社会福祉士

社会福祉士 第36回 問題96相談援助の基盤と専門職

問題

社会福祉士 | 第36回(令和5年度) | 令和6年2月4日(日)実施・相談援助の基盤と専門職

事例を読んで,X小学校に配置されているAスクールソーシャルワーカー(社会福祉士)が,Bさんの意思を尊重することに対する倫理的ジレンマとして,適切なものを2 つ選びなさい。 〔事 例〕 Aは,2 学期に入ったある日,暗い顔をしているBさん(小学5 年生)に声をかけた。Bさんは,初めは何も語らなかったが,一部の同級生からいじめを受けていることを少しずつ話し出した。そして,「今話していることが知られたら,ますますいじめられるようになり,学校にいづらくなる。いじめられていることは,自分が我慢すればよいので,他の人には言わないで欲しい」と思いつめたような表情で話した。

【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第36回社会福祉士国家試験(令和5年度)」問題96

※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。

※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。

※この問題は2つ選ぶ形式です。2つとも選ぶと答え合わせになり、正答の全部を選んだときだけ正解として扱います。

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答え合わせ

正解は 1・3
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。

正解は 1 と 3

Bさんは「誰にも言わないで」と頼んでいます。その気持ちを尊重することは大切ですが、いじめが続けばBさんの心や体が傷つくおそれがあります。

そこで、スクールソーシャルワーカーは「Bさんを守る責任」(選択肢1)と、学校の一員として「学校に報告する責任」(選択肢3)との間で迷うことになります。これが倫理的ジレンマです。

別の学校のスクールソーシャルワーカー、保護者会、いじめている子の保護者に報告する責任は、この場面ではソーシャルワーカーの責任として成り立たず、ジレンマにはなりません。

正解は 1 と 3

【考え方】

倫理的ジレンマとは、ソーシャルワーカーが守るべき複数の責任・価値が同時に成り立たず、どちらかを優先せざるを得ない状態です。本事例では「Bさんの意思(秘密にしてほしい)の尊重」と衝突する責任を選びます。

【正解の根拠】

・1:いじめが続けばBさんの心身に危険が及ぶおそれがあり、クライエントを保護する責任は自己決定の尊重と衝突します。

・3:スクールソーシャルワーカーは学校に配置された職員であり、いじめ防止対策推進法上も、学校の教職員は児童がいじめを受けていると思われるときは学校への通報その他の適切な措置をとるものとされています。所属組織への報告責任は秘密保持の希望と衝突します。

【誤りの選択肢】

・2:別の小学校のスクールソーシャルワーカーは本件の関係者ではなく、報告する責任はありません。

・4:保護者会への報告は、Bさんのプライバシーを不特定多数に明かすことになり、責任とはいえません。

・5:いじめている子の保護者への対応は学校が組織として判断することで、A個人がその保護者に責任を負う場面ではありません。

正解は 1 と 3

【倫理的ジレンマの構造】

日本社会福祉士会の倫理綱領は、クライエントに対する倫理責任として「自己決定の尊重」「プライバシーの尊重と秘密の保持」を掲げる一方、クライエントの利益の最優先、さらに組織・職場に対する倫理責任も定めています。これらが同時に満たせない場面がジレンマです。本問では、Bさんの「言わないで」という自己決定・秘密保持の要請と、①Bさんの安全を守る責任、②所属組織である学校に対する責任が衝突しています。

【いじめ防止対策推進法との関係】

同法23条1項は、学校の教職員などが児童等からいじめに係る相談を受けた場合に、いじめの事実があると思われるときは、学校への通報その他の適切な措置をとるものと定めています。学校に配置されたスクールソーシャルワーカーも学校の「チーム」の一員として、情報を学校に共有することが求められます。したがって秘密保持の希望との間で葛藤が生じるのは当然であり、選択肢3はジレンマの典型です。

【実践上の落としどころ】

ジレンマは「どちらかを切り捨てる」のではなく、本人と話し合って調整するのが基本です。例えば、Bさんの不安(報復されること)を丁寧に受け止め、誰に、何を、どのように伝えるか、Bさんが安全を感じられる方法を一緒に考えたうえで、学校内で情報を共有する、といった進め方です。秘密保持は絶対ではなく、本人や他者の生命・身体に危険がある場合などは例外となる、という原則も押さえておきます。

【誤りの選択肢の論点】

・2:守秘義務の観点からむしろ報告してはならない相手です。ジレンマは「守るべき責任同士」の衝突なので、そもそも責任でないものは選択肢になりません。

・4:保護者会は情報を広く共有する場で、Bさんの恐れる二次被害を招きかねません。

・5:加害側の保護者への連絡は学校が組織的に行うもので、ソーシャルワーカーがその保護者に対して負う倫理責任ではありません。

【関連論点】

倫理的ジレンマの判断の手がかりとしては、生命の保護を最優先し、その次に自己決定や秘密保持を考える、といった優先順位の考え方(ドルゴフらの倫理的原則のスクリーンなど)が出題されることがあります。

この問題の根拠出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第36回社会福祉士国家試験(令和5年度)」問題96。解説は合格ナビが独自に作成したものです。
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第36回社会福祉士国家試験(令和5年度)」の問題96です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。

解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。

執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。