問題
次の事例を読んで,福祉事務所に勤務するK職員(社会福祉士)が取り組む様々な対応のうち,メゾレベルの対応として,適切なものを2 つ選びなさい。 〔事 例〕 L民生委員は,Mさん(45 歳)の件で市の福祉事務所を訪れ,Kに相談をした。 Mさんは勤め先を3 年前に人員整理で解雇されてからは仕事をせず,親が残してくれた自宅で一人,昼夜逆転の生活をしているとのことであった。現時点では,Mさんには緊急の要保護性は感じられないが,仕事をしておらず,生活費が底をつく心配がある。Mさんは「今すぐに仕事をする自信はないが,今後に備えて相談をしたい」と望んでおり,Mさんの了解のもとに相談に訪れたとのことであった。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第36回社会福祉士国家試験(令和5年度)」問題92
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
※この問題は2つ選ぶ形式です。2つとも選ぶと答え合わせになり、正答の全部を選んだときだけ正解として扱います。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 4 と 5 です。
ソーシャルワークの対応は、個人や家族へのミクロ、組織や地域のメゾ、制度や政策のマクロに分けて考えます。選択肢4の「市内の事業所に、中高年が使える自立相談支援の事業の実施状況を聞いて情報を集める」は地域の社会資源への働きかけ、選択肢5の「同じような事例の今後の支援を所内で検討する」は組織内での取り組みで、どちらもメゾレベルにあたります。
ほかの選択肢では、国に制度の課題を示すのはマクロ、Mさんと援助関係をつくる・Mさんに資金の利用を勧めるのはミクロの対応です。
👉 覚え方:ミクロ=本人・家族、メゾ=組織・地域、マクロ=国・制度。
なぜこれが正解か
正解は 4 と 5。
- 4 市内の事業所から、中高年者が利用できる自立相談支援に関する事業の実施状況を収集するのは、地域の社会資源の把握であり、地域・組織レベル(メゾ)の対応。
- 5 民生委員からの情報をもとに、同様の事例への今後の支援を所内で検討するのは、所属機関(組織)としての対応の検討で、メゾレベル。
各選択肢の解説
- 1 誤り。中高年向け就労支援制度の課題を国に提示するのは、制度・政策への働きかけでマクロレベル。
- 2 誤り。Mさんと相談援助の関係を樹立するのは、個人への直接援助でミクロレベル。
- 3 誤り。Mさん個人に不動産担保型生活資金を勧めるのはミクロレベル。さらに、45歳のMさんは原則として高齢者世帯を対象とする同資金の要件にも合わない。
覚え方
対象の大きさで判定する。働きかける相手が「本人」ならミクロ、「職場内・地域の機関や団体」ならメゾ、「国・制度・社会全体」ならマクロ。
正解と判定の視点
正解は 4 と 5。ソーシャルワークの実践レベルは、一般に次のように整理される。
- ミクロ:個人・家族への直接的な援助(面接、関係づくり、アセスメント、サービスの紹介)
- メゾ:グループ、組織、地域への働きかけ(所属機関内の仕組みづくり、事例検討、地域の社会資源の把握・開発、関係機関のネットワーク)
- マクロ:制度・政策、社会全体への働きかけ(政策提言、ソーシャルアクション、国や自治体への提言)
3つのレベルは独立したものではなく、ミクロの事例から見えた課題をメゾ・マクロへつなぎ、その成果が個人の支援に返ってくるという連続性で理解するのが現在の考え方である。
選択肢の掘り下げ
- 4 地域の事業所に対する情報収集:Mさん個人への援助ではなく、市内に中高年が利用できる支援がどれだけあるかを把握する取り組み。社会資源の把握は、地域レベルの資源開発やネットワークづくりの前提となるため、メゾに位置づく。
- 5 所内での検討:民生委員から寄せられた事例をきっかけに、同様の相談に組織としてどう対応するかを話し合う。組織内の支援体制づくりで、メゾの典型。
- 1 国への提示:所属機関を通すとしても、働きかける相手は国、内容は制度の課題。マクロに分類される。
- 2 援助関係の樹立:インテーク段階でのMさんとの関係づくり。ミクロの典型。
- 3 不動産担保型生活資金の推奨:個人への情報提供・助言でミクロ。加えて、生活福祉資金の不動産担保型生活資金は、原則として居住用不動産を所有する65歳以上の高齢者世帯を対象としており、45歳のMさんに勧める内容としても適切でない。
事例全体の見立て
Mさんは3年前の解雇後に昼夜逆転の生活を送り、生活費が底をつく不安がある一方、「今後に備えて相談をしたい」という意欲を示している。緊急の要保護性はないため、生活保護よりも生活困窮者自立支援制度の自立相談支援事業(就労準備支援事業など)につなぐのが中心となる。ミクロでMさんとの関係を築き、メゾで地域の資源と組織の体制を整え、そこで見えた中高年支援の不足をマクロの提言につなげる、という3層の動きを一つの事例の中で描けるかが問われている。
関連論点
民生委員は民生委員法に基づき厚生労働大臣が委嘱する非常勤の地方公務員で、地域住民と福祉事務所等をつなぐ役割を持つ。民生委員からの情報提供は、本人の了解のもとに行われていることが事例の前提になっている点にも注意したい。
- 民生委員法e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第36回社会福祉士国家試験(令和5年度)」の問題92です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

