社労士

社会保険労務士はやめとけ?独占業務の範囲と開業・勤務の会員数で確認

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

「社会保険労務士はやめとけ」「意味ない」「食えない」は本当か。社労士法2条・27条で独占業務の範囲(1号・2号)と独占ではない相談業務(3号)を確認し、連合会の会員統計(開業・勤務等)、特定社労士、第58回までの合格者数の推移を一次資料だけで整理します。

目次
  1. 社労士の独占業務はどこまでか(社労士法2条・27条)
  2. 「意味ない」と言われる理由:相談・指導(3号業務)は独占ではない
  3. 開業と勤務の内訳:連合会の会員統計で見る
  4. 特定社労士は意味ない?紛争解決手続代理業務の範囲
  5. 「悲惨」「無理ゲー」?合格者数と合格率の推移
  6. 「無理ゲー」「暗記ゲー」を出題の構造で確かめる(出題数・配点・基準点)
  7. 「受かる気がしない」「受かる人と落ちる人」:公式データで言えること・言えないこと
  8. 「諦めた」と言う前に:科目合格はなく、再受験は全科目になる
  9. 「独学は無理」?公式資料で確認できること・できないこと
  10. 「仕事がない」「引く手あまた」「人生が変わる」「向いている人」:条文と統計で言えること
  11. 社労士に向いている人は?仕事の中身と試験の条件から確かめる
  12. 社労士がやってはいけないこと(社労士法の禁止規定と罰則)
  13. 「食えない」「オワコン」について一次資料で言えること・言えないこと
  14. まとめ
結論:社会保険労務士(社労士)には、社労士法第27条で守られた独占業務があります。ただし独占なのは、労働・社会保険の申請書や帳簿書類の作成、提出代行、事務代理などの第2条第1項第1号〜第2号で、労務管理の相談・指導(第3号)は独占ではありません。「やめとけ」「意味ない」を一次資料で確かめると、論点はこの線引きと、合格率が直近10年で5〜9%台という試験の難しさの2つです。一方、全国社会保険労務士会連合会の統計では、令和7年度に開業・法人の社員・勤務等のいずれの会員も増えています。

「社会保険労務士 やめとけ」について、この記事では社労士法の条文、全国社会保険労務士会連合会の事業報告、社会保険労務士試験オフィシャルサイトの発表資料だけを使います。年収・所得・求人の数字は、これらの資料に記載がないため(2026-10-04 時点)扱いません。「知恵袋」などの個人の書き込みは、投稿者の状況も試験年度も確かめられないため、根拠としては使いません。

よく言われること一次資料で確認できること
「独占業務がない」ある。書類の作成・提出代行・事務代理・帳簿書類の作成は、社労士以外が報酬を得て業として行えない(社労士法27条)
「意味ない」相談・指導(2条1項3号)は独占ではないので、誰でも行える分野と重なる
「勤務社労士は意味ない」勤務社労士は法律上の登録区分(14条の2第3項)。連合会の個人会員の37.5%が「勤務等」
「特定社労士は意味ない」紛争解決手続の代理は特定社労士だけができる(2条2項)。ただし価額120万円超のADRは弁護士との共同受任が条件
「悲惨」「無理ゲー」合格率は直近10年で5.3%〜9.3%(第58回は9.3%)。選択式と択一式の両方で、総得点と全科目の基準点が必要
「暗記ゲー」試験科目は社労士法9条が定める労働・社会保険の法令。数字や制度の知識を問う試験であることは科目構成から言えるが、暗記だけで足りるかは公的資料では確認できない
「受かる気がしない」「諦めた」科目合格の制度はなく、免除は別表第二の資格者だけ(11条)。不合格後は全科目を受け直す
「独学は無理」独学・通学別の合格者割合は、公式資料に載っていない
「仕事がない」「引く手あまた」仕事量や求人の公的統計は確認できないため判断しない。独占業務の範囲は条文で確認できる
「食えない」年収・所得の公的統計は確認できないため、この記事では判断しない

