社会福祉士

社会福祉士 第38回 問題18社会学と社会システム

問題

社会福祉士 | 第38回(令和7年度) | 令和8年2月1日(日)実施・社会学と社会システム

事例を読んで,次のうち,社会福祉士としてひとり親世帯であるAさん親子の状況を把握するうえで,妥当な社会学の概念として,最も適切なものを1 つ選びなさい。 〔事 例〕 非正規の仕事を2 つ掛け持ちしながら小学生の子どもBさんを育てている母親Aさんから相談が入った。「怒鳴っても子どもが言うことを聞かなくて困っている。 子どもをしつけるにはどうしたらよいか」という。詳しく話を聞いたところ,Bさんは流行りのゲーム機を買ってもらえないため駄々をこねているという。また「自分は親に怒鳴られて育ってきた。おかげでまともな人間になったと思っているし,怒鳴る以外に言うことを聞かない子どもをしつけるやり方もわからない」とのことである。

【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回社会福祉士国家試験(令和7年度)」問題18

※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。

※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。

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答え合わせ

正解は 2
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。

正解は 2 です。

相対的剥奪とは、自分が持っているものが十分かどうかを、他の人や周りの基準と比べて「自分は奪われている」と感じる状態のことです。収入や物の絶対的な量ではなく、周囲との比較で生じる不満や欠乏感に注目する概念です。

事例では、流行りのゲーム機を買ってもらえずに子どもが駄々をこねています。ひとり親で非正規の仕事を掛け持ちする家庭の経済的な制約と、周囲の子どもとの比較から生まれる欠乏感を捉えるには、相対的剥奪の概念が合います。

ほかの概念は、事例の中心的な状況とは合いません。

なぜこれが正解か

正解は 2。事例では、非正規の仕事を掛け持ちするひとり親家庭で、周りの子どもが持っている流行のゲーム機を買ってもらえないことが、子どもの不満(駄々)の背景にある。周囲との比較によって生じる欠乏感・不利を捉える概念である「相対的剥奪」が、この状況を把握するのに最も適切である。

各選択肢の解説

  • 1 予言の自己成就:根拠のない予言や思い込みが、行動を通じて現実になってしまう現象(マートン)。事例にそのような構図はない。
  • 2 相対的剥奪:他者や集団との比較で、自分が不利・不足の状態にあると感じること。貧困を、生活に必要な最低限の物の欠如だけでなく、社会の標準的な生活水準との比較で捉える視点とも結びつく。適切。
  • 3 社会的孤立:他者や社会とのつながりが乏しい状態。事例には、Aさんが相談できる相手のいない状況は示されていない。
  • 4 役割葛藤:複数の役割(仕事と育児など)の期待が両立せず、板挟みになること。仕事と育児の両立の苦労は見て取れるが、設問が尋ねる「親子の状況を把握する概念」としては、ゲーム機をめぐる状況にそぐわない。
  • 5 互酬性:贈り物や支援のやりとりで、お返しをし合う関係。事例の中心ではない。

なぜこれが正解か

正解は 2。事例の要点は、①ひとり親で非正規の仕事を2つ掛け持ちしている(経済的・時間的な制約)、②子どもが流行りのゲーム機を買ってもらえず駄々をこねている、③Aさん自身が怒鳴られて育ち、しつけの手段として怒鳴ることしか知らない、の3点である。②は、周囲の子どもが持っているものを自分は持てないという「相対的剥奪」の状況であり、設問の「ひとり親世帯であるAさん親子の状況を把握するうえで妥当な社会学の概念」として最も適切である。

相対的剥奪とは

相対的剥奪は、客観的に何がどれだけ足りないかではなく、比較の対象(準拠集団)との差によって主観的に生じる不満・不足感を指す。社会運動や犯罪・逸脱の発生要因を説明する社会学の概念として使われるほか、貧困研究では、タウンゼントが、社会の中で標準的とされる生活様式や活動に参加できない状態を「相対的剥奪」として貧困を定義したことで知られる。ひとり親世帯の貧困や、子どもの体験・所有物の格差の理解に役立つ。

各選択肢の解説

  • 1 予言の自己成就:「こうなるだろう」という思い込みに基づく行動が、結果としてその予言を現実にする(マートン)。事例にはそうした構図がない。
  • 3 社会的孤立:地域や社会とのつながりがない状態。事例では、Aさんが孤立していることは書かれていない。事例にない事実を補って選ばない。
  • 4 役割葛藤:役割間の期待の衝突。仕事と育児の両立が難しいとは考えられるが、設問は、子どものゲーム機をめぐる状況と親子の関係を捉える概念を問うており、最も適切とはいえない。
  • 5 互酬性:与えたら返すという相互の支え合いの規範(モース、ポランニーなど)。

関連して出る論点

  • 絶対的貧困と相対的貧困の違い(相対的貧困率は等価可処分所得の中央値の一定割合を貧困線とする)。
  • 世代間連鎖(虐待・貧困)の視点。Aさんの言葉からは、自分が受けた養育を基準にしている面があり、養育方法の学び直しや、利用できる支援(子育て支援、ひとり親支援)につなぐ視点が大切になる。
この問題の根拠出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回社会福祉士国家試験(令和7年度)」問題18。解説は合格ナビが独自に作成したものです。
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第38回社会福祉士国家試験(令和7年度)」の問題18です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。

解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。

執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。