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社労士と税理士の違いは?業務範囲・ダブルライセンス・社労士法違反の線引きを条文で確認

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

社労士と税理士の違いを、社会保険労務士法2条・27条と税理士法2条・52条で整理。業務範囲、税理士が社労士の業務を行える場合(施行令2条)、ダブルライセンスの受験資格、社労士法違反の罰則、令和7年度の試験データまで一次資料で確認します。

目次
  1. 社労士と税理士の業務範囲の違い
  2. 税理士が社労士の業務を行える場合:社労士法27条・施行令2条
  3. 社労士法違反の罰則:税理士・その他の人が気をつける条文
  4. 両方の資格を取る場合:受験資格と登録の関係
  5. 学習の順序:試験の仕組みから考える
  6. 難易度の違い:公式の数字で確認できること
  7. まとめ
  8. 関連記事
結論:社労士と税理士は、扱う法律も独占業務も別です。社労士は労働・社会保険の申請書や帳簿書類の作成・手続の代行を(社会保険労務士法2条1項1号〜2号、27条)、税理士は税務代理・税務書類の作成・税務相談を(税理士法2条1項、52条)、それぞれ資格者でない人が行うことが禁じられています。片方の資格だけで、もう一方の独占業務は行えません。両方の資格を取ると、両方の業務ができます。

条文の出典は e-Gov 法令検索です(2026-10-03 時点の現行条文):社会保険労務士法、税理士法。年収・「どちらが稼げるか」・ダブルライセンスの割合は、公的な一次資料がないため、この記事では扱いません。

比べる点社会保険労務士税理士
根拠法社会保険労務士法税理士法
使命(条文)労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施を通じて適切な労務管理の確立などに寄与すること(1条)税務に関する専門家として、納税義務者の信頼にこたえ、納税義務の適正な実現を図ること(1条)
主な業務申請書等の作成・提出手続の代行・事務代理、帳簿書類の作成、相談・指導(2条1項)税務代理、税務書類の作成、税務相談(2条1項)
資格のない人が報酬を得て業として行えない範囲1号〜2号の事務(27条)税理士業務(52条)
資格のない人が名称を使えるか使えない(26条)使えない(53条)
違反の罰則27条違反は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(32条の2第1項6号)52条違反は2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(59条1項4号)
試験社会保険労務士試験(厚生労働大臣が毎年実施・10条)税理士試験(科目合格制・7条1項)

社労士と税理士の業務範囲の違い

社会保険労務士法第2条第1項は、社労士の業務を次のように定めています(社労士の業務の中身は社労士の仕事内容で解説しています)。

  • 1号〜1号の3:労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成、提出手続の代行、事務代理
  • 1号の4〜1号の6:個別労働関係紛争のあっせん・調停・ADRの代理(特定社労士のみ)
  • 2号:労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成
  • 3号:事業における労務管理その他の労働に関する事項、社会保険に関する事項の相談・指導

税理士法第2条第1項は、税理士の業務を、他人の求めに応じ租税に関して次の事務を行うことと定めています。

号業務内容(条文の要旨)
1号税務代理税務官公署に対する申告、申請、請求、不服申立てなどについて代理し、または代行すること
2号税務書類の作成税務官公署に対する申告書、申請書、請求書、不服申立書などを作成すること
3号税務相談申告等や申告書等の作成に関し、租税の課税標準等の計算に関する事項について相談に応ずること

扱う対象が、社労士は「別表第一の労働・社会保険の法令」、税理士は「租税」で、重なりません。社労士法第2条第4項は、第1項各号の事務には「その事務を行うことが他の法律において制限されている事務」は含まれないと定めています。このため、税理士業務(税理士法第52条で税理士以外が行えない業務)は、社労士の業務には含まれません。

税理士法第2条第2項は、税理士業務のほか、税理士の名称を用いて、税理士業務に付随して「財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務」を業として行えると定めています。ただし書で、「他の法律においてその事務を業として行うことが制限されている事項については、この限りでない」としています。

税理士が社労士の業務を行える場合:社労士法27条・施行令2条

社労士法第27条の本文は、社労士または社労士法人でない者が、他人の求めに応じ報酬を得て、第2条第1項第1号から第2号までの事務を業として行うことを禁じています。ただし書の例外は2つです。

「ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限りでない。」(社会保険労務士法第27条ただし書)