条文の出典は e-Gov 法令検索です(2026-10-04 時点の現行条文。2026年10月1日施行の改正を反映した版で、2条1項1号の4が引用する条文番号が労働施策総合推進法37条1項・均等法24条1項に変わっています)。

合格ナビの社労士の論点別問題358問(すべて当サイトのオリジナル問題)のうち、社労士法の業務区分を扱う問題は2問、特定社労士のあっせん代理を扱う問題は1問です(2026-10-02 集計。本試験の出題数ではなく、当サイトの問題数です)。

社労士の独占業務はどこまでか(社労士法2条・27条)

社労士法第2条第1項は、社労士の業務を次のように並べています(e-Gov 法令検索 社会保険労務士法)。

号業務(条文の要約)社労士以外が報酬を得て業として行えるか
1号労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成できない(27条)
1号の2申請書等の提出に関する手続の代行できない(27条)
1号の3申請等や行政機関の調査・処分に関する主張・陳述の代理(事務代理)できない(27条)
1号の4〜1号の6個別労働関係紛争のあっせん・調停・ADRの代理(紛争解決手続代理業務)できない(27条)。社労士の中でも特定社会保険労務士だけ(2条2項)
2号労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成できない(27条)
3号労務管理・社会保険に関する相談・指導(法令や就業規則などの遵守状況の監査を含む)27条の対象外

第27条の原文は次のとおりです。

「社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務を業として行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限りでない。」(社会保険労務士法第27条)

違反した場合は「一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金」です(第32条の2第1項第6号)。ポイントは「他人の求めに応じ報酬を得て」「業として」という条件と、ただし書の例外です。

このほか、裁判所で弁護士である代理人とともに補佐人として出頭し陳述すること(第2条の2)も社労士の業務として定められています。

独占業務の線引きを問題で確認する(論点別問題):

「意味ない」と言われる理由:相談・指導(3号業務)は独占ではない

「社労士は意味ない」という意見の根っこは、第3号の相談・指導が独占業務ではない点にあります。第2条第1項第3号の原文は次のとおりです。

「事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること(これらの事項に係る法令並びに労働協約、就業規則及び労働契約の遵守の状況を監査することを含む。)。」(社会保険労務士法第2条第1項第3号)

第27条が社労士以外に禁じているのは「第一号から第二号まで」なので、第3号は含まれません。人事・労務の相談やコンサルティングは、社労士でなくても行える分野と重なります。

一方で、第1号〜第2号の手続・書類の業務は、社労士以外が報酬を得て業として行えません。「意味ない」かどうかは、どの号の業務を仕事にするかで変わります。

こういう仕事をしたい社労士資格との関係(条文から)
企業から依頼を受けて、社会保険・労働保険の手続書類を作り、提出を代行する1号・1号の2。社労士でなければ報酬を得て業として行えない
賃金台帳などの帳簿書類の作成を請け負う2号。同上
人事制度や労務管理の相談に乗る3号。独占ではない
労働紛争のあっせん・調停で当事者を代理する1号の4〜1号の6。特定社労士だけ

業務区分を問題で確認する(論点別問題):

開業と勤務の内訳:連合会の会員統計で見る

「勤務社労士は意味ない」という検索もあります。まず、勤務社労士は法律上の登録区分です。社労士法第14条の2第3項は、「事業所(…)に勤務し、第二条に規定する事務に従事する社会保険労務士」を「勤務社会保険労務士」と定め、勤務先の事業所の名称・所在地などの登録を求めています。また第16条の2は勤務社労士に事務の適正な処理に努める責務を、第16条の3第2項は事業主に研修の受講機会を与えるよう努める義務を定めています。

全国社会保険労務士会連合会の令和7年度事業報告書による、都道府県会所属の個人会員数は次のとおりです(全国社会保険労務士会連合会「令和7年度事業報告書」(PDF))。

会員区分令和7年3月31日現在令和8年3月31日現在増減構成比(令和8年)
開業24,81925,136+31753.3%
法人の社員4,1274,362+2359.2%
勤務等17,29117,667+37637.5%
計46,23747,165+928100%

