問題
事例を読んで,A社会福祉士の対応に関する次の記述のうち,「動機づけ面接」の方法を用いて,クライエントのデイケアへの参加の動機づけを高める対応として,最も適切なものを1 つ選びなさい。 〔事 例〕 Bさん(40 歳,男性)は,うつ病であったが症状は軽快し,2 週間前から復職プログラムを実施する精神科デイケアに通っている。しかし,これまで10 日のうち遅刻が8 日,欠席が1 日であった。デイケアスタッフのAがBさんと面談することとなり,Bさんの話を傾聴すると「毎日,遅刻しないで参加したいが,一方で参加したくない気持ちもあり,アラームで目が覚めてからベッドでぐずぐずしてしまい,遅刻してしまった」と話した。「二つの気持ちの間で揺れているのですね」と応答した後で,Aは,Bさんが目覚めた後に早めに行動することへの動機づけを高める働きかけを試みることにした。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回社会福祉士国家試験(令和7年度)」問題11
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 5 です。
動機づけ面接は、「変わりたい気持ち」と「変わりたくない気持ち」の両方(両価性)を持つ人に対し、本人の口から「変わる理由」を語ってもらうことで動機を高める面接法です。助言や説得で押すのではなく、本人が自分で気づくよう質問で引き出します。
Bさんは「参加したい気持ち」と「参加したくない気持ち」の間で揺れています。選択肢5は「すぐに行動できたらどんな良いことがあるか」と、Bさん自身に変化の利点を語ってもらう質問で、動機づけ面接の方法に沿っています。
1は助言、2は「なぜ」と責める印象になりやすい質問、3は気持ちを打ち切る言い方、4は脅しに近い言い方で、いずれも本人の動機を引き出すものではありません。
なぜこれが正解か
正解は 5。動機づけ面接では、共感を保ちながら本人の両価性(変わりたい/変わりたくない)を整理し、本人が「変わる理由」や「変わった後の良いこと」を語る(変化トーク)よう開かれた質問で促す。5は目覚めてすぐ行動できた場合の利点をBさんに尋ねる開かれた質問であり、変化トークを引き出す典型的な働きかけである。
各選択肢の解説
- 1 「もう少し早く寝るとよいと思いますよ」は、支援者が答えを与える助言。本人から変化の理由が出ておらず、押しつけると抵抗を生みやすい。
- 2 「なぜ起きられないのか」と問うのは原因を責め立てる印象になりやすく、言い訳や防衛的な反応を引き出して、かえって動機が下がりやすい。
- 3 「そのことばかり考えても仕方がない」は、本人の揺れる気持ちを否定し、話を打ち切る応答である。
- 4 「このまま遅刻が続くと復職は難しい」は、不利益を示して脅す直面化。正しい情報でも、本人の許可なく突きつけると抵抗を強める。
- 5 正しい。開かれた質問で、変化の利点を本人に語ってもらっている。
なぜこれが正解か
正解は 5。動機づけ面接(ミラーとロルニックが体系化した、クライエント中心の面接法)の中核は、変化をめぐる両価性を否定せず、本人自身が変化の理由を語ること(変化トーク)を引き出すところにある。事例のAは「二つの気持ちの間で揺れているのですね」と聞き返しで両価性を受け止めており、次の一手として、変化の利点を本人に語らせる5の質問が適切である。
動機づけ面接の基本
- 精神:協働・喚起・自律性の尊重。支援者は「正しい答えを教える人」ではなく、本人の中にある動機を引き出す役割をとる。
- 基本スキル(OARS):開かれた質問、是認、聞き返し(反映)、要約。
- 変化トークを引き出し、強める。抵抗(不一致)には正面からぶつからず、受け流して聞き返しなどで応じる。
- 情報提供や助言をするときは、本人の許可を得てから行う。
各選択肢の解説
- 1 助言。本人が必要を感じていない段階で出すと、「わかっているができない」という抵抗を呼びやすい。
- 2 「なぜ」で始まる質問は、責められていると受け取られやすく、動機づけ面接では避けるのが一般的である。理由を聞きたいときも、「どんなときに起きやすいか」など責めない聞き方にする。
- 3 本人の語りを打ち切る応答で、共感的理解に反する。
- 4 直面化(不利益を突きつける)で、抵抗を強めやすい。復職が難しくなるという情報を伝えるとしても、許可を得て中立的に示し、本人の受け止めを尋ねる形にする。
- 5 正しい。「どんな良いことがあるか」という問いは、変化の利点を本人の言葉で語らせる開かれた質問である。
関連して出る論点
- 変容ステージモデル(前熟考期・熟考期・準備期・実行期・維持期)との組み合わせ。Bさんは行動に向けて迷っている段階で、動機づけ面接が特に有効である。
- 認知行動療法、問題解決療法、クライエント中心療法など他の面接技法との違い。動機づけ面接は「指示的でない中で、変化の方向へ導く」点に特徴がある。
- 両価性は変化の途上で自然に生じるものとして扱い、解消を急がないこと。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第38回社会福祉士国家試験(令和7年度)」の問題11です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

