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社労士の開業・独立の手続登録区分・費用・副業・自宅の扱いを条文で整理

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

社労士の開業・独立に必要な登録(社労士法14条の2第2項)、勤務社労士との違い、連合会が公表する登録費用、開業後に条文が課す義務、会社員の副業や自宅・リモートでの事務所の扱いを、収入の話は扱わず、条文と公式ページだけで整理します。

目次
  1. 社労士の「開業」は登録区分のひとつ:開業・勤務・その他
  2. 開業するための前提:資格と、登録が拒否される場合
  3. 開業登録の費用:連合会の公表額と、県ごとに違う費用
  4. 開業登録の流れ:申請先は都道府県社労士会
  5. 開業後に条文が課すこと:事務所・帳簿・依頼・秘密
  6. 勤務社労士として働く場合:登録と、勤務先への決まり
  7. 会社員のまま副業・兼業で社労士業をするとき
  8. 個人事業主・フリーランス・自宅・リモートワークの位置づけ
  9. 開業前に確認すること:チェックリスト
  10. まとめ
結論:社労士の「開業」は、社労士名簿の登録区分のひとつです。他人の求めに応じ報酬を得て、社労士法第2条の事務を業として行おうとする人は、事務所を定めて、あらかじめ名簿に登録を受けます(第14条の2第2項)。登録には資格(試験合格などと、事務の従事2年以上または事務指定講習の修了)が要り、連合会の案内する登録の費用は登録免許税30,000円と手数料30,000円です。会社員のまま副業で行うときは、社労士法の登録と、勤務先の就業規則の両方を確認します。

「社労士 開業」「社労士 独立」で調べると、収入や成功談の話が多く出てきます。この記事はそこには触れません。社会保険労務士法・同施行規則(e-Gov 法令検索)、全国社会保険労務士会連合会(連合会)の登録案内、厚生労働省の副業・兼業のガイドライン、国税庁の案内だけで、開業するために何を登録し、何に費用がかかり、開業後に条文が何を求めるのかを整理します。条文の出典は e-Gov 法令検索です(2026-10-04 時点の現行条文):社会保険労務士法、社会保険労務士法施行規則。

当サイトの社会保険に関する一般常識(社一)には、社労士法の登録・業務区分を扱う自作問題が2問あります(2026-10-04 集計)。

社労士の「開業」は登録区分のひとつ:開業・勤務・その他

社労士になるには、資格を満たしたうえで名簿の登録を受けます(第14条の2第1項)。登録のしかたは、働き方によって次のように分かれます。入会する都道府県社会保険労務士会も区分で決まります(第25条の29第1項、連合会の会員種別表)。

区分条文入会する都道府県条文上の要点
開業第14条の2第2項事務所の所在地他人の求めに応じ報酬を得て、第2条の事務を業として行おうとする社労士。事務所を定め、あらかじめ事務所の名称・所在地なども登録する
勤務第14条の2第3項勤務先事業所の所在地事業所(社労士事務所・社労士法人の事務所を含む)に勤務し、第2条の事務に従事する社労士。事業所の名称・所在地なども登録する
その他第14条の2第1項のみ住所地連合会の案内では「その他」。開業にも勤務にも当たらない登録
社労士法人の社員第14条の2第2項(法人の社員となろうとする者を含む)登録した法人の事務所の所在地事務所は法人の事務所を定める。連合会の案内では登録の新規申請の対象外

条文の言葉でいう「勤務社会保険労務士」は、事業所に勤務して第2条の事務に従事する人です。会社員として働いていても、勤務先で第2条の事務に従事していない場合に自分がどの区分に当たるかは、条文だけでは決められません。入会予定の都道府県社会保険労務士会に確認します。

区分ごとの会員数の推移は社労士は何人いる?に、受験から登録までの全体の流れは社労士になるにはにまとめています。各号の業務の中身は社労士の仕事内容で扱います。

最初の1問として使える問題(論点別問題):

開業するための前提:資格と、登録が拒否される場合

開業にも、まず社労士となる資格が要ります。社労士法第3条第1項は、試験に合格した者などで、労働社会保険諸法令に関する厚生労働省令で定める事務の従事期間が通算2年以上になるもの、または厚生労働大臣がこれと同等以上の経験を有すると認めるものを、資格を有する者としています。連合会は、実務経験が2年に満たない場合は、連合会の事務指定講習の修了が同等以上の経験と認められると案内しています(連合会 登録申請について)。