構成比は当サイトの計算(各区分÷47,165)です。法人会員(社会保険労務士法人)は3,103から3,301に増えています(同報告書)。

社労士の会員数:令和8年3月31日現在 個人会員47,165人(開業25,136・法人の社員4,362・勤務等17,667)、法人会員3,301。最終確認日:2026-10-04。出典:全国社会保険労務士会連合会 令和7年度事業報告書。

この統計から言えるのは、社労士の約4割弱が「勤務等」の区分で会員になっており、令和7年度はどの区分も前年より増えたということです。「勤務等」には勤務社労士以外の区分が含まれる可能性があるため、この記事では統計の表記のまま「勤務等」と書いています。

より新しい数字として、第58回試験の合格者発表には「令和8年8月31日現在、社会保険労務士登録者数は、47,407人です。」と書かれています(厚生労働省「第58回社会保険労務士試験の合格者発表」)。こちらは登録者数で、上の表は連合会の会員数です。

登録者数と会員数の推移・都道府県別は、社労士は何人いる?登録者47,407人と会員数の推移・都道府県別を連合会の資料で確認でも確認できます。

1号・2号業務の対象になる労働・社会保険の法令を、科目別の問題で確認する:

特定社労士は意味ない?紛争解決手続代理業務の範囲

特定社会保険労務士は、紛争解決手続代理業務を行える社労士です。社労士法第2条第2項は「前項第一号の四から第一号の六までに掲げる業務(以下「紛争解決手続代理業務」という。)は、紛争解決手続代理業務試験に合格し、かつ、…付記を受けた社会保険労務士(以下「特定社会保険労務士」という。)に限り、行うことができる」と定めています。

手続根拠範囲の条件
紛争調整委員会のあっせん、障害者雇用促進法・均等法・育児介護休業法などに基づく調停の代理2条1項1号の4—
都道府県労働委員会のあっせんの代理2条1項1号の5—
厚生労働大臣が指定する団体が行う民間紛争解決手続(ADR)の代理2条1項1号の6紛争の目的の価額が120万円を超える場合は、弁護士が同一の依頼者から受任しているものに限る

特定社労士が代理できるのは、この表の手続に限られます。第2条に訴訟の代理は挙げられておらず、裁判所での関与は弁護士である代理人とともに補佐人として出頭・陳述すること(第2条の2)です。「特定社労士は意味ない」かどうかは、この範囲の手続に関わる仕事をするかどうかで変わります。紛争解決手続代理業務試験から付記を受けるまでの流れは特定社労士とはで詳しく解説しています。

特定社会保険労務士:令和7年度末(令和8年3月31日現在)の特定社会保険労務士数14,500人。第21回紛争解決手続代理業務試験は受験者1,041人・合格者526人・合格率50.5%。最終確認日:2026-10-04。出典:全国社会保険労務士会連合会 令和7年度事業報告書。

紛争解決手続と特定社労士を問題で確認する(論点別問題):

「悲惨」「無理ゲー」?合格者数と合格率の推移

社会保険労務士試験の受験者数と合格者数は、社会保険労務士試験オフィシャルサイトの発表資料で次のとおりです。

試験年受験者数合格者数合格率
平成29年38,6852,6136.8%
平成30年38,4272,4136.3%
令和元年38,4282,5256.6%
令和2年34,8452,2376.4%
令和3年37,3062,9377.9%
令和4年40,6332,1345.3%
令和5年42,7412,7206.4%
令和6年43,1742,9746.9%
令和7年(第57回)43,4212,3765.5%
令和8年(第58回)42,5103,9619.3%

出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイト「過去10年の推移と合格者の年齢階層別・職業別・男女別割合」。令和7年・令和8年の合格率は厚生労働省の合格者発表(令和8年10月1日)の公表値で、それ以外の年は当サイトが合格者数÷受験者数で計算した値です。

