問題
次の人物のうち,英国において「福祉国家」から「小さな政府」への転換を図った首相として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第37回社会福祉士国家試験(令和6年度)」問題19
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 3 です。
マーガレット・サッチャーは1979年に英国の首相となり、国の役割を小さくする「小さな政府」を目指しました。国営企業の民営化、規制緩和、労働組合の力の抑制、社会保障支出の見直しなどを進め、それまでの手厚い福祉国家路線を転換しました。この考え方は新自由主義と呼ばれます。
アトリーは第二次世界大戦後に福祉国家を築いた首相、チャーチルは戦時中の首相、ブレアとブラウンは「第三の道」を掲げた労働党の首相です。
👉 覚え方:アトリーが福祉国家を「つくり」、サッチャーが「小さな政府」へ切り替えた。
正解は 3 です。
英国の戦後福祉国家は、第二次世界大戦中のベヴァリッジ報告を土台に、アトリー労働党政権が整えました。1970年代の経済停滞を背景に、1979年に就任した保守党のサッチャー首相は、民営化・規制緩和・公的支出の削減を進め、「小さな政府」への転換を図りました。
- 1 誤り:チャーチルは第二次世界大戦期の首相です。戦時中にベヴァリッジ報告が出されましたが、福祉国家の制度化は戦後の政権が担いました。
- 2 誤り:アトリーは戦後の労働党政権で、国民保健サービス(NHS)の創設など福祉国家を築いた首相です。方向は逆です。
- 3 正しい:サッチャーは新自由主義に基づき「小さな政府」を推進しました。
- 4 誤り:ブレアは1997年からの労働党政権で、市場と福祉の両立を目指す「第三の道」を掲げ、就労を通じた福祉(ワークフェア)などを進めました。
- 5 誤り:ブラウンはブレアの後を継いだ労働党の首相で、「第三の道」の路線を引き継ぎました。
正解は 3 です。
■ 位置づけ
英国の福祉国家は、第二次世界大戦中のベヴァリッジ報告が示した「ゆりかごから墓場まで」の社会保障構想を、第二次世界大戦後のアトリー労働党政権が制度化したことで成立しました。国民保健サービス(NHS)の創設や国民保険の整備などがその柱です。
その後、保守党と労働党が政権を交代しても、完全雇用と福祉国家を維持する合意(戦後コンセンサス)が続きました。しかし1970年代の石油危機による経済停滞とインフレの中で、財政負担や労働組合の影響力が問題視されます。1979年に就任したサッチャー首相は、国営企業の民営化、規制緩和、所得税の引下げ、労働組合への規制、公営住宅の払下げなどを進め、国家の役割を縮小する「小さな政府」を目指しました。市場の働きを重視するこの考え方は新自由主義と呼ばれます。
■ 誤りの選択肢の掘り下げ
- 1 チャーチル:戦時の挙国一致内閣の首相で、ベヴァリッジ報告は戦時中に出されましたが、福祉国家の制度化は戦後に持ち越されました。
- 2 アトリー:1945年の総選挙で勝利した労働党政権で、福祉国家の建設者です。「福祉国家から小さな政府へ」とは逆の方向です。
- 4 ブレア:1997年に就任した労働党の首相で、旧来の福祉国家でも新自由主義でもない「第三の道」を掲げました。社会学者ギデンズの議論が理論的支柱とされ、福祉から就労へ(ウェルフェア・トゥ・ワーク)の政策が進められました。
- 5 ブラウン:2007年にブレアの後を継いだ労働党の首相です。
■ 関連して出る論点
- 同時期の米国のレーガン政権、日本の中曽根政権も、民営化や行政改革を進め、新自由主義の潮流として並べて問われます。日本では国鉄・電電公社・専売公社の民営化が代表例です。
- サッチャー政権下では、コミュニティケア改革も進められ、地方自治体がサービスの購入者となり、民間事業者などから購入する仕組みが導入されました。
- 福祉国家の類型では、エスピン-アンデルセンが英国を「自由主義レジーム」に分類しています。
■ 似た用語との違い
「福祉国家」は国家が国民の生活保障に広く責任を持つ体制、「小さな政府」は国家の役割を治安や国防などに絞り市場に委ねる考え方、「第三の道」はその中間で、社会的公正と市場経済の両立を目指す路線です。首相と路線を対応させて覚えます。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第37回社会福祉士国家試験(令和6年度)」の問題19です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
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