問題
視覚障害のあるAさんは,出張に際して用務地に近いホテルを予約した。 用務が終わり,ホテルにチェックインしようとしたところ,チェックインは,備え付けのタブレット端末で行うよう言われた。しかし,視覚障害のあるAさんは,タッチパネル式のタブレット端末を利用することができずに困ってしまった。 次の記述のうち,視覚障害者がホテルを利用できるよう,予めの準備も含め,ホテルが法令に基づき行うことが求められる対応として,適切なものを2 つ選びなさい。 (注)1 「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」とは,「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」のことである。 2 「バリアフリー法」とは,「高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」のことである。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回社会福祉士国家試験(令和7年度)」問題56
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 3 と 5 です。
障害者差別解消法では、ホテルのような事業者は、障害のある人から「困っているので配慮してほしい」と求められたとき、負担が重すぎない範囲で合理的配慮をしなければなりません。タブレット以外のチェックイン方法(たとえば係員の対応)を用意しておくことは、その典型です(3)。
また、配慮をうまく行えるよう、従業員研修などの「環境の整備」に努めることも同じ法律に書かれています(5)。
システムを撤去する必要はなく(1)、バリアフリー法の建築基準はチェックイン端末の種類までは決めていません(2)。障害がある人だけに事前連絡を必須とするのは、かえって差別的な扱いになりかねません(4)。
なぜこれが正解か
正解は 3 と 5。障害者差別解消法第8条第2項は、事業者に対し、障害者から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があり、その負担が過重でないときは、必要かつ合理的な配慮をしなければならないと定める。同法第5条は、合理的配慮を的確に行うため、施設の構造の改善や設備の整備、関係職員に対する研修その他の環境の整備に努めるよう求めている。
各選択肢の解説
- 1(誤り)障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法は、国・地方公共団体の施策の基本理念や責務を定める法律で、事業者に特定の機器の撤去を義務づけるものではない。
- 2(誤り)建築物移動等円滑化基準は、出入口・廊下・階段・便所・案内設備など建築物の構造や設備に関する基準で、点字ディスプレイ付きのチェックインシステムの導入を求めるものではない。
- 3(適切)代替手段を用意しておくことは、法第8条第2項の合理的配慮の提供の具体例である。
- 4(誤り)利用できない人にだけ事前連絡を必須とすることは、障害を理由とした条件の付加として不当な差別的取扱いになりうる。
- 5(適切)法第5条の環境の整備(研修)に当たる。
根拠条文と制度の位置づけ
正解は 3 と 5。障害者差別解消法は、事業者に二つの柱を課している。
1. 不当な差別的取扱いの禁止(第8条第1項):障害を理由として、障害のない人と異なる不利な取扱いをしてはならない。
2. 合理的配慮の提供(第8条第2項):障害者から社会的障壁の除去を求める意思の表明があり、実施に伴う負担が過重でないとき、性別・年齢・障害の状態に応じて必要かつ合理的な配慮をしなければならない。事業者の合理的配慮は、法改正により努力義務から法的義務に改められており、第38回試験の時点ではすでに義務として施行されている。
加えて第5条は、行政機関等と事業者に、合理的配慮を的確に行うための環境の整備(施設の構造の改善、設備の整備、関係職員への研修など)に努めることを求めている。合理的配慮が「個別の場面での対応」であるのに対し、環境の整備は「不特定多数の障害者を想定した事前の改善措置」であり、両者は区別して出題される。
誤りの選択肢の掘り下げ
- 1:障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法は、障害者が情報を取得・利用し意思疎通を図るための施策を総合的に推進する理念法である。事業者には施策への協力などが求められるが、特定の機器の設置や撤去を命じる規定はない。
- 2:バリアフリー法の建築物移動等円滑化基準は、一定の建築物の新築等の際に適合が求められる物理的な基準(段差、通路幅、エレベーター、視覚障害者誘導用ブロック、案内設備など)を定めたもので、受付システムの方式は扱っていない。法令名と「求める内容」のずれを突く選択肢である。
- 4:事前連絡を必須とすると、障害のある人だけに追加の手続きを課すことになる。正当な理由のない条件付加は不当な差別的取扱いにあたりうる。予約時に任意で必要な配慮を尋ねる工夫とは区別する。
関連論点
- 合理的配慮は「意思の表明」が出発点だが、本人が表明しにくい場合に家族や支援者が補佐して表明することも想定されている。
- 「過重な負担」は、事務・事業への影響、実現可能性、費用、事業規模などを個別に考慮して判断し、過重と判断した場合は理由を説明し、代替案を話し合う「建設的対話」が求められる。
- 雇用の場面の差別禁止・合理的配慮は、差別解消法ではなく障害者雇用促進法で定められている。
- 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律第8条e-Govで原文を読む
- 障害者の雇用の促進等に関する法律e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第38回社会福祉士国家試験(令和7年度)」の問題56です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