社労士試験の合格率:第58回(令和8年8月23日実施)受験者数42,510人・合格者数3,961人・合格率9.3%(前年5.5%)。最終確認日:2026-10-04。出典:厚生労働省「第58回社会保険労務士試験の合格者発表」。

10年間の合格率は5.3%〜9.3%で、毎年9割以上の受験者が不合格になっています。「無理ゲー」かどうかは人によりますが、数字の上では合格者が受験者の1割に届かない試験が続いています。

同じ資料によると、第58回の合格者の職業は会社員が61.9%で最も多く、次いで無職11.1%、公務員8.0%でした。合格率が年によって動く要因の分析は社労士試験の合格率推移と分析で扱っています。

試験科目ごとの問題で実力を確かめる:

「無理ゲー」「暗記ゲー」を出題の構造で確かめる(出題数・配点・基準点)

「無理ゲー」と言われる背景には、合格率の低さに加えて、合格の条件が二重になっている点があります。第58回(令和8年度)の出題と合格基準を、受験案内と厚生労働省の「合格基準及び正答」で確認すると次のとおりです。

形式問題数と配点試験時間第58回の合格基準
選択式8問(各問に空欄A〜Eの5つ・空欄1つが1点)、1科目5点満点、計40点80分総得点25点以上かつ各科目3点以上(雇用保険法は2点以上)
択一式70問(1問1点)、1科目10点満点、計70点210分総得点47点以上かつ各科目4点以上
合計78問・110点290分選択式・択一式のどちらかが基準に届かなければ不合格

科目の構成は、選択式が8科目(労働基準法及び労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、雇用保険法、労務管理その他の労働に関する一般常識、社会保険に関する一般常識、健康保険法、厚生年金保険法、国民年金法)、択一式が7科目(労務管理その他の労働に関する一般常識と社会保険に関する一般常識を1科目として扱う)です。労働保険の保険料の徴収等に関する法律は、選択式では出題されず、択一式の労働者災害補償保険法と雇用保険法の各10問のうち問8〜問10(計6問)で出題されます(受験案内の試験科目表)。

社労士試験の出題と基準点:第58回は選択式8問(40点)・択一式70問(70点)、選択式の合格基準は総得点25点以上かつ各科目3点以上(雇用保険法は2点以上)、択一式は総得点47点以上かつ各科目4点以上。基準は「昨年度試験の合格基準を補正したもの」と明記されている。最終確認日:2026-10-04。出典:厚生労働省「第58回社会保険労務士試験の合格基準及び正答」・第58回受験案内。

試験時間を問題数で割ると、択一式は1問あたり3.0分(210分÷70問)、選択式は1問あたり10分(80分÷8問)です(当サイトの計算)。この試験は、合計点が高くても1科目が基準点に届かなければ不合格になります。「暗記ゲー」かどうかについて、公的な資料に答えはありません。確認できるのは、試験科目が社労士法第9条の定める労働・社会保険の法令であること、適用する法令が受験案内で示された基準日(第58回は令和8年4月10日)現在施行のものと決まっていること(受験案内)までです。

全科目の基準点を意識した対策は、科目別に確かめるのが近道です。

「受かる気がしない」「受かる人と落ちる人」:公式データで言えること・言えないこと

第58回の申込から合格までの人数は、厚生労働省の合格者発表で次のとおりです。

区分人数割合
受験申込者52,842人—
受験者42,510人申込者の80.4%(公表値)
合格者3,961人受験者の9.3%(公表値)・申込者の7.5%(当サイト計算)

申込者のうち10,332人(19.6%)は受験していません(52,842−42,510。当サイトの計算)。合格率9.3%は受験者を分母にした値です。

「受かる人と落ちる人の違い」を公式データで言えるかというと、言えません。公表されているのは合格者の構成(職業別は会社員61.9%・無職11.1%・公務員8.0%・学生0.9%など、男女別は男性58.7%・女性41.3%)で、受験者全体の構成や不合格者の属性は載っていないためです。合格者の割合を受験者の合格率と読み替えることはできません。

