き離しは本人の強い抵抗を招き、再発しやすいことが知られている。本人が問題を自分のこととして受け止められるよう、段階的に支援する。動物の問題は、獣医師会や動物愛護団体、保健所と連携し、本人の同意のもとで飼育数を調整するなどの方法がある。
- 選択肢4(関わりを控える):自己決定の尊重を誤解した対応。ソーシャルワークにおける自己決定は、情報提供や対話を通じて本人が選べるよう支えることを含む。
- 選択肢5(転居のあっせん):問題の場所を移すだけで、孤立や生活課題は解決しない。地域福祉の視点では、地域から排除せずに共に暮らせる地域をつくることが目標となる。
関連して出る論点
- セルフ・ネグレクト:本人が自らの生活や健康の維持を放棄している状態。高齢者虐待防止法の定義には含まれないが、自治体は必要に応じて同様の対応を取ることが求められている。
- 地域のコンフリクト(対立)を、住民の学びや関係づくりの機会に転換する「コンフリクト・マネジメント」の視点は、地域福祉の事例問題で繰り返し問われる。
- 生活困窮者自立支援法第3条e-Govで原文を読む
- 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第36回社会福祉士国家試験(令和5年度)」の問題37です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

