問題
次の事例を読んで,医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が紹介した現時点で利用可能な制度として,適切なものを2 つ選びなさい。 〔事 例〕 入院中のFさん(39 歳,会社員)は,大学卒業後から継続して協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)の被保険者であり,同じ会社の正社員である妻35 歳と息子7 歳との3 人暮らしである。20 代より生活習慣病を患い,保健指導と治療がなされたが行動変容は難しかった。Fさんは,3 日前に糖尿病性腎症による人工透析導入のため入院することとなった。医師からは,約1 か月間の入院となり,退院後は週に3 日の継続的な透析治療が必要との説明を受けた。Fさんは,仕事は継続したいが,医療費や入院期間中の収入面の不安を訴えたことから,医師より医療ソーシャルワーカーを紹介された。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第36回社会福祉士国家試験(令和5年度)」問題75
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
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- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 3 と 4 です。
Fさんは会社員で、協会けんぽの被保険者です。入院・透析で医療費が高額になる点には、1か月の自己負担が上限を超えた分が戻る「高額療養費制度」が使えます。仕事を休む間の収入減には、病気で働けず給料が出ないときに支給される「傷病手当金」が使えます(休み始めて3日を過ぎた日から支給)。
ほかの選択肢では、生活保護は夫婦とも正社員で収入があり現時点では対象になりません。労災保険は仕事が原因の病気が対象で、生活習慣病による腎症は当てはまりません。雇用保険は離職した人などの給付で、仕事を続けたいFさんには当てはまりません。
👉 覚え方:医療費=高額療養費、休業中の収入=傷病手当金。
なぜこれが正解か
正解は 3 と 4。Fさんの不安は「医療費」と「入院中の収入」の2つ。
- 3 高額療養費制度:同じ月の一部負担金が所得区分ごとの自己負担限度額を超えた場合、超過分が支給される。限度額適用認定証(またはマイナ保険証)で窓口負担を限度額までに抑えられる。
- 4 傷病手当金:健康保険法第99条により、被保険者が療養のため労務に服することができないとき、労務不能となった日から起算して3日を経過した日から支給される。額は標準報酬月額を基にした日額の3分の2。
各選択肢の解説
- 1 誤り。夫婦とも正社員で収入があり、補足性の原理から現時点で生活保護の対象とは考えにくい。
- 2 誤り。労災保険は業務上・通勤による傷病が対象。生活習慣病からの糖尿病性腎症は業務上の疾病ではない。
- 5 誤り。雇用保険の基本手当は離職し就職の意思と能力がある人への給付。在職中のFさんは対象外。
補足
透析が長期に続く場合、「人工透析を要する慢性腎不全」は高額長期疾病(特定疾病)として自己負担限度額が月1万円(一定の上位所得者は2万円)になる特例がある。
正解と制度の根拠
正解は 3 と 4。医療ソーシャルワーカーは、本人の訴え(医療費の不安・収入の不安・就労継続の希望)を制度に結び付ける役割を担う。
- 高額療養費(健康保険法第115条):1か月(暦月)単位で、同じ医療機関等の一部負担金が自己負担限度額を超えた分を支給する。70歳未満は所得区分で5段階の限度額があり、世帯合算、直近12か月で4回目以降の多数回該当による限度額の引下げがある。事前に限度額適用認定証を提示するか、マイナ保険証を使えば、窓口での支払いを限度額までに抑えられる。人工透析を要する慢性腎不全は特定疾病に指定され、自己負担限度額は月1万円(70歳未満の一定の上位所得者は2万円)となる。退院後の週3日の透析が続くFさんには、この特定疾病療養受療証の申請も重要な情報になる。
- 傷病手当金(同法第99条):被保険者(任意継続被保険者を除く)が療養のため労務不能となったとき、労務不能となった日から起算して3日を経過した日(4日目)から支給する。日額は支給開始日の属する月以前の直近12か月の標準報酬月額の平均の30分の1の3分の2。支給期間は支給を始めた日から通算1年6か月。報酬が支払われる場合は調整される。入院による約1か月の休業の収入減を補う中心的な制度である。
誤りの肢の掘り下げ
- 1 生活保護:生活保護法第4条の補足性の原理により、資産・能力・他法の給付を活用してもなお最低限度の生活を維持できない場合に行う。Fさんは妻も正社員で、高額療養費と傷病手当金を活用すれば生活を維持できる見込みが高く、「現時点で利用可能」とはいえない。
- 2 労働者災害補償保険:業務上の事由または通勤による負傷・疾病等が対象。職業性疾病は労働基準法施行規則別表に列挙される型で判断され、生活習慣病を原因とする糖尿病性腎症は該当しない。
- 5 雇用保険:基本手当は離職者が対象。在職中の休業に対する給付としては育児休業給付・介護休業給付があるが、本人の傷病による休業への給付はない。なお、離職後に傷病で働けない期間は受給期間の延長の対象となる、という関連知識がある。
関連論点
- 人工透析を受けている人は、障害者総合支援法の自立支援医療(更生医療)や、身体障害者手帳(じん臓機能障害)の取得、障害年金(初診日要件・障害認定日の特例)といった制度にもつながる。事例が「現時点で」と限定しているのは、これらが手続や時間を要するものとの区別を求めているためと読める。
- 協会けんぽの傷病手当金と、国民健康保険の傷病手当金(任意給付)の違いもあわせて押さえておきたい。
- 健康保険法第99条・第115条e-Govで原文を読む
- 生活保護法第4条e-Govで原文を読む
- 労働基準法施行規則e-Govで原文を読む
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第36回社会福祉士国家試験(令和5年度)」の問題75です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