制度の側で言えるのは、前の節のとおり合格が「総得点」と「全科目の基準点」の両方で決まることです。科目ごとの基準点が年によって補正された実績は社労士試験の救済(合格基準の補正)とはで、一般常識科目の基準点の扱いは社労士 一般常識対策で確認できます。

「諦めた」と言う前に:科目合格はなく、再受験は全科目になる

社労士試験に、科目ごとに合格を持ち越す制度はありません。社労士法第11条は、別表第二の中欄の試験科目について、下欄に掲げる者(国または地方公共団体の公務員として労働・社会保険の法令の施行事務に一定の期間従事した者など)の申請があったときに試験を免除する、と定めています(e-Gov 法令検索 社会保険労務士法、2026-10-04 時点の現行条文)。免除の対象でない受験者は、不合格だった場合、次の回に選択式・択一式の全科目を受けます。

再受験の手続について、第58回の受験案内には次の記載があります。

  • 「受験票は第59回~第61回社会保険労務士試験の受験資格証明書として使用できますので、再受験される方は大切に保管してください」
  • 成績(結果)通知書も「第59回~第61回社会保険労務士試験の受験資格証明書として使用できます」
社労士試験の受験手数料:第58回は15,000円(非課税)。払込みに係る手数料は別で、インターネット申込みは418円、郵送申込みは203円。申込期間は令和8年4月13日〜5月31日、試験日は令和8年8月23日。最終確認日:2026-10-04。出典:第58回 受験案内。

次回(第59回)の手数料・日程は、次回の受験案内で確認してください。実務経験で受験資格を満たす人が、再受験で何を準備するかは社労士になるにはにまとめています。

「独学は無理」?公式資料で確認できること・できないこと

独学で合格した人の割合や、通学・通信講座との比較は、受験案内・合格者発表・10年の推移・合格基準の資料のどれにも載っていません。そのため「独学は無理」とも「独学で足りる」とも、公的な資料からは言えません。

確認できるのは、独学かどうかに関係なく決まっている条件です。

  • 試験の範囲は社労士法第9条の科目(労働基準法・労働安全衛生法、労災保険法、雇用保険法、徴収法、健康保険法、厚生年金保険法、国民年金法、一般常識)
  • 適用する法令は、受験案内で示された基準日現在施行のもの(第58回は令和8年4月10日)
  • 合格には全科目の基準点が必要

学習量の目安として、合格ナビの社労士の論点別問題358問の内訳を示します(2026-10-02 集計。すべて当サイトのオリジナル問題で、本試験の出題数ではありません)。

科目当サイトの問題数
労働基準法32
労働安全衛生法20
労働者災害補償保険法32
雇用保険法31
労働保険徴収法21
健康保険法50
厚生年金保険法55
国民年金法60
社会保険に関する一般常識29
労務管理その他の労働に関する一般常識28

勉強時間の組み方は社労士 一発合格を目指す独学の学習計画、短期間の組み方は社労士を6ヶ月で合格する短期集中プランで扱っています。合格までの期間の考え方は社労士は何年かかる、合格者の年齢構成は社労士の合格年齢で確認できます。

「仕事がない」「引く手あまた」「人生が変わる」「向いている人」:条文と統計で言えること

仕事がない・引く手あまた。 社労士の仕事量や求人の公的な統計は、この記事の出典にないため、「仕事がある」「ない」のどちらも判断しません。条文で言えるのは、第1号〜第2号の業務(申請書類の作成・提出代行・事務代理・帳簿書類の作成)を、社労士でない者が報酬を得て業として行えないことです(第27条)。合格者発表にある登録者数47,407人(令和8年8月31日現在)は登録している人の数で、仕事の量を示す数字ではありません。