登録を申し込むと、連合会は、申請者が資格を有し、登録拒否の事由に当たらないと認めたときに、遅滞なく名簿に登録します(第14条の6第1項)。登録拒否の事由は第14条の7に列挙されています。拒否されたときは理由を付した書面で通知され(第14条の6第3項)、不服があれば厚生労働大臣に審査請求ができます(第14条の8)。

開業の登録は「あらかじめ」と条文に書かれています。登録を受けないまま、他人の求めに応じ報酬を得て第2条第1項第1号から第2号までの事務を業として行うと、第27条違反です。違反には一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金が定められています(第32条の2第1項第6号)。合格や資格だけでは社労士と名乗れないことも含め、登録前にできないことは社労士合格証とは?で整理しています。

開業登録の費用:連合会の公表額と、県ごとに違う費用

連合会が公表している登録の費用は、申請が紙でもオンラインでも、登録免許税30,000円と手数料30,000円です。オンライン申請の場合は、登録免許税に別途決済手数料がかかります。

登録の費用:登録免許税30,000円、手数料30,000円(オンライン申請・紙申請とも。オンライン申請では別途決済手数料)。都道府県社会保険労務士会の入会金・年会費は含まれず、県ごとに異なる。最終確認日:2026-10-04。出典:全国社会保険労務士会連合会 社労士の登録申請について(オンライン申請)、同(紙申請)。

連合会のQ&Aは、入会金・年会費について「都道府県社会保険労務士会ごとに手続や金額、納付方法等に若干の相違があります」と案内し、入会予定の社労士会に事前に問い合わせるよう求めています(出典:連合会 社労士の登録申請Q&A)。事務所の準備にかかる費用は、条文にも連合会の案内にも金額の定めがないため、この記事では扱いません。

開業登録の流れ:申請先は都道府県社労士会

手続の細かい操作は変わることがあるため、ここでは流れと確認先だけを書きます。

順内容根拠・確認先
①入会予定の都道府県社会保険労務士会に登録の申請書を出す(連合会では直接手続できない)第14条の5・連合会の案内
②連合会が名簿に登録し、社労士証票を交付する第14条の3・第14条の6
③連合会が登録を官報で公告する第14条の11
④登録した事項(事務所の所在地など)が変わったら変更の登録を申請する第14条の4

連合会の案内では、登録の新規申請は令和7年7月15日からマイナポータルを使ったオンライン申請も始まり、マイナンバーの提供が必須です。オンライン申請でも入会手続はできないため、入会予定の都道府県社会保険労務士会への入会手続を併せて行うよう案内されています。毎月の受付締切日も県ごとに違います。社労士になる全体の手順は社労士になるには、証票と官報公告の位置づけは社労士合格証とは?で扱っています。

開業後に条文が課すこと:事務所・帳簿・依頼・秘密

開業した社労士には、社労士法が次のような決まりを置いています。条文の主語は「開業社会保険労務士」で、勤務社労士や「その他」の登録には当てはまらない決まりです。

決まり内容条文
事務所業務を行うための事務所を二以上設けてはならない。ただし、特に必要がある場合に厚生労働大臣の許可を受けたときは別第18条第1項
帳簿事件の名称、依頼を受けた年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所・氏名などを帳簿に記載し、帳簿閉鎖の時から二年間保存する第19条
依頼に応ずる義務正当な理由がある場合でなければ、依頼(紛争解決手続代理業務に関するものを除く)を拒んではならない第20条
秘密を守る義務正当な理由がなくて、業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。開業社労士や社労士法人の社員でなくなった後も同様第21条

事務所を増やす場合の許可の申請先は、施行規則第14条が定めています。事務所増設許可申請書(様式第九号)を、現に業務を行っている事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出します。社労士全般には、不正行為の指示等の禁止(第15条)と信用失墜行為の禁止(第16条)もあります。

開業の登録を決める前に、自分が受ける仕事が独占業務の範囲かどうかも確認します。第27条が登録なしに行うことを禁じているのは、第2条第1項第1号から第2号までの事務(手続書類の作成・提出代行・帳簿書類の作成など)で、3号の相談・指導は第27条の対象外です。ただし「社労士」と名乗ること自体は第26条が登録のない人に禁じています。

