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社労士試験の救済(合格基準の補正)とは?条件と第53〜58回の実績

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

社労士試験の「救済」は、公式には合格基準の補正です。厚生労働省が示す補正の条件(科目の5割・7割の線引き)を、第54〜58回の科目別得点分布で検算し、第53〜58回の基準点を年度別に整理します。

目次
  1. 救済(合格基準の補正)の早見表:第53〜58回の基準点
  2. 「救済」とは何か:公式の言葉は「合格基準の補正」
  3. 救済が出る条件:厚生労働省が示す「5割」と「7割」の線引き
  4. 科目別の得点分布で検算する:条件どおりに補正されている
  5. 択一式の補正:第57回の雇用保険法だけが引き下げ
  6. 総得点の補正:前年の基準点に平均点の差を加える
  7. 救済があっても足切りは残る:基準点未満の人は何割いたか
  8. 救済を当てにしない対策:全科目で3点を取る準備
  9. まとめ:救済は「結果が出てから決まる補正」
結論:社労士試験の「救済」は、公式には「合格基準の補正」です。基本の基準点(選択式は各科目3点以上、択一式は各科目4点以上と総得点)を、厚生労働省が毎年の試験結果を見て動かします。第53〜58回の6回のうち、科目の基準点が引き下げられたのは第53・56・57・58回の4回で、第54・55回は引き下げがありませんでした。

この記事は、補正の仕組みと条件を厚生労働省の資料で確認し、第54〜58回の科目別得点分布で当サイトが検算し、第53〜58回の基準点を年度別にまとめます。試験の「予想」は書きません。補正は試験結果が出てから決まる性質のもので、事前に当てられるものではないためです。

救済(合格基準の補正)の早見表:第53〜58回の基準点

回(年度)選択式 総得点選択式 科目の基準点の補正択一式 総得点択一式 科目の基準点の補正合格率
第58回(令和8年度)25点以上雇用保険法が2点以上47点以上なし(全科目4点以上)9.3%
第57回(令和7年度)22点以上労災保険法・労働一般常識・社会保険一般常識が2点以上42点以上雇用保険法が3点以上5.5%
第56回(令和6年度)25点以上労働一般常識が2点以上44点以上なし6.9%
第55回(令和5年度)26点以上なし(全科目3点以上)45点以上なし6.4%
第54回(令和4年度)27点以上なし(全科目3点以上)44点以上なし5.3%
第53回(令和3年度)24点以上労働一般常識が1点以上・国民年金法が2点以上45点以上なし7.9%

「なし」は、通常の基準(選択式は各科目3点以上、択一式は各科目4点以上)のままだった、という意味です。各行の出典は、厚生労働省の「合格基準について」(参考2)です:第58回・第57回・第56回・第55回・第54回(第53回は同資料の「昨年度実績」欄)。

第58回社会保険労務士試験の合格基準:選択式は総得点25点以上かつ各科目3点以上(ただし雇用保険法は2点以上)、択一式は総得点47点以上かつ各科目4点以上。合格率9.3%(受験者42,510人・合格者3,961人)。最終確認日:2026-10-03。出典:厚生労働省 第58回社会保険労務士試験の合格基準について(PDF)。

当サイトの社労士の論点別問題358問のうち、雇用保険法は31問、労災保険法は32問、労働一般常識は28問、社会保険一般常識は29問です(2026-10-03 集計。すべて過去の出題論点をもとにした当サイトの自作問題で、本試験の出題数ではありません)。

「救済」とは何か:公式の言葉は「合格基準の補正」

社労士試験の合格基準は、平成12年度に次の形で設定されました。厚生労働省の資料に、「選択式試験は総得点28点以上(40点中)・各科目3点以上、択一式試験は総得点49点以上(70点中)・各科目4点以上」と書かれています(満点の7割以上)。

ただし、毎年の問題の難しさには差が出ます。そこで同じ資料は、「各年度において、総得点及び各科目の平均点及び得点分布等の試験結果を総合的に勘案して補正を行う」としています(出典:厚生労働省 社会保険労務士試験の合格基準の考え方について(第58回 参考1))。

補正は2種類です。

補正の種類内容受験者から見た呼び方
総得点の補正前年度の平均点との差に応じて、総得点の基準点を上げ下げする「合格点が上がった/下がった」
科目最低点の補正科目ごとの基準点(選択式3点・択一式4点)を引き下げる「救済」「足切りの引き下げ」

「救済」は公式の用語ではありません。受験界で、科目の基準点が引き下げられることをこう呼んでいます。この記事では、公式の言葉を「補正」、受験界の通称を「救済」として使い分けます。

足切りそのもの(科目の基準点に届かないと不合格になる仕組み)と、一般常識科目の対策は、社労士 一般常識の足切りで扱っています。

救済が出る条件:厚生労働省が示す「5割」と「7割」の線引き

科目の基準点を引き下げる条件は、厚生労働省の資料に書かれています。

  • 各科目の基準点(選択式3点、択一式4点)以上の受験者の占める割合が「5割に満たない場合は、合格基準点を引き下げ補正する」
  • ただし、原則として引き下げを行わない場合として、「ⅰ)引き下げ補正した合格基準点以上の受験者の占める割合が7割以上の場合」と「ⅱ)引き下げ補正した合格基準点が、選択式で0点、択一式で2点以下となる場合」を挙げている