役に立たない・需要がない。 資格が役に立つか、需要があるかを測る公的な統計は、この記事の出典にありません。条文で言えるのは、次の関係です。労働基準法89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に、就業規則の作成と行政官庁への届出を義務づけています。厚生年金保険法27条は、適用事業所の事業主に、被保険者の資格の取得・喪失や報酬月額・賞与額を厚生労働大臣に届け出ることを義務づけています(e-Gov 法令検索の現行条文、2026-10-04 時点)。これらの法律は、社労士法の別表第一に掲げられています(労働基準法は一号、厚生年金保険法は二十四号)。その法律に基づく申請書等の作成や提出手続の代行を、他人の求めに応じ報酬を得て業として行えるのは、社労士・社労士法人に限られます(第2条第1項第1号・1号の2、第27条)。第27条が社労士以外に禁じているのは「他人の求めに応じ報酬を得て」業として行うことで、届出の義務そのものは事業主にあります。つまり、この資格が役に立つ場面は、手続きを有償で請け負う、相談に応じる、勤務先の事務で使う、という使い方によって変わります。全国社会保険労務士会連合会の会員数(開業・法人の社員・勤務等)は、前の「開業と勤務の内訳」の節にあるとおりで、求人数ではなく会員の人数です。

人生が変わる。 制度の上で変わるのは次の点です。試験に合格しても、そのまま社労士にはなれません。労働社会保険諸法令の事務に通算2年以上従事した等の要件(第3条)を満たし、名簿に登録されると、社会保険労務士の名称を使えるようになります(登録がない者の名称使用は第26条で禁止)。登録後の収入や働き方の変化は、公的な統計がないため書きません。登録までの流れは社労士になるにはに整理しています。

向いている人。 性格や適性を断定する公的な資料はこの記事では使わず、診断のような断定もしません。代わりに、法律が社労士に求めていることを条文で並べます。これを守れるかどうかが、制度の側から見た「向き不向き」の確認点です。仕事の中身と試験の条件は、次の「社労士に向いている人は?」の節で整理しています。

求められること条文
不正に保険給付を受けることなどについて、指示や相談をしてはならない第15条
社会保険労務士の信用または品位を害する行為をしてはならない第16条
研修を受け、資質の向上を図るように努める第16条の3第1項
開業社労士・社員は、業務で知り得た秘密を正当な理由なく漏らし、盗用してはならない(業務をやめた後も同じ)第21条
未成年者、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者などは、社労士となる資格を有しない(欠格事由)第5条

出典:e-Gov 法令検索 社会保険労務士法(2026-10-04 時点の現行条文)。欠格事由は第5条に複数の号があり、上の表は一部です。

業務のしくみを問題で確認する(論点別問題):

社労士に向いている人は?仕事の中身と試験の条件から確かめる

「社労士に向いている人」「社労士に向いてる人」について、性格や適性を断定する公的な資料は、この記事の出典にありません。そのため、この記事では「向いている性格」は書きません。代わりに、法令と公式資料から、仕事と試験が何を求めているかを並べます。自分の状況と照らして確かめる材料にしてください。

確認する点法令・公式資料で言えること
仕事は何でできているか第2条第1項の事務は、申請書等の作成(1号)、提出手続の代行(1号の2)、事務代理(1号の3)、帳簿書類の作成(2号)、相談・指導(3号)など。対象は別表第一に掲げる労働・社会保険の法令に基づく事務です
試験は何を問うか試験科目は第9条が定める労働・社会保険の法令です。適用する法令は、受験案内が示す基準日(第58回は令和8年4月10日)現在施行のものです
合格の条件選択式と択一式のそれぞれで、総得点と各科目の基準点の両方に達すること(上の「出題数・配点・基準点」の節)
受験できる人第8条の各号に年齢の条件は定められていません。受験資格は学歴・実務経験・試験合格などのいずれか1つに該当すれば満たします(第58回 受験案内)
社労士になるまで合格に加えて、労働社会保険諸法令に関する事務への従事が通算2年以上(または同等以上の経験)。そのうえで名簿に登録(第3条・第14条の2第1項)
登録後に守ること不正行為の指示等の禁止(第15条)、信用失墜行為の禁止(第16条)、研修への努力義務(第16条の3)、秘密を守る義務(第21条・開業社労士など)