この「政令で定める業務」は、社会保険労務士法施行令第2条が次のとおり定めています(社会保険労務士法施行令)。

  • 公認会計士または外国公認会計士が行う公認会計士法第2条第2項に規定する業務
  • 税理士または税理士法人が行う税理士法第2条第1項に規定する業務

公認会計士との業務範囲・試験・ダブルライセンスの違いは、公認会計士と社労士の違いは?業務範囲・試験・ダブルライセンスを条文と公式資料で比較で比較しています。

つまり、税理士が税理士業務(税務代理・税務書類の作成・税務相談)に付随して行う場合は、社労士法第27条の制限の例外になります。ここで、付随にあたるかどうかは、条文だけでは決まりません。また、税理士法第2条第2項のただし書は、他の法律で業として行うことが制限されている事項を、税理士の付随業務から外しています。両方の条文を合わせると、税理士であっても、税務に付随しない形で、他人の求めに応じ報酬を得て社労士法第2条第1項第1号〜第2号の事務を業として行うことは、同法第27条の制限の対象になると読めます(当サイトの読みであり、個別の事案の判断ではありません)。具体的な場面で迷う場合は、税理士会や社会保険労務士会、所管の厚生労働省・国税庁などに確認してください。

場面根拠条文から言えること
社労士でも税理士でもない人が、報酬を得て社会保険の申請書の作成を業として行う社労士法27条・32条の2第1項6号禁止。違反は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金
社労士の資格だけの人が、報酬を得て税務書類の作成を業として行う税理士法52条・59条1項4号禁止。違反は2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金
税理士が、税理士業務に付随して行う社労士法27条ただし書・施行令2条2号27条の制限の例外。何が付随にあたるかは条文からは判断できない
労務管理の相談(3号)を、社労士でない人が行う社労士法27条(3号は対象外)27条の制限の対象外。ただし「社労士」の名称は使えない(26条)

論点別問題で、業務区分と独占の線引きを確認する:

社労士法違反の罰則:税理士・その他の人が気をつける条文

「社労士法違反」「社会保険労務士法 違反」と検索される内容を、条文で確認します。罰則は、2026-10-03 時点の現行条文の「拘禁刑」の表記で書いています。

違反行為条文罰則
社労士でない者が、他人の求めに応じ報酬を得て、1号〜2号の事務を業として行う(ただし書の例外を除く)27条1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(32条の2第1項6号)
社労士でない者が、「社会保険労務士」「社労士」などの類似名称を用いる26条1項100万円以下の罰金(33条3号)
税理士でない者が税理士業務を行う(参考:税理士法)税理士法52条2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(税理士法59条1項4号)

社労士自身が守るべき禁止規定は、社労士法第15条(不正行為の指示等の禁止)、第16条(信用失墜行為の禁止)、第21条(秘密を守る義務)などです。詳しくは社会保険労務士はやめとけ?独占業務の範囲と開業・勤務の会員数にまとめています。

個別の事件の報道や、逮捕に至るかどうかは、この記事では扱いません。条文が定めているのは上の構成要件と罰則までです。

両方の資格を取る場合:受験資格と登録の関係

社労士と税理士のダブルライセンスは、法律上、それぞれの法律の手続を踏みます。社労士は社会保険労務士名簿への登録(社労士法14条の2第1項)、税理士は税理士名簿への登録(税理士法18条)が必要です。資格の根拠は別で、税理士法第3条は社会保険労務士を税理士となる資格の各号に挙げていません(試験合格者などに限定)。

2つの試験の受験資格には、次のつながりがあります。

方向根拠内容
税理士試験の合格 → 社労士試験の受験社会保険労務士試験オフィシャルサイト「厚生労働大臣が認めた国家試験」の一覧一覧に「(34)税理士試験」が含まれる。該当するか不明な場合は試験センターに問い合わせる
社労士の業務に従事 → 税理士試験(税法に属する科目)の受験税理士法5条1項1号ヘ、税理士法施行令5条社会保険労務士を含む法律上資格を有する者の業務に通算2年以上従事した人が受験できる

税理士法第5条の受験資格は、「次条第一号に定める科目」(税法に属する科目)の試験に限られます。会計学(簿記論・財務諸表論)の試験は、この条文の受験資格の対象外です(条文上の整理で、受験の手続は国税庁の受験案内で確認してください)。社労士の受験資格の全体は社労士になるにはで解説しています。

学習の順序:試験の仕組みから考える

「どちらを先に取るか」は、条文と試験制度の事実から次のように整理できます(学習時間の目安は、一次資料がないため示しません)。

試験の仕組み社会保険労務士試験税理士試験
試験科目労働基準法・安衛法、労災保険法、雇用保険法、労働保険徴収法、健康保険法、厚生年金保険法、国民年金法、労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識(9条)税法に属する科目のうち受験者が選択する3科目(所得税法・法人税法のどちらか1科目は必須)と、会計学の簿記論・財務諸表論の2科目(6条)
合格の積み上げ方1回の試験で、選択式・択一式それぞれの総得点と科目ごとの基準点を満たして合格一部の科目で基準以上の成績を得た人は、その後の試験でその科目が免除される(7条1項)。科目を年をまたいで積み上げられる
受験資格学歴・実務経験・国家試験合格のいずれか(8条)税法に属する科目は受験資格が必要(5条)。会計学の科目は条文上の受験資格がない

