問題
事例を読んで,退院を控えたAさんに対する福祉事務所の現業員(社会福祉士)の説明に関する次の記述のうち,適切なものを2 つ選びなさい。 〔事 例〕 Aさん(26 歳)は,両親を早くに亡くし,児童養護施設に入所した。退所後は就職した会社の寮に入っていたが病気のため退職し,入院治療となった。収入は途絶え預貯金もなくなったため,生活保護を受けて療養していたところ,医師はそろそろ退院でき,後遺症も残らないという。Aさんは,退院後は地域で生活したいが,仕事や住まいに不安が大きいため,病院のソーシャルワーカーに相談したところ,現業員を交えて3 人で話し合いをすることになった。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第37回社会福祉士国家試験(令和6年度)」問題102
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
※この問題は2つ選ぶ形式です。2つとも選ぶと答え合わせになり、正答の全部を選んだときだけ正解として扱います。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 2 と 3 です。
退院後にアパートを借りるとき、生活保護を受けている人は、敷金や礼金などを住宅扶助から支給してもらえます(2)。また、病気から回復したばかりなので、まず地域での生活を落ち着かせてから、ハローワークで仕事探しを始めるという提案は、Aさんの不安に寄り添った適切な助言です(3)。
ほかの選択肢:1 退院後も通院などで治療が必要なら医療扶助は続きます/4 Aさんは地域で暮らしたいと望んでおり、救護施設に入る理由はありません/5 児童養護施設は原則18歳未満(措置延長でも20歳未満)の子どものための施設で、26歳のAさんは入れません。
👉 覚え方:退院→アパート入居の費用は「住宅扶助」。
なぜこれが正解か
正解は 2 と 3。生活保護法第14条の住宅扶助は「住居」と「補修その他住宅の維持のために必要なもの」を範囲とし、保護の実施要領では、退院時に帰住する住居がない場合などに、転居に際して必要な敷金・礼金などを住宅扶助として支給できるとしている(2)。また、後遺症がなく就労可能な見込みでも、退院直後に求職活動を急がせるより、生活の基盤を整えてからハローワークにつなぐ段階的な支援はAさんの不安に応え、自立を促す提案になる(3)。
各選択肢の解説
- 1 不適切。医療扶助は治療の必要に応じて行われ、退院後も通院治療や経過観察が必要なら継続する。退院したから一律に廃止となるわけではない。
- 2 適切。
- 3 適切。
- 4 不適切。救護施設は、身体上または精神上著しい障害があるため日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させる保護施設(第38条)。後遺症がなく地域生活を希望するAさんに当てはまらない。
- 5 不適切。児童養護施設の入所は原則18歳未満で、措置延長でも20歳未満まで。26歳の成人が退院後の生活場所として戻る施設ではない。
覚え方・ひっかけ注意
本人の希望(地域生活)と状態(後遺症なし)に合うかで選ぶ。
根拠条文と制度の位置づけ
生活保護法は8つの扶助で最低生活を保障するとともに、「自立を助長すること」を目的に掲げる(第1条)。退院支援の場面では、①住まいの確保(住宅扶助:敷金・礼金・仲介手数料、家具什器費などは一時扶助として生活扶助)、②通院医療の継続(医療扶助)、③生活の立て直しと就労支援(被保護者就労支援事業、ハローワークとの連携)を組み合わせる。住宅扶助の家賃には地域ごとの基準額(上限)があり、転居先はその範囲内で選ぶ必要がある。
誤りの肢の掘り下げ
- 医療扶助(選択肢1):入院が終わっても外来通院・服薬・リハビリテーションが必要なら、医療扶助は継続する。保護の要否・程度は必要即応の原則(第9条)に沿って判断される。
- 救護施設(選択肢4):保護施設には救護施設・更生施設・医療保護施設・授産施設・宿所提供施設の5種類がある(第38条)。救護施設は障害等で日常生活が困難な人の生活の場で、本人の意思に反して入所を手続きすることは、保護の方法として居宅保護を原則とする法第30条の趣旨にも反する。
- 児童養護施設(選択肢5):2022年の児童福祉法改正(2024年4月施行)により、児童自立生活援助事業(自立援助ホーム等)の年齢要件が弾力化され、措置解除者への支援も拡充されたが、それは「児童養護施設に成人が再入所する」ことを意味しない。社会的養護の経験者には、社会的養護自立支援拠点事業などの相談支援の利用が考えられる。
関連論点
本事例は、病院のソーシャルワーカー(医療機関)と福祉事務所の現業員(行政)が本人を交えて協議する場面である。退院支援は医療ソーシャルワーカー業務指針の「退院援助」に当たり(第37回 問108参照)、本人の自己決定を尊重しつつ、住まい・医療・就労の各制度を組み合わせることが求められる。社会的養護経験者は頼れる親族がいないことが多く、保証人の確保などの課題には居住支援法人などの社会資源の活用も検討する。
- 生活保護法第14条e-Govで原文を読む
- 児童福祉法e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第37回社会福祉士国家試験(令和6年度)」の問題102です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

