問題
事例を読んで,Aさんの状況にあてはまる,「精神保健福祉法」に基づく入院形態として,最も適切なものを1 つ選びなさい。 〔事 例〕 統合失調症のAさん(40 歳)は,この1 週間で絶え間ない幻聴と,常に誰かに監視されているという妄想がひどくなってきた。さらに盗聴器を探して家具を壊すなどの行為が始まったため,同居する母親に付き添われ,かかりつけのB精神科病院を受診した。精神保健指定医であるC医師は診察の結果,入院治療を要すると判断し,Aさんにその旨を説明したが,Aさんはおびえた様子で意味不明な独語を繰り返すのみで,応答は得られなかった。C医師はAさんが入院治療の必要性について納得できるよう丁寧に説明を重ねたが,やはり入院についての同意を得ることはできず,また,症状の緩和も見られなかったため,やむを得ず母親の同意によって即日入院してもらうことになった。 (注) 「精神保健福祉法」とは,「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第37回社会福祉士国家試験(令和6年度)」問題54
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 3 です。
Aさんは入院が必要と精神保健指定医に判断されましたが、病状のため本人は入院に同意できる状態にありません。そこで家族(母親)の同意によって入院しています。これが精神保健福祉法第33条の「医療保護入院」です。
措置入院・緊急措置入院は、自分を傷つけたり他人に害を及ぼすおそれ(自傷他害のおそれ)がある場合に都道府県知事が行う入院、任意入院は本人の同意による入院、応急入院は急を要し家族の同意を得られない場合に72時間に限って行う入院です。母親が同意している本事例には当てはまりません。
正解は 3 です。
【正解の根拠】
精神保健福祉法第33条第1項は、指定医の診察の結果、精神障害者であり医療及び保護のため入院の必要があり、その精神障害のために本人の同意に基づく入院(第20条の任意入院)が行われる状態にないと判定された者について、「家族等のうちいずれかの者の同意」があれば、本人の同意がなくても入院させられると定めます。事例は、指定医の判断、本人が同意できない状態、母親の同意がそろっています。
【誤りの選択肢】
1:措置入院(第29条)は、2人以上の指定医の診察で「自傷他害のおそれ」が一致して認められた場合に都道府県知事が行います。家族の同意は要件ではありません。
2:緊急措置入院(第29条の2)は、急速を要し通常の措置手続をとれないときに指定医1人の診察で知事が行い、72時間が上限です。
4:任意入院(第20条以下)は本人の同意に基づく入院で、本事例では同意が得られていません。
5:応急入院(第33条の6)は、急速を要し家族等の同意を得ることができない場合に、知事指定の病院で72時間に限り行う入院です。母親の同意がある本事例は該当しません。
正解は 3 です。
【根拠条文と入院形態の整理】
精神保健福祉法の入院形態は、誰が決めるか・誰の同意か・どんな状態かで区別します。
・任意入院(第20条以下):本人の同意。管理者は本人同意による入院に努める義務がある(第20条)。
・医療保護入院(第33条):指定医の診察+家族等のいずれかの同意。家族等がいない・意思表示しない場合は市町村長の同意(第2項)。
・応急入院(第33条の6):急速を要し家族等の同意が得られない場合、知事指定病院で72時間まで。
・措置入院(第29条):自傷他害のおそれ、指定医2人以上の診察結果の一致、知事の権限。
・緊急措置入院(第29条の2):急速を要する場合、指定医1人、72時間まで。
【2022年改正(2024年4月施行)の論点】
医療保護入院には「6月以内で厚生労働省令で定める期間」の入院期間が定められ(第33条第1項)、期間ごとに要件を確認して更新する仕組みになりました。また、家族等が同意・不同意の意思表示を行わない場合にも市町村長同意が可能となり、DV等の加害者は家族等から除かれるなど、同意者の範囲も見直されています。出題時点(2025年2月)はこの改正後の制度です。
【事例の読み方】
事例には、①精神保健指定医であるC医師の診察、②入院治療を要するとの判断、③丁寧な説明を重ねても本人が同意できない状態、④自傷他害を示す記述は「家具を壊す」程度で、知事による措置の手続も出てこない、⑤母親の同意、という要素が並んでいます。②③⑤が第33条第1項の要件に当たります。医療保護入院は「本人が同意できない(同意能力が十分でない)」場合のための制度で、「本人が拒否しているから強制する」ための制度ではないという理解が重要です。
【誤りの肢の掘り下げ】
措置入院・緊急措置入院は行政処分で、家族の同意は不要です。応急入院は「家族等の同意を得ることができない」ことが要件なので、同意がある本事例では選ばれません。任意入院では、退院の申出があっても指定医の診察で72時間に限り退院を制限できる(特定医師は12時間)という規定も頻出です。
【関連論点】
入院者訪問支援事業(2024年4月開始)、退院後生活環境相談員の選任、医療保護入院者退院支援委員会などもセットで押さえましょう。
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第33条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第37回社会福祉士国家試験(令和6年度)」の問題54です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