つまり、1年で社労士の全科目に集中する期間をつくり、税理士は科目ごとに別の年へ分ける、という進め方も、社労士業務に2年以上従事して税理士試験の受験資格を得てから挑む進め方も、法律上は成り立ちます。どちらが向いているかは、実務経験の有無や、勤務先で関わる業務によって変わります。合格ナビの診断で、まず社労士の弱点科目を確認できます。

難易度の違い:公式の数字で確認できること

試験の難しさを、合格率だけで比べることはできません。2つの試験の合格の数え方が違うためです。

項目社会保険労務士試験(令和7年・第57回)税理士試験(令和7年度・第75回)
受験者数43,421人36,320人
合格者の数え方試験全体に合格した人5科目に達した人(合格証書の対象)と、一部の科目に合格した人に分かれる
令和7年の結果合格者2,376人(合格率5.5%)5科目到達者527人、一部科目合格者7,320人(合計7,847人)
社労士・税理士試験の結果:社会保険労務士試験 第58回(令和8年)受験者42,510人・合格者3,961人・合格率9.3%(前年5.5%)。税理士試験 第75回(令和7年度)受験者36,320人・5科目到達者527人・一部科目合格者7,320人。最終確認日:2026-10-03。出典:厚生労働省「第58回社会保険労務士試験の合格者発表」、国税庁 令和7年度(第75回)税理士試験 試験結果統計。

国税庁の統計表には、一部科目合格者を含めた「合格者数」と「合格率」の欄もありますが、合格証書が出るのは合格科目が5科目に達した人です(国税庁 税理士試験Q&A 問46)。そのため、その欄の比率を社労士の合格率と並べることはしません。「どちらが難しいか」は、公式資料から判断できないため書きません。令和8年度(第76回)税理士試験の合格発表は令和8年11月27日に行われます(同Q&A問45)。

社労士試験の合格率の推移と合格基準は社労士試験の合格率推移と分析で確認できます。

まとめ

  • 社労士は労働・社会保険の手続と帳簿書類(社労士法2条1項1号〜2号、27条)、税理士は税務の代理・書類作成・相談(税理士法2条1項、52条)で、独占業務の対象が別
  • 社労士の資格だけでは税理士業務は行えず、税理士の資格だけでは社労士の独占業務(1号〜2号)は原則として行えない
  • 社労士法27条ただし書と施行令2条により、税理士が税理士業務に付随して行う場合は例外。何が付随にあたるかは条文から判断できない
  • 社労士法27条違反は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金。税理士法52条違反は2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金
  • 税理士試験は社労士試験の受験資格の一覧に含まれる。社労士の業務に2年以上従事すると、税理士試験(税法に属する科目)の受験資格になる
  • 試験の合格の数え方が違うため、合格率の大小で難易度は比べない

※ 本記事は、e-Gov 法令検索の条文、社会保険労務士試験オフィシャルサイト・国税庁の公表資料(最終確認日 2026-10-03)をもとに、合格ナビが独自に作成しています。法令は改正されることがあります。個別の事案の判断は、社会保険労務士・税理士・弁護士などの専門家に確認してください。

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よくある質問

Q社労士の資格だけで、税理士の仕事ができますか?

できません。税理士法第52条は、税理士または税理士法人でない者が税理士業務を行うことを禁じています。税理士となる資格を定めた第3条は、税理士試験の合格者、科目の全部を免除された者、弁護士、公認会計士を挙げていて、社会保険労務士は含まれていません。社労士法第2条第4項も、他の法律で制限されている事務は社労士の業務に含まれないと定めています。

Q税理士は、社労士に登録しなくても社労士の仕事ができますか?

原則としてできません。社労士法第27条は、社労士または社労士法人でない者が他人の求めに応じ報酬を得て第2条第1項第1号〜第2号の事務を業として行うことを禁じています。例外は、他の法律に別段の定めがある場合と、政令で定める業務に付随して行う場合です。社労士法施行令第2条は、この政令で定める業務に、税理士・税理士法人が行う税理士法第2条第1項の業務を挙げています。何が付随にあたるかは条文からは判断できないため、個別の事案は専門家や所管の窓口に確認してください。

Q税理士試験に合格すると、社労士試験を受けられますか?

社会保険労務士試験オフィシャルサイトの「厚生労働大臣が認めた国家試験」の一覧に、税理士試験が含まれています。一覧には「試験名称等が変更されている場合があります。受験資格に該当するか不明な場合は、あらかじめ試験センターにお問い合わせください」と注記があるため、自分の合格が当てはまるかは試験センターで確認してください。

Q社労士の仕事を2年すると、税理士試験を受けられますか?

税理士試験の税法に属する科目は、税理士法第5条第1項第1号ヘにより、政令で定める法律上資格を有する者の業務に通算2年以上従事した人が受けられます。税理士法施行令第5条は、この資格を有する者に社会保険労務士を挙げています。従事したことをどう証明するかなどの手続は、国税庁の受験案内で確認してください。

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