(出典:厚生労働省 社会保険労務士試験の合格基準の考え方について)

読み方を、選択式の例で整理します。

  • ①その科目で3点以上の人が5割以上いれば、引き下げの対象になりません
  • ②3点以上が5割未満なら、引き下げの候補です
  • ③ただし、基準点を2点に下げたとき、2点以上の人が7割以上になるなら、原則として引き下げません(下げなくても多くの人が届くため)
  • ④2点以上が7割に届かないなら、2点に引き下げます

総得点の補正にも、科目の補正が影響します。同じ資料は、科目の最低点引き下げを2科目以上行って例年の合格率より高くなるとき(概ね10%を目安)は、総得点の基準点を1点足し上げる、と定めています。

科目別の得点分布で検算する:条件どおりに補正されている

厚生労働省は合格発表のたびに「科目得点状況表」(参考3)を公表しています。そこには科目ごとに0〜5点の人数が載っているので、上の条件を当てはめて、当サイトで割合を計算しました。

次の表は、選択式で「3点以上の人が5割未満」の科目と、5割をわずかに上回った(52%以下の)科目を抜き出したものです。分母はその科目の解答者数です。

回科目3点以上の割合2点以上の割合実際の基準点条件との関係
第58回雇用保険法34.1%66.2%2点5割未満、2点以上も7割未満 → 引き下げ
第58回社会保険一般常識45.6%72.2%3点(据え置き)5割未満だが2点以上が7割以上 → 引き下げない
第57回労災保険法34.2%68.0%2点5割未満、2点以上も7割未満 → 引き下げ
第57回労働一般常識31.1%64.6%2点同上 → 引き下げ
第57回社会保険一般常識28.7%60.7%2点同上 → 引き下げ
第56回労働一般常識31.7%65.7%2点5割未満、2点以上も7割未満 → 引き下げ
第56回社会保険一般常識47.4%72.6%3点(据え置き)5割未満だが2点以上が7割以上 → 引き下げない
第56回健康保険法50.6%77.8%3点5割以上 → 対象外
第55回雇用保険法41.4%73.1%3点(据え置き)5割未満だが2点以上が7割以上 → 引き下げない
第55回厚生年金保険法51.5%75.3%3点5割以上 → 対象外
第54回社会保険一般常識50.7%83.4%3点5割以上 → 対象外

第54〜58回の5回×8科目=40の科目について、公式の条件で判定した結果と実際の基準点は、すべて一致しました。引き下げが出るかどうかは、「3点以上が5割未満」だけでなく、「2点以上が7割に届くか」でも分かれます。第58回の社会保険一般常識のように、3点以上が45.6%と5割を切っても据え置かれる科目があります。

出典(厚生労働省 科目得点状況表。割合は当サイトの計算):第58回(解答者数41,688人)・第57回(42,602人)・第56回(42,368人)・第55回(41,907人)・第54回(39,792人)。

この検算が示すのは、科目の補正が、その年の得点分布を公式の条件に当てはめた結果として決まっている、ということです。結果が出る前に分布は分からないので、事前に補正の有無を当てることはできません。

択一式の補正:第57回の雇用保険法だけが引き下げ

択一式の科目最低点(各科目4点以上)の引き下げは、第53〜58回のうち、第57回の雇用保険法(3点以上に引き下げ)だけでした。同じ表の科目得点状況表で、第57回の雇用保険法の択一式は、4点以上が38.7%、3点以上が61.3%です。4点以上が5割未満で、引き下げ後の3点以上も7割に届かないので、条件どおり3点に下がっています。

そのほかの回・科目は、4点以上の割合が一番低い科目でも、第54回55.8%・第55回53.4%・第56回56.1%・第58回60.9%・第57回(雇用保険法以外)50.9%と、いずれも5割以上でした(科目別の最小値。当サイトの計算)。第53〜58回では、択一式で科目の基準点が引き下げられたのは1回で、選択式(4回)より少なくなっています。

総得点の補正:前年の基準点に平均点の差を加える

総得点の補正は、同じ資料で次のように定められています。「前年度の平均点との差を小数点第1位まで算出し、それを四捨五入し換算した点数に応じて前年度の合格基準点を上げ下げする」(例:差が△1.4点なら1点下げ、+1.6点なら2点上げる)。

この式を、公表されている基準点と平均点に当てはめると、次のとおりです。

回試験前年の基準点平均点の前年との差四捨五入式で計算した基準点実際の基準点
第58回選択式22点+3.2点+325点25点
第58回択一式42点+5.2点+547点47点
第57回選択式25点△2.6点△322点22点
第57回択一式44点△2.2点△242点42点
第56回択一式45点△1.2点△144点44点
第55回選択式27点△1.3点△126点26点
第55回択一式44点+0.9点+145点45点
第54回選択式24点+2.8点+327点27点
第54回択一式45点△1.4点△144点44点
第56回選択式26点△0.4点026点25点

