問題
事例を読んで,A介護老人保健施設の支援相談員であるB職員(社会福祉士)が,通所介護事業所のC生活相談員から受けた情報提供の依頼に回答するにあたり,A施設に勤務する他の職員に専門的な意見を求める際,最も適切な職種を1つ選びなさい。 〔事 例〕 入所後2 か月が経過したDさん(81 歳,要介護2 )は「介護サービスを利用しながら家族と自宅で暮らしたい」と希望しており,施設内で家庭復帰支援に向けたサービス担当者会議が開かれた。Dさんは脳梗塞後遺症で左片麻痺があるが,屋内での日常生活動作は補助具などを使っておおむね自立している。しかし,球麻痺によって食事や飲水の際にむせ込むことがある。Bは,数日前にDさんが退所後に利用を希望している通所介護のCに連絡をとった際「Dさんの嚥下に関する訓練の状況や誤嚥を防ぐ適切な方法を知りたい」と情報提供の依頼を受けており,その情報をこのサービス担当者会議の場で取得しようと考えた。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第37回社会福祉士国家試験(令和6年度)」問題89
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 5 です。
C生活相談員が知りたいのは「嚥下(飲み込み)に関する訓練の状況」と「誤嚥を防ぐ適切な方法」です。飲み込みの評価や訓練を専門とする職種は言語聴覚士(ST)です。言語聴覚士は話す・聞くことだけでなく、食べる・飲み込む機能の訓練も担当します。
ほかの選択肢:1 看護師は健康管理や医療処置が中心/2 介護福祉士は食事介助など日常生活の介護が中心/3 薬剤師は薬の管理が中心/4 作業療法士は日常生活動作や手の動きの訓練が中心で、いずれも嚥下訓練の専門職ではありません。
👉 覚え方:「のみこみ=ST」「動作・生活=OT」「起きる・歩く=PT」。
なぜこれが正解か
正解は 5。言語聴覚士法第42条は、言語聴覚士が医師または歯科医師の指示の下に「嚥下訓練」を行うことができると定めている。Dさんは球麻痺によるむせ込みがあり、通所介護側が求める情報は嚥下訓練の実施状況と誤嚥予防の具体的方法(食形態、とろみ、姿勢、一口量など)なので、施設内で嚥下評価・訓練を担当する言語聴覚士に意見を求めるのが最も適切である。
各選択肢の解説
- 1 看護師は誤嚥性肺炎の兆候の観察や健康管理に関わるが、嚥下訓練の計画と評価の中心ではない。
- 2 介護福祉士は日々の食事介助で摂取状況をよく知る立場だが、訓練の専門的評価を担う職種ではない。
- 3 薬剤師は服薬方法(錠剤の形状変更など)について助言しうるが、嚥下訓練そのものは担当しない。
- 4 作業療法士は食事動作(箸・スプーンの操作、座位姿勢)など上肢や応用的動作の訓練が中心で、飲み込み機能の訓練は言語聴覚士の領域。
覚え方・ひっかけ注意
「食事」と聞いてOTや介護福祉士を選ぶのが定番のひっかけ。問われているのが「動作」か「嚥下機能」かで判断する。
根拠と制度の位置づけ
言語聴覚士は1997年制定の言語聴覚士法に基づく国家資格で、音声機能・言語機能・聴覚に障害のある者に訓練・検査・助言を行う(第2条)。加えて第42条で、診療の補助として医師・歯科医師の指示の下に嚥下訓練や人工内耳の調整などを行えると規定されている。介護老人保健施設は在宅復帰を目的とする施設で、医師・看護職員・介護職員・支援相談員に加え、理学療法士・作業療法士または言語聴覚士が配置される。支援相談員(本事例のB)は入退所の調整と関係機関との連絡を担い、専門職の意見を集約して在宅側のサービス事業所に橋渡しする役割をもつ。
誤りの肢との線引き
- 作業療法士:食事に関しては、自助具の選定、座位保持、上肢の操作など「食べる動作」を扱う。片麻痺のDさんにも関わりうるが、問われた情報は「嚥下」に限られている。
- 看護師:誤嚥の早期発見、吸引、肺炎時の対応など医療的管理の情報源にはなるが、訓練の進み具合を最もよく把握しているのは担当の言語聴覚士。
- 介護福祉士:実際の食事場面の観察情報は有用で、サービス担当者会議でも発言が期待されるが、専門的な嚥下評価の主担当ではない。
- 薬剤師:嚥下障害がある人の服薬(簡易懸濁法、剤形変更)では重要な助言者になる。
関連論点
在宅移行時の情報提供は、通所介護の個別機能訓練や口腔機能向上加算の計画にもつながる。嚥下障害の評価法としては反復唾液嚥下テスト(RSST)、改訂水飲みテストなどが知られ、食形態の分類では日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食分類がよく使われる。社会福祉士としては「誰が何の専門家か」を正確に把握し、必要な情報を必要な職種から得て、退所後の支援者に途切れなく伝えることが、連携・協働の科目でも繰り返し問われる。
似た用語との違い
「球麻痺」は延髄の障害で舌・咽頭・喉頭の運動が障害され、構音障害と嚥下障害が同時に起こりやすい状態をいう。似た症状を示す「仮性球麻痺」は、延髄より上位の両側の大脳病変によって起こる。どちらも言語聴覚士が構音と嚥下の両面から評価・訓練を行う代表的な対象である。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第37回社会福祉士国家試験(令和6年度)」の問題89です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

