問題
社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)に関する次の記述のうち,適切なものを2 つ選びなさい。 (注)1 「1995 年(平成7 年)の社会保障制度審議会勧告」とは,総理府社会保障制度審議会「社会保障体制の再構築(勧告)〜安心して暮らせる21 世紀の社会をめざして〜」(1995 年(平成7 年)7 月4 日)のことである。 2 「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」とは,内閣の持続可能な開発目標(SDGs)推進本部が2016 年(平成28 年)12 月22 日に決定した同名の文書のことである。 3 「リスボン条約(2007)」とは,2007 年の「欧州連合条約及び欧州共同体設立条約を修正するリスボン条約」のことである。 4 「統合版(2008)」とは,2008 年の「欧州連合条約と欧州連合の機能に関する条約の統合版」のことである。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回社会福祉士国家試験(令和7年度)」問題25
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 3 と 5
日本政府の「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」は、取組を進めるうえでの主要原則の一つに「包摂性」を掲げています。「誰一人取り残さない」というSDGsの理念を表すものです(選択肢3)。
また、EUの条約(リスボン条約に基づく統合版)では、社会政策の章で社会的排除との闘いを目標の一つに掲げています(選択肢5)。
センが唱えたのは「ケイパビリティ(潜在能力)アプローチ」で、「社会的包摂アプローチ」ではありません。
正解は 3 と 5
- 1:誤り。1999年のILO総会でILOの主要な目標として位置づけられたのは「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」の実現です。
- 2:誤り。1995年の社会保障制度審議会勧告は、社会保障推進の原則として普遍性、公平性、総合性、権利性、有効性を掲げており、「包摂性」という概念を用いたものではありません。
- 3:正しい。SDGs実施指針(2016年)は、主要原則として普遍性、包摂性、参画型、統合性、透明性と説明責任の5つを掲げています。
- 4:誤り。センが示した、財を活用して実現できる状態や行動の幅に注目する考え方は「ケイパビリティ(潜在能力)アプローチ」です。
- 5:正しい。EUの機能に関する条約の社会政策の章では、社会的排除との闘いが連合と加盟国の目標の一つとして掲げられています。
社会的包摂は、ヨーロッパで「社会的排除」への対抗概念として広がった考え方です。日本では2000年の厚生省の検討会報告書などで取り入れられました。
正解は 3 と 5
社会的排除と社会的包摂
社会的排除(ソーシャル・エクスクルージョン)は、フランスで使われ始め、その後EUの社会政策の中心概念になりました。貧困を所得の不足だけでなく、雇用、教育、住宅、社会関係、政治参加など多様な領域からの締め出しが重なり合うプロセスとして捉える点が特徴です。社会的包摂は、そうした人々を社会の構成員として包み支え合うことを目指す考え方です。
正しい肢の確認
- 選択肢3:内閣のSDGs推進本部が2016年に決定した「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」は、実施のための主要原則として、普遍性、包摂性、参画型、統合性、透明性と説明責任を掲げています。包摂性は「誰一人取り残さない」の理念を、脆弱な立場の人々への配慮として具体化したものです。
- 選択肢5:リスボン条約によって改正された「EUの機能に関する条約」の社会政策の章は、雇用の促進、生活・労働条件の改善、適切な社会的保護、労使対話などとあわせて、社会的排除との闘いを連合と加盟国の目標として掲げています。EUは2000年のリスボン戦略以降、社会的包摂を政策目標に位置づけてきました。
誤りの肢の論点
- 選択肢1:1999年のILO総会で事務局長が提起した「ディーセント・ワーク」は、権利が保障され、十分な収入を生み、適切な社会的保護が与えられる生産的な仕事を指し、ILOの活動の主目標とされました。社会的包摂と関連は深いものの、用語として問われているのはディーセント・ワークです。
- 選択肢2:1995年の社会保障制度審議会勧告「社会保障体制の再構築」は、社会保障の理念を「広く国民に健やかで安心できる生活を保障すること」とし、推進の原則として普遍性、公平性、総合性、権利性、有効性を示しました。また、自立と社会連帯の考え方を強調しています。
- 選択肢4:センのケイパビリティ・アプローチは、所得や財の量ではなく、人がその財を用いて実際に「何をすることができ、どのような状態になれるか」という機能の集合に注目します。同じ財を持っていても、障害や年齢、社会環境によって実現できることが異なる点を重視する考え方で、人間開発指数(HDI)の理論的基礎にもなりました。
関連して出る論点
日本では、2000年の「社会的な援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会」報告書が、社会的排除や孤立の問題を指摘し、ソーシャル・インクルージョンの理念を打ち出しました。この流れは、生活困窮者自立支援制度や地域共生社会の政策につながっています。
似た用語との違い
「インテグレーション(統合)」は分けられていたものを一つにまとめる発想、「インクルージョン(包摂)」は最初から多様な人々を排除せずに包み込む発想です。教育や障害福祉の分野でも両者は区別して用いられます。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第38回社会福祉士国家試験(令和7年度)」の問題25です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

