社会福祉士

社会福祉士 第38回 問題75ソーシャルワークの理論と方法

問題

社会福祉士 | 第38回(令和7年度) | 令和8年2月1日(日)実施・ソーシャルワークの理論と方法

事例を読んで,次の記述のうち,A生活支援員(社会福祉士)が行う支援として,適切なものを2 つ選びなさい。 〔事 例〕 宿泊型自立訓練施設で出会ったBさん(26 歳,女性)とCさん(28 歳,男性)は,ともに軽度の知的障害がある。2 年間の交際をしており,親元を離れて生活したいと思い,3 か月前からアパートで一緒に暮らし始めた。二人は結婚を考えているが,Bさんは「親には勝手にすればと言われた。生活費や家事の分担が心配だし,子どもが生まれたら子育てできるのか不安」,Cさんは「親の理解が得られない」と話している。Bさんの親は無関心であり,Cさんの親は結婚することには慎重であることから,親の狭間で二人に迷いが出てきたため,以前からかかわりのあるAに相談に来た。

【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回社会福祉士国家試験(令和7年度)」問題75

※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。

※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。

※この問題は2つ選ぶ形式です。2つとも選ぶと答え合わせになり、正答の全部を選んだときだけ正解として扱います。

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答え合わせ

正解は 1・2
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。

正解は 1 と 2 です。

BさんとCさんは軽度の知的障害があり、結婚を考えています。どう暮らすかは二人が決めることで、支援者は意思決定を支えます。

  • 1 親たちと本人たちの意見をどちらも尊重できるよう話し合いの場をもつ:適切です。
  • 2 二人の意思表明を支えるため、生活能力や経済状況をアセスメントし、将来設計の選択肢を整理する:適切です。

3は、出産や子育てを「時期尚早」として話し合いを先送りし、二人の不安に向き合っていません。4は、親の支援がなくても暮らせることを前提にしています。5は、現実的に考えさせて他の選択肢を考えさせるという、結婚をあきらめさせる方向への誘導になっています。

なぜこれが正解か

正解は 1 と 2。事例では、軽度の知的障害のある二人が結婚を考えているが、双方の親の理解が十分でなく、本人たちも生活や子育てに不安を感じている。支援者は、本人たちの意思を中心に、親との関係を調整し(1)、意思表明を支えるために、生活能力や経済状況を整理して将来の選択肢を示す(2)。

各選択肢の解説

  • 1 正しい。本人たちの意見と親の意見をどちらも尊重できるよう話し合いの場をもち、関係を調整する。
  • 2 正しい。意思決定支援として、情報の提供・整理を行い、本人たちが自分で選べるようにする。
  • 3 誤り。出産・子育てへの不安をすでに本人が口にしているのに、「時期尚早」として先送りするのは、相談に応じていない。結婚・出産・子育ては、本人たちが決められる事柄であり、情報提供や相談を行うことが大切である。
  • 4 誤り。親の支援を受けずに暮らせるようにするという前提は、家族との関係を断つことになりかねない。親も含めて、利用できるサービスや支援を調整する。
  • 5 誤り。「現実吟味をして他の選択肢を考える」支援は、結婚をあきらめさせる誘導になりうる。本人たちが選択肢を理解したうえで決めることを支える。

なぜこれが正解か

正解は 1 と 2。軽度の知的障害があっても、結婚・出産・子育てに関する意思決定は、本人たちの権利である。生活支援員(社会福祉士)は、本人たちの意思表明を支援し、関係者(親)との調整を図りながら、自己決定が実現できる条件を整える役割を担う。

根拠となる考え方

  • 自己決定の尊重と意思決定支援:障害のある人も、情報や選択肢を分かりやすく示され、必要な支援を受けながら、自分で決める権利をもつ。支援者は、本人の代わりに決めるのではなく、決めるための条件を整える。
  • 障害者権利条約第23条(家庭及び家族の尊重)は、婚姻・家族・親子関係などに関する障害者への差別の撤廃と、子の養育の責任を果たすための適当な援助を締約国に求めている。
  • 家族との関係:親の意向は、本人の意思と異なる場合もあるが、家族は本人の生活を支える資源でもある。対立を調整し、相互の理解を促す。
  • アセスメント:生活費、家事分担、子育ての力、利用できる制度・サービス(相談支援、日常生活の支援、子育て支援など)を、本人たちと一緒に確認する。

各選択肢の解説

  • 1 本人たちが「親の狭間で迷っている」状況に対し、支援者が場を設け、双方の意見を聞いて調整する。親の理解を得ることは、二人の生活の安定にもつながる。
  • 2 将来設計の選択肢を整理することで、本人たちが具体的に考えられるようになる。支援者が結論を決めるのではなく、判断材料を示す。
  • 3 結婚後に話そうと伝えるのは、相談の先送りであり、不安に向き合う機会を逃す。出産・子育ての不安こそ、早い段階で情報を提供して一緒に考えるべきことである。
  • 4 親の支援がなくても暮らせるように整えるのは、親との関係を断つ前提を置いてしまっている。必要な支援の調整は大切だが、「親の支援なし」を目標にする点が不適切。
  • 5 現実吟味の名のもとに、他の選択肢を考えさせるのは、本人の希望を否定し、方向づけをする危険がある。リスクの説明は、決定を妨げるためではなく、本人が判断するために行う。

関連して出る論点

  • 成年後見制度、日常生活自立支援事業など、判断能力が十分でない人の権利擁護の仕組み。
  • 障害者総合支援法に基づく、グループホーム、自立訓練などの支援。
  • 支援者の価値と倫理:パターナリズム(本人のためと称して代わりに決めること)との距離のとり方。
  • 旧優生保護法の問題:障害などを理由に、子を生み育てるかどうかを自ら決める機会が奪われてきた。2024年7月3日の最高裁判所大法廷判決は、生殖を不能にする手術を定めた旧優生保護法の規定を憲法第13条・第14条第1項に違反すると判断し、国の損害賠償責任を認めた。これを受けて「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律」が制定されている。結婚・出産・子育てに関する本人の自己決定を支える本問の支援は、この歴史を踏まえて理解しておきたい。
この問題の根拠
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第38回社会福祉士国家試験(令和7年度)」の問題75です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。

解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。

執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。