問題
次の記述のうち,アントノフスキー(Antonovsky, A.)が定義した首尾一貫感覚(SOC:Sense of Coherence)の説明として,正しいものを2 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回社会福祉士国家試験(令和7年度)」問題10
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
※この問題は2つ選ぶ形式です。2つとも選ぶと答え合わせになり、正答の全部を選んだときだけ正解として扱います。
キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 2 と 5 です。
首尾一貫感覚(SOC)は、アントノフスキーが示した「ストレスがあっても健康を保ち、立ち直る力」の土台になる感覚です。大きく3つの要素でできています。
- 把握可能感:自分に起こる出来事は理解できる、見通しが立つという感覚(選択肢2)
- 処理可能感:困難があっても何とか対処できるという感覚
- 有意味感:自分の人生や経験には意味があるという感覚(選択肢5)
選択肢2は把握可能感、選択肢5は有意味感の説明です。SOCが高い人は、困難に出会っても「なんとかなる」「意味がある」と捉えやすい、とイメージすると覚えやすくなります。
なぜこれが正解か
正解は 2 と 5。SOC は、把握可能感・処理可能感・有意味感の3要素から成る。2は出来事を理解でき予測できるという把握可能感、5は人生や経験に意味があるという有意味感にあたる。
各選択肢の解説
- 1 誤り。疾病のリスク要因を特定して減らす発想は「疾病生成論」の考え方である。アントノフスキーは逆に、なぜ人は強いストレス下でも健康を保てるのかに注目する「健康生成論」を提唱し、その中核概念が SOC である。
- 2 正しい。把握可能感(出来事は理解でき、予測できる)。
- 3 誤り。汎適応症候群はセリエのストレス学説の用語で、ストレッサーに対する生体反応(警告反応期・抵抗期・疲憊期)を指す。SOC とは別の理論。
- 4 誤り。「対処できない」というあきらめは SOC の低い状態、あるいは学習性無力感に近い。SOC の処理可能感は「何とか対処できる」という感覚である。
- 5 正しい。有意味感(人生や経験には意味があるという感覚)。
なぜこれが正解か
正解は 2 と 5。アントノフスキーの首尾一貫感覚(SOC)は、①把握可能感、②処理可能感、③有意味感の3要素で構成される。選択肢2は①、選択肢5は③に対応する。③の有意味感は、困難に立ち向かう動機づけ(関与したいと思えること)を支えるため、3要素の中でも特に重要とされる。
理論の位置づけ:病因論から健康生成論へ
従来の医学・保健は、疾病の原因(リスク要因)を探してこれを取り除く「疾病生成論(パソジェネシス)」が中心だった。これに対しアントノフスキーは、同じように強いストレスにさらされても健康を保つ人がいることに着目し、健康を維持・回復させる要因(健康生成要因)を探る「健康生成論(サルートジェネシス)」を唱えた。SOC はその中心概念であり、ストレス対処資源(汎抵抗資源)を使いこなす力を左右すると考えられている。
各選択肢の解説
- 1 誤り。疾病リスクを特定して低減する発想は疾病生成論側のもの。SOC は健康を支える要因を扱う。
- 2 正しい。把握可能感。自分の置かれた状況を理解でき、先の見通しが立つという感覚。
- 3 誤り。汎適応症候群はセリエが提唱したストレス反応の経過を表す概念で、SOC とは出自の異なる別の理論である。ストレッサー→生体反応という「ストレス学説」と、対処の力を扱う「SOC」を混同しないこと。
- 4 誤り。「対処できない」という諦めは、SOC の処理可能感が低い状態に当たる。処理可能感とは、必要な資源(自分の力、家族や友人、制度など)が自分の手元にあり、何とかなるという感覚で、自分一人で何でもできるという意味ではない点も押さえたい。
- 5 正しい。有意味感。
関連して出る論点
- 3要素の名称と意味を一対一で言えるようにする。「理解(把握)」「対処(処理)」「意味(有意味)」の3語で覚えると、選択肢の言い換えに対応しやすい。
- ストレスコーピングに関するラザルスとフォルクマンの認知的評価モデル、セリエの汎適応症候群、学習性無力感(セリグマン)など、ストレスや対処に関する理論との区別が問われやすい。
- 社会福祉士の実践では、クライエントが自分の状況を理解し、手持ちの資源に気づき、取り組む意味を見いだせるよう支援することが、SOC を高める関わりにつながる。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第38回社会福祉士国家試験(令和7年度)」の問題10です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