10行のうち9行は、前年の基準点に平均点の差(四捨五入)を加えた値と実際の基準点が一致します。第56回の選択式は、式では26点、実際は25点で一致しません。同じ資料には、この単純な式のほかに、四捨五入の端数の累計や、前年に総得点の足し上げがあった場合の扱いなどの規定もありますが、年ごとの計算の内訳は公表されていないため、この年に一致しない理由は公式資料からは分かりません。

出典:各回の参考2(平均点と前年度比)。平均点は第58回・第57回・第56回・第55回・第54回の資料にあります。計算は当サイトによるものです。

この式が示すとおり、総得点の基準点は「易しい年は上がり、難しい年は下がる」方向に動きます。第58回は、前年(第57回)から平均点が上がったため、基準点が選択式で3点、択一式で5点上がりました。総得点の基準が高い年は、合格率の動きも合わせて見る必要があります(合格率の推移は社労士の合格率の推移)。

救済があっても足切りは残る:基準点未満の人は何割いたか

科目の基準点が引き下げられても、足切りがなくなるわけではありません。引き下げ後の基準点に届かなかった人は、その科目で不合格です。得点状況表から計算した、引き下げ後の基準点(2点)にも届かなかった人(0〜1点)の割合は、次のとおりです。

回科目引き下げ後の基準点基準点に届かなかった人の割合
第58回雇用保険法2点33.8%
第57回労災保険法2点32.0%
第57回労働一般常識2点35.4%
第57回社会保険一般常識2点39.3%
第56回労働一般常識2点34.3%

(解答者数に対する割合。出典:上の科目得点状況表。割合は当サイトの計算で、100%から「2点以上の割合」を引いたものです。)

救済が出た科目でも、基準点に届かなかった人が3割台います。「救済があるから大丈夫」ではなく、「救済が出ても届かない人が3割台いる」というのが、公式資料から読み取れる事実です。

救済を当てにしない対策:全科目で3点を取る準備

補正の有無は、試験の結果が出てから決まります。そのため、準備の目標は「各科目で通常の基準点(選択式3点・択一式4点)に届くこと」に置くのが安全です。過去6回の補正で、基準点の引き下げ対象になった科目は次のとおりです。これは過去の事実で、次回の予想ではありません。

科目科目の基準点が引き下げられた回(第53〜58回)
雇用保険法選択式:第58回/択一式:第57回
労働一般常識選択式:第53・56・57回
社会保険一般常識選択式:第57回
労災保険法選択式:第57回
国民年金法選択式:第53回

(第53回は第54回の参考2「昨年度実績」欄による。上の早見表を参照)

雇用保険法・労災保険法・一般常識科目の対策として、当サイトの問題で確認できるテーマの例を挙げます。

雇用保険法

労災保険法

労働に関する一般常識

社会保険に関する一般常識

第53〜58回では、選択式の労働一般常識が3回、引き下げの対象になっています(上の表)。一般常識科目の足切りは、社労士 一般常識の足切りで公式資料の基準点と対策の考え方を整理しています。学習全体の計画は社労士 完全合格ガイドにまとめています。

まとめ:救済は「結果が出てから決まる補正」

  • 「救済」は公式には「合格基準の補正」。各年度の試験結果(総得点・科目の平均点・得点分布)を見て、厚生労働省が基準点を動かす(合格基準の考え方)
  • 科目の基準点は、3点(択一式は4点)以上の人が5割未満だと引き下げ候補になるが、引き下げ後の基準点以上が7割以上なら原則引き下げない。第54〜58回の40科目は、この条件と実際の基準点がすべて一致した(当サイトの検算)
  • 第53〜58回の6回で、科目の基準点が引き下げられたのは4回(第53・56・57・58回)。第54・55回はなかった
  • 総得点の基準点は、前年の基準点に平均点の差(四捨五入)を加える形で動く。第56回の選択式だけは単純な式と一致しない
  • 救済が出た科目でも、基準点に届かなかった人が3割台いた。準備は「通常の基準点に届く」ことを目標にする

よくある質問

Q社労士試験の「救済」は公式の言葉ですか?

公式資料に「救済」という語はなく、厚生労働省は「合格基準の補正」と呼んでいます。各年度の試験結果(総得点・各科目の平均点・得点分布など)を総合的に見て、基準点を上げ下げする仕組みです。科目の基準点を引き下げる補正が、一般に「救済」と呼ばれています。

Q救済があるかどうかは、試験の前に分かりますか?

分かりません。厚生労働省の「合格基準の考え方」は、各年度の試験結果を見て補正を行うとしており、結果が出る前に確定する性質のものではありません。基準点は合格発表の際に公表されます。当サイトは予想を書きません。

Q救済で基準点が下がった科目は、全員が足切りを免れますか?

いいえ。引き下げ後の基準点にも届かなかった人は、その科目で不合格になります。第58回の雇用保険法は基準点が2点に引き下げられましたが、厚生労働省の科目得点状況表から計算すると、2点未満(0〜1点)だった人が解答者の33.8%いました。

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