社会福祉士

社会福祉士 第38回 問題117ソーシャルワークの理論と方法(専門)

問題

社会福祉士 | 第38回(令和7年度) | 令和8年2月1日(日)実施・ソーシャルワークの理論と方法(専門)

事例を読んで,次のうち,A母子支援員(社会福祉士)が用いる単一事例実験計画法の記述として,適切なものを2 つ選びなさい。 〔事 例〕 B母子生活支援施設のAは,夫の失踪による経済的困窮により6 か月前から入所している軽度の知的障害のあるCさん(28 歳)とDさん(6 歳)を担当している。日頃からDさんの泣き声が聞こえているため事情を尋ねると次のように話した。「子どもの些細な失敗に対してイライラし,つい怒鳴ってしまう。子どもも泣くし,私も落ち込んでしまう」。これを聞いたAは,「怒鳴りたくなった時の気持ちの落ち着け方について,定期的に私と検討し,実際に取り組んでみませんか」と提案した。 また,Cさんの同意を得たうえで単一事例実験計画法を用いることにした。

【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回社会福祉士国家試験(令和7年度)」問題117

※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。

※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。

※この問題は2つ選ぶ形式です。2つとも選ぶと答え合わせになり、正答の全部を選んだときだけ正解として扱います。

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答え合わせ

正解は 3・4
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。

正解は 3 と 4 です。

単一事例実験計画法は、ひとりの事例について、支援の前(ベースライン期)と支援の後で、同じ指標を繰り返し測り、変化を確かめる方法です。この事例で測りたいのは、Cさんの「怒鳴ってしまう」という行動と、気持ちの落ち込みです。

3は怒鳴った回数を数えてグラフにするので、行動の変化が目で見えます。4の「セルフアンカード・レイティング・スケール」は、本人が自分の気持ちを自分で決めた基準で点数化する尺度で、気持ちの変化を繰り返し測れます。

👉 覚え方:本人の標的(行動・気持ち)を、同じ方法で、繰り返し測る。

1と5はDさんの様子の観察、2は他の母親への聞き取りで、Cさんの変化を繰り返し測るものではありません。

なぜこれが正解か

正解は 3 と 4。単一事例実験計画法は、支援を受ける本人(Cさん)の標的となる行動や状態を、支援の前後(ベースライン期と介入期)にわたって同じ方法で繰り返し測定し、変化を比較して効果を確かめる。Cさんの課題は「怒鳴ってしまうこと」と「落ち込み」なので、怒鳴った回数(行動の頻度)と、自己評定による気持ちの落ち込みが適切な測定対象になる。

各選択肢の解説

  • 1 Dさんの表情の観察:標的はCさんの行動や気持ちであり、Dさんの表情は測定対象として適切でない。
  • 2 他の母親へのインタビュー:Cさんの課題の把握には役立つかもしれないが、同じ指標を繰り返し測って変化を見る方法ではない。
  • 3 怒鳴った回数のグラフ化:標的行動の頻度を記録し、変化を可視化できる。適切。
  • 4 セルフアンカード・レイティング・スケール:本人が自分の感じ方に合わせて基準を決めた尺度で、気持ちの変化を継続して測れる。適切。
  • 5 取組後のDさんの観察:支援の前後比較がなく、標的もCさんの変化ではない。

覚え方・ひっかけ注意

「誰の」「何を」「いつ(前後・繰り返し)」測るかの三点で判断する。子どもの変化も大切だが、本問で実験の対象にしているのはCさんの取り組みである。

設問の位置づけ

単一事例実験計画法(シングル・システム・デザイン)は、ソーシャルワークの実践評価の方法で、個人や家族などひとつの事例を対象に、介入の効果を実践の中で確かめる。研究・調査の科目でも、実践評価として繰り返し出題される。

正解の掘り下げ

基本の手順は次のとおり。

1. 標的(標的行動・標的となる状態)を具体的に定める。

2. 介入前に同じ指標を繰り返し測り、ベースライン(基準となる状態)を得る。

3. 介入を開始し、同じ指標を引き続き測る(介入期)。

4. ベースライン期と介入期を比較し、変化を判断する。

代表的な型として、ベースライン期(A)と介入期(B)を並べるABデザインがあり、さらにベースラインに戻すABA型や、複数の標的に時期をずらして介入する多層ベースライン型など、因果の確からしさを高める工夫がある。

測定には、回数・持続時間などの行動の記録のほか、本人が主観を点数化する自己評定尺度が使われる。セルフアンカード・レイティング・スケールは、本人が自分の言葉で両端の状態(最悪・最良)を定め、その間で自己評価する尺度で、気持ちのような内的状態を繰り返し測るのに向く。本事例では「怒鳴る回数」(行動の頻度)と「落ち込み」(主観的状態)の二種類の標的に対応している。

誤りの肢の論点

  • 1・5 は、Dさんの観察である。母子双方に変化が及ぶことは大切だが、事例でAが提案した取り組みの主体はCさんで、標的の指標もCさんにある。観察記録の対象を取り違えさせる出題である。
  • 2 は、インタビューによる課題把握(アセスメント)の手法である。繰り返し同じ指標を測る実験計画の測定とは性質が違う。

似た用語との違い

  • 集団比較(実験群と統制群)は多数の対象を比べる方法で、単一事例は一人の中での前後比較。
  • 量的調査と質的調査の違いのうち、本問の測定は数値化(頻度・得点)を前提とする。

関連して出る論点

測定の信頼性と妥当性、観察者による記録のぶれの扱い、本人の同意を得て評価を行う倫理的配慮(事例でもCさんの同意を得ている)など。

この問題の根拠出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回社会福祉士国家試験(令和7年度)」問題117。解説は合格ナビが独自に作成したものです。
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第38回社会福祉士国家試験(令和7年度)」の問題117です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。

解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。

執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。