この表から言えるのは、仕事も試験も、労働・社会保険の法令の条文を正確に読み、ルールに沿って書類や相談に当てはめる作業が中心だということです(条文の構成からの当サイトの整理で、特定の性格を求める規定ではありません)。年齢や学歴で入口が閉じているわけではなく、条件は受験資格・実務経験・登録の3段階に分かれています。

仕事と試験の土台になる条文の論点は、問題で確認できます。

登録後の働き方(開業・勤務など)の違いと登録の費用は社労士の勤務・開業の登録に、仕事の内容そのものは社労士の仕事内容にまとめています。

社労士がやってはいけないこと(社労士法の禁止規定と罰則)

よく検索される「社労士がやってはいけないことは何ですか?」の答えは、社労士法の第3章(社会保険労務士の権利及び義務)などに書かれています。主なものを条文の順に並べます。

禁止・義務条文違反したときの罰則
不正な保険給付の受給や保険料の免脱など、法令違反行為について指示・相談などをすること15条3年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金(32条)
社会保険労務士の信用・品位を害する行為16条第6章(罰則)に対応する条文なし
開業社労士・法人の社員が、業務で知った秘密を正当な理由なく漏らし、盗用すること21条1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(32条の2第1項2号・告訴が必要)
社労士でない者が「社会保険労務士」「社労士」などの名称を使うこと26条1項100万円以下の罰金(33条3号)
社労士でない者が、他人の求めに応じ報酬を得て1号〜2号の事務を業として行うこと27条1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(32条の2第1項6号)

罰則は、2026-10-04 時点の現行条文の「拘禁刑」の表記で書いています。

業務の制限(27条)と業務範囲を問題で確認する(論点別問題):

「食えない」「オワコン」について一次資料で言えること・言えないこと

「社労士 食えない」「社会保険労務士はオワコンになる?」という検索に、年収や将来の需要の数字で答えることはできません。社労士の所得や仕事量を示す公的な統計が、この記事の出典にないためです。

一次資料で言えるのは次の点です。

  • 現行の第2条第1項第3号は、相談・指導に「法令並びに労働協約、就業規則及び労働契約の遵守の状況を監査することを含む」と明記している
  • 連合会の令和7年度事業報告書には「社労士による労務監査業務の推進に関する事業」が事業の一つとして挙げられている
  • 令和7年度の1年間で、開業会員は317人、法人の社員は235人、勤務等は376人増えた(いずれも連合会の統計)
  • 試験に合格した人が社労士になるには、通算2年以上の実務経験(または同等以上と認められる経験)と、名簿への登録が必要(3条・14条の2)。合格者発表には、厚生労働大臣が指定した講習を修了した者も登録できると書かれている

「やめとけ」かどうかは、1号・2号の手続業務を仕事にするのか、3号の相談業務が中心なのか、勤務として使うのか、という使い方によって答えが変わります。

まとめ

  • 社労士の独占業務は、社労士法2条1項1号〜2号の書類作成・提出代行・事務代理・紛争代理・帳簿書類の作成(27条)
  • 相談・指導(3号)は独占ではない。「意味ない」と言われる主な理由はここ
  • 紛争解決手続の代理は特定社労士だけ(2条2項)。令和8年3月31日現在の特定社労士は14,500人
  • 令和8年3月31日現在の個人会員は47,165人(開業53.3%・法人の社員9.2%・勤務等37.5%)で、令和7年度はどの区分も増えた
  • 合格率は直近10年で5.3%〜9.3%。第58回(2026年)は9.3%
  • 試験は選択式8問(40点)と択一式70問(70点)で、それぞれ総得点と全科目の基準点の両方が必要
  • 科目合格の制度はなく、免除は別表第二の資格者だけ(11条)。受験票・成績通知書は次の3回分の受験資格証明書として使える(第58回受験案内)
  • 独学の可否、受験者の構成、仕事量について、公的な統計は確認できない
  • 年収・所得については公的な一次資料が確認できないため、この記事では判断していない

よくある質問

Q社労士試験に合格すれば、すぐに社労士を名乗れますか?

