問題
次の記述のうち,イギリスのスピーナムランド制度の説明として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回社会福祉士国家試験(令和7年度)」問題19
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 4
スピーナムランド制度は、18世紀末にイギリスのスピーナムランドで始まった救貧の仕組みです。パンの値段と家族の人数から「生活に必要な額」を決め、働いて得た賃金がそれに足りない分を、救貧税から補いました。
ところが、雇い主は「足りない分は救貧税で補ってもらえる」と考えて賃金を下げるようになり、救貧税の負担も大きく膨らみました。選択肢4はこの内容を正しく説明しています。
ほかの選択肢は、居住地法、ワークハウス、劣等処遇の原則など、別の制度や原則の説明です。
正解は 4
イギリス救貧法の歴史の中で、各制度・原則の特徴を区別する問題です。
- 1:誤り。貧民を生まれ故郷の教区へ送還したのは、17世紀の居住地法(定住法)です。
- 2:誤り。労役場(ワークハウス)を使って労働能力を試すことは、18世紀のワークハウス・テスト法や、1834年の新救貧法の考え方です。
- 3:誤り。労働能力のある貧民を自宅で救済する「院外救済」を認めたのは、18世紀後半のギルバート法です。スピーナムランド制度の説明ではありません。
- 4:正しい。スピーナムランド制度は、パンの価格と家族の人数に基づく基準額と実際の賃金との差額を救貧税で補う賃金補助制度で、賃金の引き下げと救貧税負担の増大を招きました。
- 5:誤り。救済水準を自活する最下層の労働者の生活水準より低くするのは、1834年の新救貧法の劣等処遇の原則です。
スピーナムランド制度の失敗が、劣等処遇の原則を掲げる新救貧法を生んだ、という流れで押さえましょう。
正解は 4
救貧法の流れ
| 年 | 制度 | 要点 |
|---|---|---|
| 1601 | エリザベス救貧法 | 教区単位で救貧税を徴収し、貧民を労働能力の有無などで分類して救済 |
| 17世紀 | 居住地法(定住法) | 救済を求めて移動する貧民を元の教区へ送還(選択肢1) |
| 18世紀 | ワークハウス・テスト法 | 労役場への収容を救済の条件とし、労働能力と救済の必要性をテスト(選択肢2) |
| 18世紀後半 | ギルバート法 | 労働能力のある貧民の院外救済を認める(選択肢3) |
| 18世紀末 | スピーナムランド制度 | パン価格と家族数による基準と賃金との差額を補助(選択肢4) |
| 1834 | 新救貧法 | 劣等処遇の原則、院外救済の廃止、全国統一の原則(選択肢5) |
スピーナムランド制度の仕組みと帰結
18世紀末、穀物価格の高騰で農業労働者の生活が困窮しました。スピーナムランドの治安判事たちは、パン1斤の価格と家族の人数から最低限の生活に必要な所得を算定し、賃金がそれに満たない分を救貧税から給付することにしました。この方式は各地に広がりました。
しかし、最低賃金の定めがない中で、雇用主は賃金を低く抑えても差額が救貧税で補われるため、賃金の引き下げ圧力が働きました。労働者にとっても、働いても働かなくても所得が大きく変わらない状況が生まれ、労働意欲の低下が指摘されました。結果として救貧税負担が増大し、制度への批判が高まりました。
新救貧法への転換
この反省を受けた1834年の新救貧法は、①救済水準を自活する最下層の労働者より低くする劣等処遇の原則、②労働能力のある者の院外救済をやめ労役場に収容するワークハウス・システム、③救済の水準・方法を全国で統一する全国統一の原則を掲げました。選択肢5の説明はこの劣等処遇の原則です。
関連して出る論点
- スピーナムランド制度は、現代の所得保障論でいう「給付付き税額控除」や「ベーシックインカム」の議論の中で、低賃金を補う給付が賃金に与える影響の歴史的な例として引き合いに出されます。
- ギルバート法とスピーナムランド制度は、ともに院外救済を拡大し、救済を人道化した時期の施策としてまとめて出題されやすい組み合わせです。
似た用語との違い
「院外救済」は労役場の外(自宅など)で行う救済、「院内救済」は労役場などの施設に収容して行う救済です。ギルバート法とスピーナムランド制度は院外救済を広げ、新救貧法は院内救済へ引き戻した、と整理できます。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第38回社会福祉士国家試験(令和7年度)」の問題19です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
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