問題
次のうち,日本において,法令に照らして「間接差別」となる事例として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第37回社会福祉士国家試験(令和6年度)」問題27
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 3 です。
間接差別とは、性別以外の理由を要件にしているのに、結果として一方の性に大きな不利益を与え、しかも合理的な理由がないものをいいます。男女雇用機会均等法第7条と同法施行規則第2条は、その一つとして、募集・採用や昇進などで「転居を伴う転勤に応じられること」を要件とすることを挙げています。
選択肢3は、転勤の必要がない事業所なのに転居を伴う転勤を要件にし、結果として男性だけを採用しているので、間接差別にあたります。
選択肢1は女性に有利な取扱い(ポジティブ・アクション)、2は職場のうわさ、4は障害を理由とする差別、5はヘイトスピーチの問題です。
👉 覚え方:間接差別=性別に中立な要件だが、実質的に一方の性が不利で、合理的な理由がない。
正解は 3 です。
男女雇用機会均等法第7条は、性別以外の事由を要件とする措置のうち、実質的に性別を理由とする差別となるおそれがある措置として厚生労働省令で定めるものについて、合理的な理由がなければ講じてはならないと定めています。施行規則第2条は、①募集・採用で身長・体重・体力を要件とすること、②募集・採用、昇進、職種の変更で転居を伴う転勤に応じられることを要件とすること、③昇進で転勤の経験を要件とすること、の3つを挙げています。
- 1 誤り:女性の少ない状況を改善するための女性の優先登用は、同法第8条が認めるポジティブ・アクションで、違法な差別ではありません。
- 2 誤り:うわさ話による不快感は、職場の人間関係やハラスメントの問題であり、間接差別ではありません。
- 3 正しい:転勤の必要がないのに転居を伴う転勤を要件とする採用は、合理的な理由のない間接差別です。
- 4 誤り:障害を理由とする不当な差別的取扱いで、障害者差別解消法の問題です。
- 5 誤り:本邦外出身者に対する不当な差別的言動で、ヘイトスピーチ解消法の問題です。
正解は 3 です。
■ 根拠条文と制度の位置づけ
男女雇用機会均等法は、募集・採用(第5条)と、配置・昇進・降格・教育訓練などの雇用管理(第6条)で、性別を理由とする差別を禁止しています。これが直接差別の禁止です。
これに加え、2006年の改正(2007年4月施行)で第7条が設けられ、間接差別が禁止されました。第7条は、性別以外の事由を要件とする措置のうち、措置の要件を満たす男女の比率などから実質的に性別を理由とする差別となるおそれがあるものとして厚生労働省令で定めるものを、業務の遂行上や雇用管理上の必要など合理的な理由がなければ講じてはならないとしています。
施行規則第2条が定める措置は次の3つです。
- 労働者の募集・採用で、身長、体重または体力を要件とするもの
- 募集・採用、昇進、職種の変更で、住居の移転を伴う配置転換に応じられることを要件とするもの
- 昇進で、勤務する事業場と異なる事業場に配置転換された経験を要件とするもの
選択肢3は2つ目の類型で、広域に展開する事業所も新規展開の計画もない(=合理的な理由がない)のに転居を伴う転勤を要件とし、結果として男性だけを採用しています。
■ 誤りの選択肢の掘り下げ
- 1 ポジティブ・アクション:第8条は、男女の均等な機会・待遇の確保の支障となっている事情を改善する目的で女性労働者に関して行う措置を妨げないとしています。管理職の大半が男性という状況での女性の優先登用は、これにあたります。
- 2 うわさ話:私生活のうわさは、内容によってはハラスメントやプライバシーの問題になり得ますが、雇用上の要件による間接差別とは別の問題です。
- 4 障害者の乗車拒否:障害者差別解消法の「不当な差別的取扱い」にあたります。障害を直接の理由とするもので、間接差別の典型例ではありません。
- 5 地域社会からの排除の煽動:ヘイトスピーチ解消法第2条が定義する「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」の典型です。
■ 関連して出る論点
- 間接差別の3類型は省令で限定列挙されていますが、それ以外の措置でも、司法判断で間接差別にあたると判断されることはあり得ると解されています。
- 同法は、婚姻・妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止(第9条)、セクシュアルハラスメントや妊娠・出産等に関するハラスメントの防止措置義務も定めています。
- 障害者差別解消法では、事業者による合理的配慮の提供が2024年4月から義務になりました。
■ 似た用語との違い
「直接差別」は性別そのものを理由とする差別、「間接差別」は中立的な要件を通じた実質的な差別、「ポジティブ・アクション」は格差を解消するための積極的な是正措置です。「要件は中立か」「結果に偏りがあるか」「合理的な理由があるか」の3点で見分けます。
- 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律第7条e-Govで原文を読む
- 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第37回社会福祉士国家試験(令和6年度)」の問題27です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

