問題
エスピン-アンデルセン(Esping-Andersen, G.)の福祉国家レジーム論に関する次の記述のうち,適切なものを2 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回社会福祉士国家試験(令和7年度)」問題16
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
※この問題は2つ選ぶ形式です。2つとも選ぶと答え合わせになり、正答の全部を選んだときだけ正解として扱います。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 1 と 3 です。
エスピン-アンデルセンは、福祉国家を3つのレジーム(型)に分けました。
- 自由主義レジーム:市場を重視し、公的給付は資力調査つきで限定的。受給者にスティグマ(恥の烙印)が伴いやすい。
- 保守主義(コーポラティズム)レジーム:職業的地位による格差を保ち、家族の役割が大きい。
- 社会民主主義レジーム:普遍的な給付で、市場に頼らず生活できる程度(脱商品化)が高い。
選択肢3は自由主義レジームの特徴として正しい記述です。選択肢1は、レジームが左派勢力・カトリック政党・権威主義国家の歴史的遺制などの影響で形づくられる、という理論の説明として正しいものです。
なぜこれが正解か
正解は 1 と 3。エスピン-アンデルセンは、福祉国家を自由主義・保守主義(コーポラティズム)・社会民主主義の3つのレジームに類型化した。1は、レジームの形成に労働者階級の政治的動員(左派勢力)、カトリック政党、権威主義的国家の歴史的遺制などが影響したという理論の説明として適切。3は自由主義レジームの特徴として適切である。
各選択肢の解説
- 1 正しい。レジームの違いは、階級的動員、階級間の政治連合、歴史的な制度の遺制によって説明される。
- 2 誤り。脱商品化とは、労働者が労働市場に頼らなくても(労働力を商品として売らなくても)一定の生活水準を維持できる程度を指す。労働能力を喪失することではない。
- 3 正しい。自由主義レジームでは、給付の受給資格(エンタイトルメント)が厳格で、資力調査を伴い、スティグマが生じやすい。
- 4 誤り。家族の福祉機能が限界に達したときに公的機関が補う(補完性の原理)のは、保守主義レジームの特徴である。社会民主主義レジームは、家族に頼らず、国家が普遍的に福祉を提供する。
- 5 誤り。コーポラティズム(保守主義)レジームでは、社会保険が職業的地位ごとに分かれ、地位の格差が社会政策に反映・維持される。差異の影響がないとするのは逆。
なぜこれが正解か
正解は 1 と 3。エスピン-アンデルセンの福祉国家レジーム論は、福祉国家を脱商品化の程度、社会的階層化のあり方、国家・市場・家族の関係の組み合わせから、3つに類型化した。
3つのレジームの整理
| レジーム | 代表的な国(例) | 特徴 |
| 自由主義 | アメリカ、イギリス等のアングロサクソン諸国 | 市場重視、資力調査つき給付、脱商品化は低い、スティグマ |
| 保守主義(コーポラティズム) | ドイツ、フランス等の大陸ヨーロッパ | 職業的地位による社会保険の分立、地位格差の維持、家族主義、補完性 |
| 社会民主主義 | スウェーデン等の北欧諸国 | 普遍主義、高水準の給付、脱商品化が高い、女性の就労支援など |
どのレジームに属するかの国名は教科書により揺れがあるため、特徴の記述で判断する習慣をつける。
各選択肢の解説
- 1 レジームの形成要因は、労働者階級の動員(左派勢力)、階級間の政治的連合構造、歴史的な制度的遺制(カトリック教会の影響や権威主義的国家など)の3点で説明される。適切。
- 2 脱商品化は、「市場に依存しなくても生活できるか」の指標であり、労働能力の喪失という意味ではない。年金・疾病・失業の給付の資格要件の厳しさや、所得代替率などで測られる。
- 3 自由主義レジームでは、資力調査により対象を貧困層に絞るため、受給がスティグマと結びつきやすい。適切。
- 4 補完性の原理(家族が限界に達して初めて公的機関が支える)は、保守主義レジームの特徴。社会民主主義レジームは逆に、家族に依存せず、個人の自立を国家が支える「脱家族化」の志向が強い。
- 5 保守主義(コーポラティズム)レジームでは、職域ごとの制度が地位の違いをそのまま温存する。階級や職業的地位の差異が政策に影響しないという記述は誤り。
関連して出る論点
- 「脱家族化」の概念(家族への依存を減らす度合い)。
- 福祉国家の収斂論・多様性、日本の位置づけをめぐる議論(自由主義と保守主義の混合とする見方など)。
- ティトマスの福祉モデル(残余的・産業的業績達成・制度的再分配)、ウィレンスキーなど他の福祉国家論との区別。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第38回社会福祉士国家試験(令和7年度)」の問題16です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
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