問題
日本の高齢者福祉制度の発展過程に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。 (注)1 「高齢者虐待防止法」とは,「高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。 2 「認知症基本法」とは,「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」のことである。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第37回社会福祉士国家試験(令和6年度)」問題86
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 3 です。
1997年(平成9年)に制定された介護保険法は、第3条で「市町村及び特別区は、…介護保険を行うものとする」と定め、保険者を市町村と特別区にしました。あわせて、小さな市町村などが共同で運営できるよう、広域連合や一部事務組合も保険者になれます。
1のデイサービスなどの在宅福祉サービスの法定化はもっと後、2の老人保健福祉計画の策定義務は1990年の改正、4の使用者による虐待は高齢者虐待防止法の定義にはなく、5の認知症基本法は国民に理解を深める努力を求めるもので、差別の禁止を定めてはいません。
正解は 3 です。
【正解の根拠】
介護保険法第3条第1項は「市町村及び特別区は、この法律の定めるところにより、介護保険を行うものとする」と定めています。地方自治法に基づく広域連合や一部事務組合も、構成する市町村に代わって保険者として事業を行うことができます。
【誤りの選択肢】
1:1963年の老人福祉法制定時に法定化された在宅サービスは家庭奉仕員(ホームヘルパー)の派遣が中心で、デイサービスやショートステイが法律上の事業として位置づけられたのは後の改正(1990年の福祉関係八法改正など)です。
2:市町村・都道府県の老人保健福祉計画(老人福祉計画と老人保健計画)の策定義務は、1990年の福祉関係八法改正によるものです。1982年の老人保健法制定時ではありません。
4:高齢者虐待防止法第2条の高齢者虐待は、「養護者による高齢者虐待」と「養介護施設従事者等による高齢者虐待」の2種類です。使用者による虐待は、障害者虐待防止法にはありますが、高齢者虐待防止法にはありません。
5:認知症基本法第8条は、国民に認知症に関する正しい知識と理解を深め、共生社会の実現に寄与するよう「努めなければならない」と定めるもので、差別行為の禁止を規定してはいません。
正解は 3 です。
【高齢者福祉制度の発展過程】
・1963年 老人福祉法制定:特別養護老人ホームの創設、家庭奉仕員の派遣などを規定。
・1973年 老人医療費支給制度(いわゆる老人医療費の無料化)。
・1982年 老人保健法制定:老人医療費の一部負担の導入、40歳以上を対象とする保健事業。
・1989年 ゴールドプラン(高齢者保健福祉推進十か年戦略)。
・1990年 福祉関係八法改正:在宅福祉サービスの法定化、市町村・都道府県の老人保健福祉計画の策定義務化、措置権の町村への移譲。
・1997年 介護保険法制定(2000年施行)。
・2005年 高齢者虐待防止法制定(2006年施行)。
・2023年 認知症基本法制定(2024年施行)。
【正解肢の掘り下げ】
介護保険の保険者を、住民に最も身近な市町村(特別区を含む)としたのは、地域の実情に応じたサービス提供と、地域ごとの給付と負担の関係を明確にするためです。財政規模の小さい町村などは、地方自治法上の広域連合や一部事務組合を作って共同で保険者となることができ、要介護認定の審査判定を共同で行う仕組みもあります。保険者は、第1号保険料の設定、要介護認定、保険給付、介護保険事業計画(3年を1期)の策定などを担います。
【誤りの肢の掘り下げ】
1:現行の老人福祉法第5条の2は、老人居宅生活支援事業として老人居宅介護等事業、老人デイサービス事業、老人短期入所事業などを定めていますが、これらは制定時からあったものではありません。
2:現行の老人福祉法第20条の8は市町村老人福祉計画を定めています。1982年の老人保健法は、医療費の一部負担と保健事業が中心でした。
4:高齢者虐待防止法の高齢者虐待は、養護者による虐待(身体的・介護等放棄・心理的・性的・経済的)と、養介護施設従事者等による虐待です。経済的虐待では、養護者だけでなく「高齢者の親族」による財産の不当な処分も含まれます。障害者虐待防止法の「使用者による障害者虐待」との違いがねらわれています。
5:認知症基本法は、基本理念(第3条)で認知症の人の尊厳の保持や社会参加の機会の確保を掲げ、国・地方公共団体の責務(第4条など)と、国民の責務(第8条:正しい知識・理解を深め共生社会の実現に寄与するよう努める)を定めます。差別を禁止し罰する規定はありません。障害者基本法第4条の差別の禁止や、障害者差別解消法の差別的取扱いの禁止と区別しましょう。
【関連論点】
認知症基本法に基づき、国は認知症施策推進基本計画を定め、都道府県・市町村は計画の策定に努めるとされています。高齢者福祉の年表問題は、法律の制定年と「その時に何が始まったか」を対で押さえるのが確実です。
- 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律第2条e-Govで原文を読む
- 老人福祉法第5条の2・第20条の8e-Govで原文を読む
- 介護保険法第3条e-Govで原文を読む
- 地方自治法e-Govで原文を読む
- 障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律e-Govで原文を読む
- 障害者基本法第4条e-Govで原文を読む
- 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第37回社会福祉士国家試験(令和6年度)」の問題86です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