名乗れません。社労士法第3条は、試験合格者のうち労働社会保険諸法令に関する事務に通算2年以上従事した人(または厚生労働大臣が同等以上の経験を認めた人)を「社会保険労務士となる資格を有する」者とし、第14条の2で社会保険労務士名簿への登録を受けて初めて社会保険労務士になると定めています。登録していない人が社会保険労務士や社労士などの名称を使うことは第26条で禁じられています。

Q会社に勤めながら社労士として登録できますか?

できます。社労士法第14条の2第3項は、事業所に勤務して第2条の事務に従事する社会保険労務士を「勤務社会保険労務士」と定め、勤務先の事業所の名称・所在地などを登録するよう求めています。全国社会保険労務士会連合会の統計では、令和8年3月31日現在の個人会員47,165人のうち「勤務等」は17,667人です。

Q特定社会保険労務士になるには何が必要ですか?

社労士法第13条の3により、紛争解決手続代理業務に必要な学識と実務能力に関する研修(厚生労働省令で定めるもの)を修了した社労士が紛争解決手続代理業務試験を受け、合格して付記を受けると特定社会保険労務士になります(第2条第2項)。連合会の事業報告では、第21回試験の受験者は1,041人、合格者は526人でした。

Q労務管理の相談やコンサルティングは社労士の独占業務ですか?

独占業務ではありません。社労士法第27条が社労士以外の者に禁じているのは、他人の求めに応じ報酬を得て第2条第1項第1号から第2号までの事務(書類の作成・提出代行・事務代理・紛争解決手続の代理・帳簿書類の作成)を業として行うことで、第3号の相談・指導は含まれていません。

Q社労士試験に科目合格はありますか?不合格だったら全科目を受け直しますか?

科目合格の制度は、社労士法には定められていません。科目の免除は第11条により、別表第二に掲げる免除資格者(一定年数以上の公務員経験者など)が申請した場合に限られます。そのため、免除の対象でない受験者は、不合格のときは次の回に選択式・択一式の全科目を受けます。受験案内には、受験票と成績(結果)通知書が次の3回分(第58回なら第59回〜第61回)の受験資格証明書として使えると書かれています。

Q社労士試験は何がそろえば合格ですか?

選択式と択一式のそれぞれで、総得点と各科目の基準点の両方に達する必要があります。第58回の基準は、選択式が総得点25点以上かつ各科目3点以上(雇用保険法は2点以上)、択一式が総得点47点以上かつ各科目4点以上でした(厚生労働省「合格基準及び正答」)。基準点は毎年の結果を見て補正されるため、年によって変わります。

Q社会保険労務士は役に立たない資格ですか?

役に立つかどうかを測る公的な統計は、この記事の出典にはなく、年収や就職に関する数字は扱いません。条文で言えるのは、次の点です。労働基準法89条や厚生年金保険法27条のように、法律が事業主に届出を義務づけている手続きがあり、その書類の作成や提出手続の代行を、他人の求めに応じ報酬を得て業として行えるのは社労士・社労士法人だけです(社労士法2条1項1号・1号の2、27条)。一方、労務管理の相談・指導(3号)は独占ではありません。資格を何に使うか(手続きの請負・相談・勤務先での事務)で、役に立つ場面は変わります。

Q社会保険労務士は需要がない、就職先がないと言われるのは本当ですか?

需要や求人の大きさを示す公的な統計は、確認できた資料の中にないため、「ある」「ない」のどちらも断定しません。全国社会保険労務士会連合会の令和7年度事業報告書によると、令和8年3月31日現在の個人会員は47,165人で、開業25,136人・法人の社員4,362人・勤務等17,667人でした。令和7年度は3つの区分とも増え、会員全体で928人増えています(入会2,315人・抹消1,387人)。これは会員の人数で、求人の数ではありません。

この資格の問題を解く社労士 科目別問題集
解いてみる

法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月4日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

合格ナビ 編集長・運営者

社労士の出題範囲・法令・公式の統計を参照して書いています。プロフィール・編集方針