事務条文登録のない人が行うことの扱い
1号〜2号の事務(労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成、提出手続の代行、帳簿書類の作成など)第2条第1項第1号〜第2号他人の求めに応じ報酬を得て業とすることを第27条が禁止(ただし書あり)
3号の事務(労務管理・社会保険の相談・指導)第2条第1項第3号第27条の対象外。ただし名称は第26条が制限

なお、紛争解決手続の代理(第2条第1項第1号の4〜第1号の6)は、特定社会保険労務士に限って行えると第2条第2項に別に定められています。

業務の区分と、独占の線の細かい読み方(施行令第2条の例外など)は社労士の仕事内容に、紛争解決手続の代理ができる特定社労士は特定社会保険労務士とはに書いています。

勤務社労士として働く場合:登録と、勤務先への決まり

社労士が事業所に勤務して第2条の事務に従事する場合は、名簿に勤務先の名称・所在地なども登録します(第14条の2第3項)。勤務先は企業の人事労務部門に限らず、社労士事務所や社労士法人の事務所も、条文の「事業所」に含まれます。入会する都道府県社会保険労務士会は、勤務先事業所の所在地で決まります(第25条の29第1項第2号)。

勤務社労士について条文が置いている決まりは、次の2つです。

  • 勤務社労士は、勤務する事業所において従事する第2条の事務の適正かつ円滑な処理に努めること(第16条の2)
  • 事業主は、社労士会・連合会が行う研修(第16条の3第1項)について、勤務社労士から受講の申出があったときは、事業の運営に支障のない範囲内で受講の機会を与えるよう努めること(同条第2項)

研修を受けて資質の向上を図るよう努める義務そのもの(第16条の3第1項)は、勤務社労士に限らず社労士全般にかかります。

転職して勤務先が変わると、登録した事項に変更が生じます。条文は、遅滞なく変更の登録を申請するよう定めています(第14条の4)。

勤務から開業に区分を変えるときの書類や費用は、条文には書かれていません。県会の案内に載っている例として、滋賀県社会保険労務士会の手続一覧表には「勤務等から開業へ変更」の項目があります。

勤務等から開業へ変更するときの手続の一例:滋賀県社会保険労務士会の案内では、提出書類は変更登録申請書、手数料は2,000円で、入会金の差額・会費の差額を徴収する。他の県会の取扱いは確認しておらず、県会ごとに異なり得る。最終確認日:2026-10-04。出典:滋賀県社会保険労務士会 登録・入会手続き。

会社員のまま副業・兼業で社労士業をするとき

「サラリーマンをしながら」「副業で」の疑問は、社労士法の話と、勤務先のルールの話に分けて考えます。

① 社労士法の面:他人の求めに応じ報酬を得て、第2条の事務を業として行おうとするなら、条文は事務所を定めたうえでのあらかじめの登録を求めています(第14条の2第2項)。勤務社労士の登録(同条第3項)は、事業所に勤務して第2条の事務に従事する人の登録です。自分が受けようとする仕事がどちらに当たるか、いまの登録からどう切り替えるかは、入会している(または入会予定の)都道府県社会保険労務士会に確認してください。

② 勤務先のルール:厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月8日改定版)は、企業の対応について「裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である」とし、労働者の対応については「まず、自身が勤めている企業の副業・兼業に関するルール(労働契約、就業規則等)を確認し、そのルールに照らして、業務内容や就業時間等が適切な副業・兼業を選択する必要がある」としています(出典:厚生労働省 副業・兼業の促進に関するガイドライン)。社労士法の登録をしても、勤務先の就業規則が副業を禁じている場合の扱いまで変わるわけではありません。

厚生労働省の副業・兼業のページには、モデル就業規則(第14章第68条)に副業・兼業の規定があることも案内されています(出典:厚生労働省 副業・兼業)。自社のルールは、就業規則そのものを読んで確認します。

個人事業主・フリーランス・自宅・リモートワークの位置づけ

「個人事業主」「フリーランス」という区分は、社労士法にはありません。 社労士法の区分は、上の表の開業・勤務・その他です。個人で事務所を構えて業を行う人は、社労士法の上では「開業社会保険労務士」にあたり、税法上は事業を始めた個人として扱われます。後者は国税庁の案内に従います。国税庁のタックスアンサーは、事業を開始したときの届出として「個人事業の開廃業等届出書」を挙げ、提出期限等を「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」としています(令和8年4月1日現在法令等)(出典:国税庁 No.2090 新たに事業を始めたときの届出など)。税務の判断は、税務署や税理士に確認してください。

