問題
高齢者の通所型サービス事業を経営するA社会福祉法人では,地域における公益的な取組の内容を検討するため,地域の高齢者に対する無記名の質問紙調査を企画し,高齢者福祉を専門とするB教授の協力を得て,調査を実施することにした。その際,調査結果は,B教授の論文執筆にも用いることで合意した。 次の記述のうち,調査実施における倫理への対応として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回社会福祉士国家試験(令和7年度)」問題79
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 2 です。
調査では、協力してくれる人に、何のために調査をするのか、結果をどう使うのかを事前に伝え、理解を得ることが基本です。この事例では、調査結果を法人の取組の検討と、B教授の論文執筆の両方に使うことになっています。これを依頼文に書いて知らせておく選択肢2が適切です。
- 1 サービス利用者を理由なく除外すると、地域の高齢者の声が偏ります。
- 3 調査費用の負担を教授に求める必要は、倫理上ありません。
- 4 過去の調査の回答者名簿を別の調査に使うのは、目的外の利用になります。
- 5 自分の仮説に合うデータだけを選ぶのは、研究不正(データの都合のよい取捨選択)です。
なぜこれが正解か
正解は 2。調査倫理では、調査対象者に、調査の目的、結果の利用方法、協力は任意であること、匿名性や個人情報の保護などを事前に説明して、同意を得ることが求められる。事例では、結果を法人の事業検討と教授の論文に使うことが合意されているため、その利用目的を依頼文に記載することは、倫理的な対応として最も適切である。
各選択肢の解説
- 1 誤り。サービス利用者を除外すると、地域の高齢者の実態が偏り、調査の目的(地域への公益的な取組の検討)に合わない。利用者であっても、任意の協力であることを説明すれば、対象にできる。
- 2 正しい。利用目的を明示し、対象者が理解したうえで回答できるようにする。
- 3 誤り。調査費用をどちらが負担するかは、倫理上の問題ではなく、契約・取り決めの問題である。「利益供与と見られないように」費用負担を教授に求めるのは、理由として不適切。
- 4 誤り。過去の調査の回答者名簿は、そのときの調査目的の範囲で同意を得て集めた個人情報である。別の調査に流用するには、改めて本人の同意が必要で、目的外使用にあたる。
- 5 誤り。仮説に合うデータだけを選んで論文を書くのは、データの恣意的な取捨選択で、研究不正にあたる。
なぜこれが正解か
正解は 2。社会福祉調査の倫理で最も基本的なのは、調査対象者の権利の保護(自己決定、プライバシー、不利益の回避)と、調査者の誠実さ(データの正確な扱い)である。事例は、地域の高齢者に対する無記名の質問紙調査で、結果を法人の取組の検討と教授の論文執筆の双方に使う。目的と結果の利用方法を依頼文に明記することは、インフォームド・コンセントの中核であり、最も適切な対応である。
調査倫理の主な要素
- 目的・方法・結果の利用方法の説明、協力は任意であり、断っても不利益がないこと。
- 個人情報の保護、匿名性・守秘義務、データの適切な管理と廃棄。
- 対象者の負担や心理的な苦痛への配慮。
- 研究不正の防止:捏造(存在しないデータを作る)、改ざん(データを操作する)、盗用(他人の成果を無断で使う)。
- 利用目的の範囲を超えて個人情報を使わないこと(目的外利用の禁止)。
各選択肢の解説
- 1 利用者を除外する理由が示されていない。サービス利用者を対象から外す倫理的な根拠はなく、むしろ、利用者の意見を取り入れる必要がある場合もある。利用者の場合は、回答しなくても不利益がないこと、回答内容が提供サービスに影響しないことを説明する配慮が必要である。
- 2 依頼文に書くことで、対象者が、自分の回答が誰のどの目的に使われるかを理解できる。無記名調査であっても必要である。
- 3 調査費用の分担は、当事者間の取り決めで決めればよく、倫理上の要請ではない。
- 4 過去の調査のために集められた名簿は、そのときの目的の範囲内で同意を得て保有されたもの。別の調査に使うには、本人の同意または適切な手続きが必要。
- 5 データの都合のよい選択は、研究不正にあたる。結果が仮説に合わない場合も、その事実を示して考察する。
関連して出る論点
- 調査協力者への謝礼や、調査結果の報告・フィードバックの方法。
- 日本社会福祉士会や学会の倫理綱領・研究倫理指針、研究倫理審査(倫理審査委員会)の役割。
- 無記名調査と記名調査の違い、回収方法(郵送・留置き・インターネット)に応じた個人情報の扱い。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第38回社会福祉士国家試験(令和7年度)」の問題79です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