自宅やリモートで開業できるかは、条文の範囲では次のとおりです。

  • 事務所は「定めて」登録します(第14条の2第2項)。事務所は二以上設けられません(第18条第1項)
  • 事務所の広さ・設備・自宅か賃貸かといった要件を定める条項は、社労士法と同施行規則(2026-10-01 施行の現行)には見当たりません
  • 社労士法人の社員は、第2条の事務を業として行うための事務所を設けてはなりません(第18条第2項)。法人として開業する場合は、個人の事務所とは別の制度です(連合会に「社会保険労務士法人の登載について」の案内ページがあります:連合会 社会保険労務士法人の登載について)

自宅を事務所として登録できるか、オンライン中心の運営で事務所をどう定めるかは、入会予定の都道府県社会保険労務士会の取扱いに左右されます。条文だけで決めず、事前に問い合わせてください。

開業前に確認すること:チェックリスト

  • 資格:試験合格+従事2年以上(または事務指定講習の修了など)を満たしているか(第3条)
  • 区分:自分の働き方が、開業・勤務・その他のどれに当たるか(第14条の2)
  • 入会先:事務所(開業)・勤務先事業所(勤務)・住所地(その他)の都道府県社会保険労務士会はどこか(第25条の29第1項)
  • 費用:連合会の登録免許税と手数料のほか、入会予定の社労士会の入会金・年会費(連合会Q&A)
  • 副業の場合:勤務先の就業規則(厚労省ガイドライン)
  • 受ける仕事:1号・2号の独占の範囲か、3号か(第27条)、紛争解決手続の代理は特定社労士に限られること(第2条第2項)
  • 開業後:事務所の数(第18条)・帳簿(第19条)・依頼に応ずる義務(第20条)・秘密保持(第21条)

まとめ

  • 開業は登録区分のひとつ。他人の求めに応じ報酬を得て第2条の事務を業として行おうとするなら、事務所を定めてあらかじめ登録する(第14条の2第2項)
  • 登録の費用は、連合会の案内で登録免許税30,000円と手数料30,000円。入会金・年会費は都道府県社会保険労務士会ごとに異なる
  • 勤務社労士は、事業所に勤務して第2条の事務に従事する人の登録(第14条の2第3項)。勤務先の就業規則と、社労士法の登録は別々に確認する
  • 「個人事業主」「フリーランス」は社労士法の区分ではない。自宅・リモートの事務所の扱いは、条文の範囲では定めがなく、都道府県社会保険労務士会に確認する

よくある質問

Q社労士の登録は、開業と勤務で申請先が違いますか?

申請は、どの区分でも入会予定の都道府県社会保険労務士会に出します(連合会の案内)。違うのは入会する県です。開業なら事務所の所在地、勤務なら勤務先事業所の所在地、どちらでもない場合は住所地の都道府県になります(社労士法第25条の29第1項)。

Q勤務社労士として登録したあと、開業に切り替えるときは登録をやり直しますか?

社労士法は、登録を受けた事項に変更があったときは遅滞なく変更の登録を申請するよう定めています(第14条の4)。区分を切り替える具体的な書類や手順は、連合会の登録の案内には記載がありません。県会の案内には載っていることがあり、滋賀県社会保険労務士会の手続一覧表には「勤務等から開業へ変更」として、変更登録申請書(入会金差額・会費差額を徴収)・手数料2,000円と書かれています(2026-10-04 時点。他県会の取扱いはここでは扱いません)。実際の手順は、入会している都道府県社会保険労務士会に問い合わせてください。

Q開業の登録は、試験に合格した年にしなければなりませんか?

連合会のQ&Aは、試験合格後の登録申請について「有効期限はございません」と案内しています。必要なときに申請できます。ただし、登録前に他人の求めに応じて報酬を得て1号・2号の事務を業として行うことはできません(第27条)。

Q社労士の登録に、年齢の上限や開業までの実務年数の決まりはありますか?

社労士法第3条は、試験合格者などについて、労働社会保険諸法令に関する事務の従事期間が通算2年以上あること(または厚生労働大臣がこれと同等以上の経験を有すると認めること)を資格の要件にしています。連合会は、2年に満たない場合は事務指定講習の修了が同等以上の経験と認められると案内しています。この条文と連合会の案内には、年齢の上限の記載はありません。

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